大正時代には吟醸酒特有の香り、いわゆる「吟醸香」がどのようにして酒に備わるのか分からず、酒造家のかたがたはその香りを出すために相当難儀されたそうで。 そのメカニズムが解明されてからは時代に応じて香りの強弱や質が意図的に造り分けられるようになり、ひと口に吟醸酒と申しましてもさまざまなタイプのものが世に送り出されてきました。もちろん理屈は分かっても造り手の技術が伴わなければ思う酒質にならないでしょうから、職人さんたちの腕の確かさがあってこそですが。
新潟県出身で醗酵・微生物学の権威、さらに農学博士でもあった 故・坂口謹一郎氏によれば、
『酒の風格には生まれつきのものと、あとの育ちでできるものとがあることは人間の場合と同じである。酒の基本的な骨組は生まれつき、すなわち酒の醸造中にできあがる。だが、「まるみ」とか調和とかいわれる味は、貯蔵という育ち、またいろいろな「うつり香」とか異味とかいわれるものも、多くはその後の環境によって生まれると思っていただきたい。』
だということです。酒の神様とも称された氏の言葉だけあって、私なんぞが言うのとは説得力が違いますわ。でも一番説得力があるのは「体験すること」ですよね。
「あの酒、まだあるか?」
すでに何度も体験済みの知人が来店。一番いいころだろ・・・と言いながら。
現在 店頭には並べておりませんが、よろしければお尋ねくださいませ。(無くなり次第終了とさせていただきます。)
杉玉はほどよく茶色になりましたもんね。