年縞博物館
いつも行ってる福井県小浜の近くの三方五湖に梅を見に行くつもりが、近くで見つけた 福井年縞(ネンコウ)博物館 の聞き慣れない名前にひかれて行ってみましたが、ピン~ポン~です。
2018年に出来た立派な施設ですが、500円の入館料が70歳以上で二人とも無料。恐竜博物館もそうでしたが、福井県は気の毒なぐらい太っ腹です。
三方五湖の一つ水月湖(スイゲツコ)は周囲11km、日本で54番目の湖ですが、この水底から掘り出された年縞(ネンコウ)の実物をステンドグラス処理して、45ⅿの長さ、現在(写真左端)から7万年前のものまでが、横にしてずらっと並べてあります。
初めて聞いた言葉 Varve年縞 漢字変換でも出てきません。
すごいなあと興奮したので、皆さんにも少し説明します、最後まで読んでくださいね。
水月湖に春から秋はプランクトンの死がいや花粉(暗い層)が、秋から冬には黄砂や鉄分(明るい層)が、堆積していきますので、この明暗縞模様が1年に1対、厚さ平均0.7㎜の地層が湖底に毎年出来ていくことに成ります。
湖底にパイプを打ち込んだボーリングで、筒状の地層を採集すると、45mまでは綺麗な縞模様の地層があって、その縞の数は7万あったので、7万年分の堆積された地層がきれいに取れたことになりますし、100番目の縞は100年前に出来た縞と言うことです。
一番右端、7万年前の年縞まで、45ⅿ歩いて到達。
この世界一の年縞が形成される条件として水月湖には
1.流れ込む大きな川がないので、土石が流入しない。
2.山に囲まれて風がなく、波が立たないので、湖水がかき混ぜられない。
3.かき混ぜられないので、水深34ⅿの深いところは酸素がなく、湖底を動いてかき混ぜる生物が生息できない。
4.普通の湖は堆積物で徐々に埋まって消滅しますが、水月湖は周囲断層の影響で、年1㎜ぐらい沈降してるので、年0.7㎜溜まっても埋まらないのです。
この奇跡的な条件が重なったおかげで、7万年分の年縞が残り、水月湖は知る人ぞ知る世界のLake Suigetsuになったのです。
湖底の地層を採集したのは、近くの縄文時代遺跡に関連して、地層の花粉などを調べるためであった、偶然からです。
又45ⅿより深い所から取れたのは、泥状堆積物だったので、7万年以上前は水月湖の水深は浅く、湖底はかき混ぜられていたと考えられるそうです。
長いつたない説明で、「それがどうした」と言われそうですが、一度福井県三方の年縞博物館に行って観てください、研究者の熱意も伝わってくるような施設です。
70歳以上無料では、あまりにも気の毒だったので、この立派な解説書(1500円)を思わず買ってしまいました。
解説書見開きページの写真ですが、上はステンドグラス標本、下は採集直後の写真で、上手に処理を手早くしないと酸化やバクテリアによって年縞は消えてしまうそうです。
そうならないための工夫や、間に挟まっていた葉っぱを、放射性炭素年代測定の校正に用いたり、年縞の中にたまった火山灰などから、過去の火山噴火の正確な年代が判ったり、解説書を読むと年縞はすごいですよ!
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