佐佐木幸綱選
身軽には生き難きかな身を守る暗証番号ふえゆく時代 仙台市 沼沢修
丁寧に・適切に・全力で・速やかに 副詞の骸(むくろ)を連ねる首相 東京都 十亀弘史
一首目、暗証番号もパスワードも、本当にたくさん増えていて、あれ、どうだったっけ?なんて戸惑うことが多くなりました。自分を証明できなくなるのは、怖いことです。暗証番号も4ケタって、ずーっと覚えていられますか亡夫は絶対に人に知られない番号だと言って、高校時代の親友の電話番号下4ケタにしていました。二首目、口ではそういうけれど、みーんなその逆ですよね。本当にこの国の行く末が恐ろしいです。
高野公彦選
手を振れば手を振り呉るる運転士子らははしゃぎぬ三鷹跨線橋 武蔵野市 山口京子
この歌は永田和宏氏も選んでいます。太宰治ゆかりの三鷹跨線橋が、解体が決まったので、最期にと見に行ったときの光景ですね。運転士さんも、子どもにやさしいなあ。昭和の名所が消えていくのですね。
永田和宏選
理由なく辞めたわけじゃないあの時代パワハラという語がなかっただけだ 東京都 上田結香
その当時はセクハラもパワハラも当たり前のようにあったのでしょう。私も社会人になりたての頃は、ほぼ3か月ごとに転職していましたよ。友人に趣味は転職根と言われていましたっけ。過去には戻れないし、過去を振り返るその時間がもったいない・・(歴史の話ではなく、自分自身のことです)。とはいえ、学習して前に進みましょう!
馬場あき子選
カメムシがいたと夜更けに嫁騒ぐすぐ駆けつけるカメムシ助けに つくば市 山瀬佳代子
Gは見過ごせないけれど、それ以外の虫は、助けたいですよね。私もマンションの廊下にいるカメムシを、なるべく人が通らないところに移動させたりしています。詠んだのは女性ですから、ご主人のことを詠んだのでしょうか?心優しいご主人ですね。一寸の虫にも五分の魂です。
私ははがきとアイスクリームのカップでなんとか捕まえて、外に出します。