高野公彦選
十一月三日は夏日だったけど三週間後の今日は初雪 福島市 安斎真貴子
山からは五キロ離れた我が家でも柿の木二本あれば恐ろし 五所川原市 戸沢大二郎
一首目、今年の異常な長い夏、そしてすぐ秋がなかったような冬の到来、それを端的に口語で表現した短歌は素晴らしいと思いました。二首目、柿の木を恐れるのは、クマが食べに来るからです。今年のクマの人的被害は異常ですが、なんとかできないものかと必死で考えています。先日、書評に出ていた山崎晃司著「ツキノワグマ すぐそこにいる野生動物」がやっと手に入りました。来月の別の研究者の講演の前に、早く読まなくちゃ。
永田和宏選
大型で非常に強い勢力の軍国主義が接近中です 東京都 冨永清美
ブランコは巻き上げられて公園は雪捨て場となる春まで眠れ 札幌市 橘晃弘
一首目、防衛費も拡大され、世界中で紛争が起きているこの現実は、そう思わざるを得ない状況なのかもしれません。二首目、長く厳しい夏のあとは、急に豪雪になって、北海道も東北も大変なことになっています。公園は、冬の間は結局使われないのかしら、雪国の事を知らないのが、恥ずかしい。
佐佐木幸綱選
ガザをうつすテレビは無臭 戦争は無臭ではない、無臭ではない 川崎市 小暮里紗
テレビは映像と音声だけ。匂いはない。でも、現実は悲惨、死臭もすごい。東京大空襲を経験した亡母は、焼死体をたくさん見ているうちに慣れてきたと言っていました。誰だって、そんなことに遭遇したくないけれど、その状況に居る人たちがたくさんいる。愚かな人類は、いつまでこんなことを繰り返すのでしょうか。プーチンは、死臭をかいだことがあるのか?もういい加減にしてほしい。だれだってそんなことに会いたくない。
大勢の国民が犬死させられた現実の分析は、国はきちんとしていないし、責任すら感じていない。国家としては継続していたのに。
最近は洗濯洗剤に匂いが付けられていたり、それを大量に使って、周りに「香害」をばらまいていることもあります。
柔軟剤の香りがいいとは思えなくて、私は使っていません。
私も高齢者だから、もしかして加齢臭をまき散らしているのかもしれませんが、好きな人の匂いはいいものですよね。それとペット。嫌いな人はたまらないでしょうけれど、ペットのふわふわに顔を突っ込むと幸せな気持ちになります。ぜーんぜん臭くない(自分も同じ匂いに染まっているからかも?)。