【記事が前後します。内容がリアルだったため公開に時間をいただきました】
夫婦で茨城県コースを歩き始めて4年半が経ちました。
その間生活のリズムや環境も変わり、お気楽に『じゃ行こうか』と言えなくなっていました。
その間、僕はコツコツと他県のふれあいの道をすべて踏破していました。
今回は「筑波連山縦走のみち」で女房にとって鬼門とも思える燕山周辺のルートです。
唯一残された「雨引観音~燕山手前」までのルートに行きました。
道のりはたいしたことないのですが、アップダウンが激しくとにかく急な木段と粘土質の斜面、さらにオフロードバイクによって削られた登山道のセンター溝が半端じゃない。
登山ウェアがしっくりこない女房はジャージ姿で出動です。
帰りに買ってあげるねと言ったまでは良かったのですが⋯。
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雨引観音は改装中です。
女房が楽しみにしていた孔雀たちも今は姿を見ることができないようです。
裏手に周り、登山道を登っていきます。
雨引山からの縦走路までは鬱蒼としているはずでしたが、今回はきれいに刈り払いされておりとても楽に登れました。
まるで別な道のようでした。
稜線に出ると風が強くなりますが、寒い感覚はありませんでした。
ゆっくり登って女房の股関節に負担がかからないようにします。
やがて縦走路と巻道の分かれ目に来ました。
ルートはピークを越えるようになっています。
巻道を行っても良かったのですが、完璧主義を貫いてきた女房はそんなごまかしは望まないと思ったので、素直にピークを攻めます。
足元がスペりやすいので、持ってきたロープを張って掴まりながら登ります。
当然降りますが、わかりにくいルートで急な木立の中を赤テープに沿って降ります。
ロープ出します。
20mいっぱいまで降りたところでさらに20m張ります。
もう半ピッチロープを出してやっと傾斜が緩くなり始めました。
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辛い木段を荒い呼吸で登る妻。
危ないところはロープ出して上り下りします。
そしてやっとのことで前回加波山から登ってきたルートとの接点まできました。
加波山の時もここまで来て、往復しましたがこの先の下り坂を見て「今日はここまで」と告げました。
とにかく急な粘土質の坂でした。
さて、時刻はすでに14時になろうとしています。
このまま戻ると暗くなりそうなので、途中チェックしてきたエスケープルートで林道経由にすることにしました。
そこの分岐で休憩したのですが、僕のコーヒーポットが置きっぱなしになっていました。
「あらら、やっぱり置いてきたか」
しまった記憶が曖昧だったので、もしかしたらと思っていましたが、そのやっぱりでした。
「ここを下ると林道に出るから、歩きやすい方を選ぼうよ」と下りはじめた瞬間『ハチ!』と叫ぶ女房。
見るとセミのように大きなスズメバチが女房にまとわりついています。
確かに黒ずくめ、だけど突然の襲撃に驚きました。
逃げろ!と言ったものの激しい動きに反応させてはいけないと思い、しゃがませると首筋から背中に尻を突き立てようとしています。
それを見て思わず振り払った僕。
ハチがいなくなったと思った瞬間
『痛い!』
刺されてしまいました。
まずい。
その場を離れ救急用品からポイズンリムーバーを取り出し、毒を吸い出します。
この時絶対に口で吸い出してはいけません。
歯茎や粘膜から毒素が吸収されてしまうからです。
絞るよりは吸い出す、これに限ると思います。
本人は大丈夫と言っていますが、だんだん腫れが広がっています。
相当痛がっているので危険だと判断しました。
砂利の林道が舗装路になったところで救急車を頼むことにしました。
ほどなくサイレンを鳴らしながら林道を上がってくる救急車が現れました。
女房少し安心したのか、イケメン救命士をチラ見しながらストレッチャーに背もたれながら対応してもらっています。
脈拍は90近く、血圧は130に迫る勢いでした。
狭い林道で無理やりUターンしてくれ、来た道を戻ります。
途中でマイカーを回収するために僕は救急車から降り、徒歩と走りを織り交ぜながら雨引観音までの坂道をかけ登ります。
吹き出す汗とあの道を選んだ後悔、あの時僕がハチを払わなければ刺されなかったかもしれないなど、色んな事が頭をよぎります。
やっとやっとマイカーまで到着しました。
ここから約25分移動します。
やたら時間が長く感じました。
やっと到着した病院は大きく綺麗でした。
どうやら出来たばかりらしいです。
何処から入れば分からないまま、救急車が並んでいるところから突撃しようと思いました。
すると守衛さんがいたのでココだと思いました。
入ると受付のようなところがあり、事情を説明すると「ここでお待ちください」と言われました。
書類に記入をして待ちます。
30分は待ったかな?
やがて呼ばれるとベッドに寝かされている女房がいました。
『何か処置してくれたの?』
『破傷風の注射』
看護師さんから説明を受けて、ゆっくり帰る支度をしました。
やっぱり救急車呼んで良かったかな。
車まで戻ってから受け入れてくれる医者を探して⋯ なんてしているうちにどんどん辛くなるに違いないと思いました。
とにかく早く楽にしてあげるに限ると思いました。
薬局で処方してもらった薬を受け取り、帰路に着きました。
子供たちはそれぞれ食事を作っておいたり、片付けをしてくれていたりして帰りを待っていました。
どんな山にも危険は潜んでいると痛感した日でした。
ハチジェットのスプレー持たなかった僕がいけなかったな。山を怖いものにさせてしまった僕の責任だな。
反省しきりの一日でした。
ちなみに女房が雨引観音で引いたおみくじは「吉」でした。
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歩行距離などのデータは慌ててしまったため不明です。