大震災関連記事は小休止して、たまには芸術カテゴリーの記事を綴りましょう。
(写真は、右上がマチス作「縞ジャケット」、左がルノワール作「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」の絵葉書、そして右下が「ぐるっとパス」チケットの綴り)
美術鑑賞の話に入る前に、上記写真の右下「ぐるっとパス」の紹介からしよう。
正式名称を 「東京・ミュージアムぐるっとパス2011 美術館・博物館等共通入場券&割引券」 と称するこのチケット綴りの代金は ¥2,000-也 なのだが、これは“超お得”チケットと言っていいであろう。
この種の“お得ものチケット”はこの世に多々存在する。
例えばテーマパークや遊園地の年間パスポート類、映画鑑賞の年間チケット、あるいは乗り物の回数券、クリーニング等各種サービスの回数券等々…… これらの中で比較的使い切れるのは乗り物の回数券くらいであり、その他に関してはよほどその分野の“フリーク”でもない限り、結局は使い残して損失を計上するのが現実ではあるまいか?
私にもその失敗は何度かある。 つい最近も1年期限のドライクリーニングの回数券を購入したのだが結果として期限内に使い切れず、一回毎に料金を支払った場合と比較して多額の損失を計上することに相成ったものだ。
「ぐるっとパス」に話を戻すと、2,000円と言う格安代金を元に試算した場合、3、4箇所の対象施設を期限内に訪れると“元が取れる”計算になろうか?
ただし期限の条件は2ヶ月間と多少厳しくはある。
それにしても、今回原左都子が購入した「東京・ミュージアムぐるっとパス」の場合、自宅から電車利用で1時間圏内の美術館、博物館等の対象施設が70箇所以上もあるのだ。 その中で、皆さんもおそらくご存知であろう施設のほんの一例を紹介すると、「上野動物園」「国立科学博物館」「東京芸大美術館」「東京国立近代美術館及び工芸館」「東京都江戸博物館」「葛西臨海水族館」……
これはたとえ期限が2ヶ月と短くとも大いに元が取れそうである!
大都会東京に住む利点をわずか2,000円の出費で活かせる「ぐるっとパス」に、感謝感激と言ったところであろうか。
まだ“生のパンダ”を見たことがない娘が可愛らしくも“パンダを見たい!”との希望のため、とりあえず明日娘の学校が自宅学習であるのを利用して、「上野動物園」に行く事にしよう。
“まだ混んでるだろうな…”


(参考のため、原左都子は決して「ぐるっとパス」発行元団体の“回し者”ではございません。 自主的にこの記事を綴っております。)
ブリヂストン美術館に於ける美術鑑賞に話を移そう。
2011年1月4日~4月16日まで上記美術館にて開催中の「なぜ、これが傑作なの?」と題するコレクション展示に大いなる興味を抱いた原左都子である。
(参考ですが、当該美術館においても大震災発生の影響により現在は閉館時間を早めての展示であるため、もし観賞を予定される方はあらかじめ詳細を確認の上、観賞に出向かれますように。)
なぜ上記企画展に興味を抱いたのかというと、そもそも美術分野において“素人”の立場にある私が美術鑑賞趣味を通じて、まさに「なんでこんなヘボい絵が傑作なの?」

正直言って、このような感想を抱く作品に出会う事が数多いのである。
反面、私なりの“お気に入り”の絵画を美術鑑賞において発見するとそれはうれしい思いでもあるのだが…
そんな私は、ブリヂストン美術館が現在開催中の「なぜ、これが傑作なの?」と“あからさま”に題するコレクション企画展示に大いに興味をそそられたという訳だ。
観賞の結論としては、今回のコレクション展示は当該美術館の学芸員の意表を突くアイデアと意欲と力量の賜物か!との勢いを感じ取れた原左都子である。
その中で原左都子が興味を抱いた上記写真絵葉書の2作に限定して、「なぜ、これが傑作なのか?」についてあくまでも私の記憶を中心に少しだけお伝えすることにしよう。
まずは、ルノワール作「すわるジョルジェット……嬢」であるが、この絵を見たことがないと言う人はおそらくいないであろう程の名作の一つではなかろうか? それ程にスタンダード化しているルノワールの代表作の一つであろうが、原左都子個人的にはこの絵には元々さほどの思い入れはなかったと言える。
ルノワールの出世作であるこの作品に描かれているジョルジェット嬢の年齢に関しては、巷では様々な憶測が飛び交っているようだ。 8歳だ、いや10代だ…
今回のブリヂストン美術館における学芸員氏の調査(考察?)によると、この絵に描かれているジョルジェット嬢は4歳とのことだ。(私の記憶違いでしたらお詫びしますが。) どう見ても、その体型やしぐさから私の目にもこの少女は4歳と映る。
そして学芸員氏による、この4歳の少女の肖像画を描く事を要求されたルノワールの天才性の考察にも同感する思いである。 幼き幼女が椅子にずっと静かに座っているはずはない。モデルであることが苦痛の4歳の幼女が一瞬浮かべた“微笑み”や一瞬取った“ポーズ”を見逃さずそれを心に留め堂々たる幼女の肖像画として仕上げたルノワールのこの作品は、学芸員氏が説明書きしておられた通り確かに「傑作」と言えるのではなかろうか。 しかも幼女の肌の色遣いが精細とのことで、説明書きを読んだ後で作品を精査して“なるほど!”と納得した私である。
そして、もう一つは写真の右上 マチス作「縞ジャケット」である。
マティスという画家に関しては、観る者の好みが大きく分かれることは認識している。 そんな中、原左都子がマティスファンであることに関しては当エッセイ集バックナンバーにおいて既述した記憶がある。 何故私がマティスファンであるかと言うと、(マティスには大変失礼な記述であるが)私が美術に関して素人であるからに他ならないのであろう。
マティスにはピンクを基調とした色使いの作品が多いように私は捉えているのだが、その色彩構成が私の好みなのである。 例えば、2005年に東京都美術館に於いて本邦初公開された マティス1912年の大作「金魚」など、やはりピンク色が基調となっていて原左都子の大いなる贔屓作品である。
そんなマティスが得意な(?)ピンク色等の派手目の色彩を抑え、白を基調色として描き上げたのが1914年に作成した「縞のジャケット」なのではなかろうか?
この作品のコピーはあちこちで目にするものの、今回私はブリヂストン美術館において「本物」を初めて観賞したのだが、これは素晴らしい! の一言である。 私が知らなかったマティスの一面を“傑作”を通じて見た思いであった。
さて明日は「ぐるっとパス」を利用して、檻に入れられての中国よりの空輸や直後の東日本大震災の大揺れという激動の難関をクリアし、4月1日からは上野動物園に押し寄せる日本人の目に日々晒されるという過酷な環境に耐えている上野動物園のパンダとご対面することにしよう!!
(そう言えば、自然界においてあの芸術的な白黒模様のパンダが生命体として誕生したことも、この世の「傑作」と言えるであろうなあ~)
