原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

大震災がメモリーとして語られる遠き日

2011年04月14日 | 時事論評
 (写真は、原左都子作 白皿の絵付け 「2011.3 東日本大震災」 )


 「原左都子エッセイ集」読者の皆様に、下手な絵をお見せして誠に申し訳ない思いである。

 美術観賞の趣味はあるものの、中学卒業以来一度足りとて絵など描いた事がない程の絵心なき原左都子が、先だっての3月31日に上記の白皿の絵付けをする機会を得た。
 
 今回私にその貴重な機会を提供して下さったのは、2008年秋に第8回バーラトバーバン国際版画ビエンナーレ授賞式典出席のためインドまで同行(本エッセイ集の旅行記カテゴリーにおいてその時のインド旅行の様子を綴っております。)させていただいた、知人の美術家であられる 長はるこ氏 である。
 (美術家 長はるこ氏のご活躍の詳細に関してはこの画面の左下欄ブックマークにて紹介しておりますので、ブックマークのトップ「B-gallery」より氏のHPへお進み下さい。)

 美術分野で長きに渡り実績を積まれている 長はるこ氏 のご活躍の様子が、新聞やテレビ等メディア上で取り上げられる機会は過去において幾多に上っている。
 そんな中、今回原左都子が絵を描くチャンスを与えていただけたのは、来る4月17日(日)午前11時30分(再放送4月24日同時間)より 千葉テレビ にて放映予定の「アート夢ぽけっと」との番組に、長はるこ先生が主宰されているギャラリー及びスタジオにおけるワークショップの様子が取り上げられる事に相成ったためである。

 このワークショップへのお誘いを長はるこ先生から頂いた当初は、絵心がまったくない原左都子の頭は真っ白状態だった。
 ただ、その後直ぐに当日描く絵の「テーマ」が自ずと決定したのである。
 3月31日と言えば東日本大震災が発生してまだ半月余りの頃で、当時の私の頭の中身は震災関連事項で目一杯状態だった。 その中でも一番我が心を痛めていたのが、今回の白皿の絵付けで描いた“福島第一原発事故”のその後の放射能の影響だったのである。

 今回我が国に発生した未曾有の大震災の大津波に付随するべく福島原発事故の悲惨かつ壮絶たる影像が脳裏から離れない私は、その構図を絵に描くしか他に方策がなかったというものだ。 
 長はるこ先生には大変申し訳ないのだが、テレビ放送により来る日も来る日も繰り返して映し出され、私の脳裏にこびりついている“福島第一原発事故の惨劇の影像”という至ってマイナーな対象物を描かせていただいたのが、上記の下手な絵という訳である。


 一昨日(4月12日)の報道によると、今回の福島第一原発事故は原発事故としては最大級の“深刻な事故”である「チェルノブイリ級」の“レベル7”までに引き上げられてしまった。
 この“レベル7”の解釈に関してはメディアでも報道されている通り、今直ぐ福島近辺の住民が何らかの対応をしなければならないとの意味合いではない事に関しては原左都子も認識できている。
 それにしても、我が国において“レベル7”の原子力事故が発生している現状を国家も関係機関も国民も大いに深刻に受け止めつつ、今後の放射能対応に関してそれぞれが思考、行動していくべきであろう。

 にもかかわらず総理大臣である菅氏は、「福島第一原発近隣地域は長期間に渡って居住が困難になる」と発言したとかしていないとかの醜態を晒し、避難地域外にあって高放射能汚染の実態を与儀なくされている飯舘村村長氏から大いなる憤りを示されたとのお粗末な現状である。
 この総理の失言に関して、枝野官房長官は「今後の(原発被災)地域住民への情報提供を改善する必要がある」と本日昼間のテレビニュースに於いて述べたようだ。
 菅政権の今回の大震災対応は、福島第一原発事故を筆頭としてその専門力のなさ故に右往左往を繰り返している。今後この日本が置かれている宿命を垣間見せられるというものである。

 そんな中、本日昼のNHKテレビニュースにて放映されたWHOネイラ局長の見解に大いに賛同した原左都子である。
 ネイラ局長曰く、「日本の福島原発事故に対する現在の対応は適切である。今現在に関しては新たな対応策の必要はないと言えるであろう。 ただ国民の放射能被爆に関する調査対応は、今後10~20年の長きに渡って行われるべきだ。」
 日本が今於かれている放射能汚染の現状に配慮し言葉を選びつつも、国家がいつまでも伝えようとしない今後の長きに渡る放射能の悪影響にまで及んだ国際機関からの発言に、感謝申し上げたい私である。 国民の放射能汚染に関する調査対応が遠い未来にすべて終焉して初めて、今回の大震災はメモリーとして語れるようになるのであろう。

 
 “福島第一原発”当地において、強度の余震が続いていることに関しては皆さんもご存知の通りだ。 先だっての震度6強の余震の際に炉心部である燃料棒への真水の放水が一定時間停止した事態に対し、現在非常電源システムを強化する策を東電は打ち出している様子である。
 要するに国や東電の原発事故に対する対応とは、今後も後手後手に回らざるを得ない状態にあることを国民の前で暴露し続けるのであろう。
 東電はせめても地域住民に対して賠償金を“仮払い”しようと動き始めているようであるが、その金額は当然ながら「巨大」であるため、これに関しても鈍い対応とならざるを得ないようだ。

 大震災を受けたこの国の景気が、今までにも増して“下方修正”されてしまうのもやむを得ない話であろう。


 今回の長はるこ先生のギャラリーに於ける千葉テレビの番組収録において、原左都子は自分が描いた“福島第一原発事故”の下手な絵に関し、司会者のインタビューに応え以下のようなコメントを述べている。
 「このような歴史的大震災はおそらく我が人生において一度しか経験できないことであろう。 そんな人生最大とも言えるマイナーな記憶をこの絵に描いて我が人生のメモリーとしたかった。 長はるこ先生が後日焼いて仕上げてくれるこのお皿を、私自身の人生の記録として今後一生大事に保存したく思っている。」 
 実際のインタビューでは、しどろもどろだったのだけどね…


 - P.S.-
 ところで、東京では“千葉テレビ”は見られないとの話を聞いた原左都子ですが、東京において“千葉テレビ”を視聴するノウハウをご存知の方がいらっしゃいましたら、ご伝授いただけますと幸いです。
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