(写真は、朝日新聞10月17日の「人工おっぱい全国湯めぐり」と題する記事の写真より転載)
いつものように朝日新聞をめくっていて意表を突くような上記の写真に「こりゃ、何だ?」と興味を持ったものの、写真と記事の題名を見たのみでは一体何を訴えようとする記事なのか訳が分からなかった。
記事本文冒頭の一文を読んで、大いにガッテン!の原左都子だ。
それでは早速、この記事を要約して以下に紹介しよう。
乳癌摘出手術で人工乳房をつける人に安心して温泉を楽しんでもらうための「おっぱいリレー」が17日全国各地で一斉に始まった。 (上記の写真のごとく)人工乳房を温泉などに浸して色や形が変わらないか調べる初めての試みで、メーカーと温泉施設の共同企画にて、北海道から鹿児島まで計95施設をこの人工乳房は巡ることになる。 福岡県の某銭湯では検証結果が良好だったことを受けて「人工乳房をつけている方に安心してうちの湯に来て欲しい」と、支配人は安堵している。 今後も引き続き各施設にて(人工乳房の耐温泉具合)を検証の上、その結果をリストにして医療機関などに配る。 今月は「乳癌月間」であるが、乳癌は日本人女性の16人に1人が発症されるとされ、年間約4万人が全摘出か部分摘出手術を受ける。
(以上、朝日新聞10月17日記事より要約引用)
さてさて、原左都子も過去において癌に罹患した経験がある事に関しては本エッセイ集の何本かのバックナンバーに於いて公開している。(例えば、2007年10月 「癌は突然やって来る」、2008年4月 「癌をいつまでも売り物にするな!」、2010年11月 「頭がハゲてて何が悪い!!?」等々……)
前回の記事 「誕生日雑感」 に於いてもその片鱗を述べている。
上記記事の中で記したばかりだが、私は過去に癌を患った事自体に関しては屁とも思っていない。 それは何故ならば、幸いな事に癌罹患より十数年が経過した今尚再発・転移を経験せず現在に至っているからに他ならない。 加えて元医学関係者であるため、自分の身体状況に関してある程度冷静に分析できる故である。
そんな原左都子にしても、過去において癌に罹患した故の生活上の“不都合”を一生抱えねばならない重荷を背負っている事に関しては、2010年11月に綴った「頭がハゲてて何が悪い!!?」に於いて暴露している。
その現状を今一度少し紹介させていただくことにしよう。
私の癌の場合、頭部に発生した皮膚癌であった。 そもそも癌を手術により摘出する場合、癌の発生部位の如何にかかわらず既に癌が周囲に転移していることを想定して、癌発生部を中心に周辺組織も含めて切除する事となる。(現在の医療は進化してそうではないかもしれないが) 私の場合癌発生部位が頭部であったばかりに、仮に抗癌剤治療をせずとて(実際には抗癌剤治療もして一時期頭髪全体が薄くなる被害も被っているのだが)、頭に直径6cmのハゲを一生抱えることが手術前から決定していた。
外見的要因にこだわり一生を通じて自分なりの理想体型を保ちたいと心得ている私が、頭にハゲを抱えることを簡単に了承できるはずもない。 それでも人間とは生き延びてこそであるため、この手術を了承する事と相成った。
私にとっての癌の“置き土産”の“頭部のハゲ”を今どうやってカバーしているのかと言えば、それは“ウィッグ”である。
現在は時代が大きく進化していて、大手ウィッグ企業が競って良質のウィッグを提供している。 芸能人などこれ無くては成り立たない時代であろうし、また男性のハゲ頭のみならず女性の薄毛にも対応しつつウィッグ業界は現在熾烈な競争を展開している模様だ。
私が本エッセイ集バックナンバーにおいて“個室美容室”に定期的に通っている話題を何度か記しているが、ウィッグを使用する顧客に対しては当然ながら「個室」を提供せずして成り立たない顧客側の“頭部”の深刻な事情が背景に存在するのである。
そして完全オーダーで作るウィッグが超高額であることも、上記バックナンバーで公開している。 原左都子の場合、今後一生頭に直径6cmのハゲを抱えねばならない実態をそのウィッグ代金で換算した場合、数百万円に上る計算となることも公開済みである。
まったくもって、多少の経済力なくしては癌にも罹れない実情を暴露した記事だったものだ…
国民の16人に1人が罹患するという乳癌の場合、どうなのだろう?
上記の朝日新聞で取り上げられている「人工乳房」とは医療保険対象なのだろうか? そうではなく自己負担でそれを装着するとするならば、我が頭部のハゲ対価よりもずっと高額の代償を支払わねばならないのかもしれない。
以前、疾患による顔面の喪失に関しては、その修復目的で支払われる代価に関しては医療保険適用対象となったとの報道を見聞した気もする。(正確な情報を入手せずしてこの情報を公開していることをお詫びします。)
それにしても「人工乳房」を装着している元乳癌患者に配慮して、全国の温泉・銭湯業界が人工乳房を装着してでも温泉を堪能して欲しいとの意図で動き始めたニュースは喜ばしい事であろう。
片や頭部に癌を患いその置き土産対策として、今や“ハゲ頭親父”や“薄毛婆さん”等万人が愛好せんとする時代となったウィッグで対応している原左都子など、勝手にしろ!と放り投げられても致し方ないのが現状なのだろう。 (ウィッグとはお洒落目的で使用される機会も多く、私も色やデザイン等いろいろと注文をつけてバリエーションをもたせたりしているし…)
それでも私は頭の“ウィッグ”を外して、心底温泉を楽しみたいと時々思うのだ。
子供が小さい頃には子供が温泉旅館の大浴場で開放されて楽しむのに、頭にウィッグを載せた私も頭部顔面汗だらけになりながら付き合ったものだ。
それは実に辛い現実であった。 母親の私だって、ウィッグを外して心底温泉を堪能したかったのが正直な思いである。大浴場のシャワーで思い切りシャンプーもしたいとも思ったものだ…… それでも自分のプライドがある限り、癌罹患故に我が頭に刻まれている直径6cmのハゲを公衆の面前で晒すことなど到底できないのが現状である。
我が子が少し大きくなって以降は、我が家の温泉旅行とは割高の個室風呂を求めて予約を繰り返したものだ。
日本における乳癌患者の場合、その人口が多いとのことで今回のごとく医療現場と温泉銭湯施設との間に「人工乳房」の検証がなされる事になったとのことである。 その現状を同じ癌を患った原左都子も大いに喜びたいものだ。
ただ、どうなのだろう。
温泉・銭湯業界が自らの利潤目的のため「人工乳房」の女性達を我が身息災の観点から入湯を歓迎したとて、「人工乳房」を装着せざるを得ない女性達が入湯を喜ばない事態も大いに推測できる。 あるいは、私のウィッグ同様に「人工乳房」を“外して”温泉で寛ぎたいのが本音ではないだろうか?
ここは政府や医療行政が、癌を患った患者とは体の何処かに癌の“置き土産”を抱えていて当然であると全国民にアピールするべく行動に出ることこそが、より良き方策と私は捉えるのだが…。
元々人間の多様性を認めようとしない我が国の文化・教育の歴史である。
もっと国民皆が大人になるべきだ。 様々な人が身体や心に如何なる瑕疵を併存させていようが、奇異な目を向けることなく共存できる社会を早期に実現し充実させるべきである。
何せ日本に於いては癌罹患による死者がダントツの現状である。
それにもめげずに生き延びている人々が、例えば「人工乳房」を外して、病に打ち勝つために命がけで切り刻んだその身体のまま温泉に浸かれるがごとくの日々が訪れることを、もっと応援するべく政府は行動するべきではないのだろうか。
いつものように朝日新聞をめくっていて意表を突くような上記の写真に「こりゃ、何だ?」と興味を持ったものの、写真と記事の題名を見たのみでは一体何を訴えようとする記事なのか訳が分からなかった。
記事本文冒頭の一文を読んで、大いにガッテン!の原左都子だ。
それでは早速、この記事を要約して以下に紹介しよう。
乳癌摘出手術で人工乳房をつける人に安心して温泉を楽しんでもらうための「おっぱいリレー」が17日全国各地で一斉に始まった。 (上記の写真のごとく)人工乳房を温泉などに浸して色や形が変わらないか調べる初めての試みで、メーカーと温泉施設の共同企画にて、北海道から鹿児島まで計95施設をこの人工乳房は巡ることになる。 福岡県の某銭湯では検証結果が良好だったことを受けて「人工乳房をつけている方に安心してうちの湯に来て欲しい」と、支配人は安堵している。 今後も引き続き各施設にて(人工乳房の耐温泉具合)を検証の上、その結果をリストにして医療機関などに配る。 今月は「乳癌月間」であるが、乳癌は日本人女性の16人に1人が発症されるとされ、年間約4万人が全摘出か部分摘出手術を受ける。
(以上、朝日新聞10月17日記事より要約引用)
さてさて、原左都子も過去において癌に罹患した経験がある事に関しては本エッセイ集の何本かのバックナンバーに於いて公開している。(例えば、2007年10月 「癌は突然やって来る」、2008年4月 「癌をいつまでも売り物にするな!」、2010年11月 「頭がハゲてて何が悪い!!?」等々……)
前回の記事 「誕生日雑感」 に於いてもその片鱗を述べている。
上記記事の中で記したばかりだが、私は過去に癌を患った事自体に関しては屁とも思っていない。 それは何故ならば、幸いな事に癌罹患より十数年が経過した今尚再発・転移を経験せず現在に至っているからに他ならない。 加えて元医学関係者であるため、自分の身体状況に関してある程度冷静に分析できる故である。
そんな原左都子にしても、過去において癌に罹患した故の生活上の“不都合”を一生抱えねばならない重荷を背負っている事に関しては、2010年11月に綴った「頭がハゲてて何が悪い!!?」に於いて暴露している。
その現状を今一度少し紹介させていただくことにしよう。
私の癌の場合、頭部に発生した皮膚癌であった。 そもそも癌を手術により摘出する場合、癌の発生部位の如何にかかわらず既に癌が周囲に転移していることを想定して、癌発生部を中心に周辺組織も含めて切除する事となる。(現在の医療は進化してそうではないかもしれないが) 私の場合癌発生部位が頭部であったばかりに、仮に抗癌剤治療をせずとて(実際には抗癌剤治療もして一時期頭髪全体が薄くなる被害も被っているのだが)、頭に直径6cmのハゲを一生抱えることが手術前から決定していた。
外見的要因にこだわり一生を通じて自分なりの理想体型を保ちたいと心得ている私が、頭にハゲを抱えることを簡単に了承できるはずもない。 それでも人間とは生き延びてこそであるため、この手術を了承する事と相成った。
私にとっての癌の“置き土産”の“頭部のハゲ”を今どうやってカバーしているのかと言えば、それは“ウィッグ”である。
現在は時代が大きく進化していて、大手ウィッグ企業が競って良質のウィッグを提供している。 芸能人などこれ無くては成り立たない時代であろうし、また男性のハゲ頭のみならず女性の薄毛にも対応しつつウィッグ業界は現在熾烈な競争を展開している模様だ。
私が本エッセイ集バックナンバーにおいて“個室美容室”に定期的に通っている話題を何度か記しているが、ウィッグを使用する顧客に対しては当然ながら「個室」を提供せずして成り立たない顧客側の“頭部”の深刻な事情が背景に存在するのである。
そして完全オーダーで作るウィッグが超高額であることも、上記バックナンバーで公開している。 原左都子の場合、今後一生頭に直径6cmのハゲを抱えねばならない実態をそのウィッグ代金で換算した場合、数百万円に上る計算となることも公開済みである。
まったくもって、多少の経済力なくしては癌にも罹れない実情を暴露した記事だったものだ…
国民の16人に1人が罹患するという乳癌の場合、どうなのだろう?
上記の朝日新聞で取り上げられている「人工乳房」とは医療保険対象なのだろうか? そうではなく自己負担でそれを装着するとするならば、我が頭部のハゲ対価よりもずっと高額の代償を支払わねばならないのかもしれない。
以前、疾患による顔面の喪失に関しては、その修復目的で支払われる代価に関しては医療保険適用対象となったとの報道を見聞した気もする。(正確な情報を入手せずしてこの情報を公開していることをお詫びします。)
それにしても「人工乳房」を装着している元乳癌患者に配慮して、全国の温泉・銭湯業界が人工乳房を装着してでも温泉を堪能して欲しいとの意図で動き始めたニュースは喜ばしい事であろう。
片や頭部に癌を患いその置き土産対策として、今や“ハゲ頭親父”や“薄毛婆さん”等万人が愛好せんとする時代となったウィッグで対応している原左都子など、勝手にしろ!と放り投げられても致し方ないのが現状なのだろう。 (ウィッグとはお洒落目的で使用される機会も多く、私も色やデザイン等いろいろと注文をつけてバリエーションをもたせたりしているし…)
それでも私は頭の“ウィッグ”を外して、心底温泉を楽しみたいと時々思うのだ。
子供が小さい頃には子供が温泉旅館の大浴場で開放されて楽しむのに、頭にウィッグを載せた私も頭部顔面汗だらけになりながら付き合ったものだ。
それは実に辛い現実であった。 母親の私だって、ウィッグを外して心底温泉を堪能したかったのが正直な思いである。大浴場のシャワーで思い切りシャンプーもしたいとも思ったものだ…… それでも自分のプライドがある限り、癌罹患故に我が頭に刻まれている直径6cmのハゲを公衆の面前で晒すことなど到底できないのが現状である。
我が子が少し大きくなって以降は、我が家の温泉旅行とは割高の個室風呂を求めて予約を繰り返したものだ。
日本における乳癌患者の場合、その人口が多いとのことで今回のごとく医療現場と温泉銭湯施設との間に「人工乳房」の検証がなされる事になったとのことである。 その現状を同じ癌を患った原左都子も大いに喜びたいものだ。
ただ、どうなのだろう。
温泉・銭湯業界が自らの利潤目的のため「人工乳房」の女性達を我が身息災の観点から入湯を歓迎したとて、「人工乳房」を装着せざるを得ない女性達が入湯を喜ばない事態も大いに推測できる。 あるいは、私のウィッグ同様に「人工乳房」を“外して”温泉で寛ぎたいのが本音ではないだろうか?
ここは政府や医療行政が、癌を患った患者とは体の何処かに癌の“置き土産”を抱えていて当然であると全国民にアピールするべく行動に出ることこそが、より良き方策と私は捉えるのだが…。
元々人間の多様性を認めようとしない我が国の文化・教育の歴史である。
もっと国民皆が大人になるべきだ。 様々な人が身体や心に如何なる瑕疵を併存させていようが、奇異な目を向けることなく共存できる社会を早期に実現し充実させるべきである。
何せ日本に於いては癌罹患による死者がダントツの現状である。
それにもめげずに生き延びている人々が、例えば「人工乳房」を外して、病に打ち勝つために命がけで切り刻んだその身体のまま温泉に浸かれるがごとくの日々が訪れることを、もっと応援するべく政府は行動するべきではないのだろうか。