原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

野田政権は挨拶だけして事は済まないぞ。

2011年10月21日 | 時事論評
 民主党が野田政権に移行して以来、やたら政権幹部の“挨拶パフォーマンス”がメディア上で目立つように捉えているのは原左都子のみであろうか。

 野田総理は大震災復興政策着手を後回しにして、就任後早速に米国オバマ大統領との会見に外遊した。 つい先だっては韓国のイ・ミョンバク大統領との会合のため、日本に保存されていた(おそらく懇親の官僚が用意したと思われる)韓国の古書を手土産に訪れたようだ。  いずれも差し迫った外交事案の解決のため自らの力量を発揮せんとの外遊ではなく、単に野田氏が日本の首相に就任した“お披露目挨拶”に出かけたものと私は捉えている。

 昨日、野田総理は都道府県知事連盟との会合にも“挨拶目的”で出席した模様である。 どうやら野田氏とは地方自治体政策をないがしろにしているとのマイナス評価を受けているようだ。 それに野田氏自らが応えて曰く、「どうも私は過去の民主党政権指導者に比して地方とのかかわりにおいて熱意がないとの噂のようだが、決してそんなことはございません。」云々… (あくまでも原左都子の記憶に頼っておりますため、正確でない場合はお詫びします。)

 ここで一旦私論に入ろう。

 残念ながら原左都子は野田氏のやる事なす事すべてにおいて“熱意”が感じられない印象を受ける。 それ故に上記の地方自治体の幹部の指摘は的を射ていると捉え、同感である。

 何と表現すればいいのだろう。
 例えば前総理の菅氏など元々“熱い”人物の印象が強い。 菅政権の下で実に運悪く大震災が発生した。 それ以降世が大混乱の状況下において菅政権末期に至るまであらゆる方面からバッシングを受けつつも菅氏は自らの政治家としてのポリシーを失う事なく、プラスマイナス両面で政治家としての意気込みが感じ取れたように私は捉えている。
 現在検察審査会より起訴処分となり法廷に立っている小沢氏など、私はそもそも好まない人物ではあるが、この人にも政治家としての執着心等内面に渦巻く凄まじいまでのパワーは感じ取れる。
 失礼ながらあの鳩山氏でさえ、現在は小沢氏の僕と成り下がり長老ぶっていてみっともないと表現しつつも、鳩山氏なりの政治家としてのプライドの一端は伝わる気がする。

 それに対して申し訳ないのだが、現首相の野田氏には未だに政治家としての何らの気迫も感じ取れないでいる原左都子である。
 それでも、何故民主党が今回の党首選において野田氏を選出したのかは理解できている。 結局、この人が一番“無難”だったのであろう。 一昨年歴史的政権交代を果した後総理の失態続きで短命政権を余儀なくされている民主党においては、とにかく“無難な”人物を選出しておかない事には、早期に野党や国民から叩かれ解散総選挙と相成ってそのとばっちりが党内議員の我が身に降りかかってくるのである。 それを避けるための苦肉の策として野田氏が党首に選出されたという事であろう。

 今のところ、一見したところでは野田総理はまだボロは出していない。 ところが日々ニュース報道に接しても、この人が打ち立てた業績に触れることも残念ながら何一つないのだ…
 ここでちょっと申し訳ないが(冷静さに欠ける報道であることを承知の上で)週刊誌記事の題目を紹介すると、「国民の血税40億円をドブに捨てちゃう野田」 「野田さん、1000%僕らの方が頭がいい。あの人には中身がありません。と財務省キャリアが言いたい放題!」……
 実は私もこの週刊誌の題目と同様の危機感を、党首選以前より野田氏に感じていたのである。
 人間とは上っ面をそれなりに繕っていようと、観察力が鋭い立場から見ればその内面が見通せるものである。 野田氏には結局総理(政治家)としての中身がないのに、同僚議員や手下の官僚どもより単に“無難”な人物である事を“我が身息災”な観点の下に利用されているのみなのではあるまいか??? 


 それが証拠の、野田総理就任以来の“挨拶パフォーマンス”の有様なのではなかろうか?
 米国のオバマ大統領にとっては、今や自国内の国政・経済危機に対応することが最優先課題であろう。 米国にとって日本とは軍事面では利用価値が大きいが、コロコロと短期間で首相が入れ替わる小国日本の見知らぬ首相となど会合している場合ではなかったはずだ。 そうしたところ、野田総理から「沖縄基地を撤退してくれ」と訴えらる事もなく、そそくさと帰国してくれたことに安堵していることであろう。
 韓国のイ・ミョンバク大統領とて、内心は過去に於ける日本の侵略の歴史でも問い直したい思いだったかもしれない。 今や経済力が対等か勝っている自国韓国の古文書が何故日本などに保管されねばならなかったのか!? 日本政府はもっと早く返還するべく行動を取れるはずだったものだ!、とお怒りのことであろう。
 (以上、オバマ氏とイ・ミョンバク氏の思いを原左都子が代弁しました。)


 野田政権の若き閣僚どもも、野田氏と同様のメディアを通じての“挨拶パフォーマンス”行動に専念しているようだ。
 原子力行政担当大臣の細野氏とはわずか40歳であるらしいが、頭をグリースで塗り固めて福島原発被災地に出向くのはいいのだが、いつも単にその“グリース頭”を下げるばかりで、何らの復興政策を提案するでもない。
 財政大臣の安住氏は、一見煮え切らないような国会答弁に対して“覇気が無い”等の批判が押し寄せていると聞くが、まあそれ程の“体たらく”人物でもなさそうと弁護しておこう。 それにしても、確かにこの人物より能動的な政策論を聞いたこともない。(野田氏の後を継いで“復興増税”と“消費税10%”発言はしてるけどね…)
 野田政権下で外務大臣に任命された玄葉大臣に関しては、最近足繁く沖縄に出向いている様子だ。 米軍基地を「少なくとも県外」と表明して政権交代した過去に関してお詫び行脚の最中のようだが、玄葉氏が今行なっている事は国民の目線から見るとやはり“挨拶パフォーマンス”の範疇に過ぎないよ。 原左都子は米軍基地を本心で沖縄から移設して欲しいと願っている人間であるが、あなたが今行なっている“挨拶パフォーマンス”は沖縄基地反対派の反発を買うだけだよ。
 
 そんな中、野田政権発足後わずか10日で暴言発言により経済産業省退任した鉢路氏の後に同省大臣に任命された枝野氏のみは、野田総理に指導されて馬鹿げた“挨拶パフォーマンス”行脚をするでもなく、しっかりと自らの方策を述べているようだ。 政治家とは本来枝野氏のごとくあるべきだよ。 世の非難を受けようと“自ら考え自ら行動する”、これが基本である。
 
 なのに何故、(原左都子から見れば)優秀な人材が組織から排除されようとしてしまうのか?
 それは政権に限らず「組織」という存在が存続せざるを得ない世の常の所産に他ならないような気もする。
 日本に於いてはせっかく何十年かぶりに政権交代したにもかかわらず、その甲斐もなく歴史的に未だ旧態依然とした過去に安直に戻ろうとする気配が続いているのもその故であろう。

 それにしても、社会とは自己満足の“挨拶パフォーマンス”だけをしたとて上手く機能するはずもない野田(のだ)! 
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