朝日新聞8月23日「悩みのるつぼ」相談は、40代主婦による 「両親の不思議な近所つきあい」 だった。
その相談文面によれば、どうやら相談者のご両親が他者と「物々交換」により関係を繋いでいるとの事だ。 ところがその関係を(相談者である娘さんの立場で裏から観察するに)必要のない物品を贈られているにもかかわらず、両親がそれを拒否出来ないまま、贈られた物品を捨て去っているとの事態だそうだ。
この相談内容を読んで私の脳裏に真っ先に浮かんだのは、我が郷里に単身で暮らしている実母の生活実態である。
我が母とは、この文明時代に於いて尚、日本の過疎地で「物々交換」なくして成り立たない人間関係を実行し続けている“化石のような”人物である。
これが大都会で暮らす次女の私としても、実に鬱陶しい存在なのだ。
私が郷里へ帰省する時には、必ずや実母から日頃お世話になっている親戚筋や近隣に住む人々への「お土産品」を要求される。 それを以前は羽田空港で買い求め郷里の実家に持参していた私である。
近年に至っては我が娘の成長と共に娘を郷里観光に誘いたい思いと同時に、ネットの発展に伴いパソコン画面から我が郷里へ「土産品」を前もって送る習慣が根付いている。
ところが前回帰省した際に郷里の母が私に言うには、私が帰省前に送付した「土産物」の数が足りないとのことだ。 (だったら、最初から必要数を明確に伝えよ!!)との怒りを封印しつつ、帰省後母から発せられた言葉に心底衝撃を受けた。
「あなたが送ってきた(東京からの)土産物の数が足りていない。 それ故に今日来てくれる宅食業者配達員の方に、娘のあなたはお礼を言える立場にないから今夏は帰省していないふりをして! 娘が帰省しているにもかかわらず、土産物も無くして言葉の挨拶だけするのは田舎に於いてはとてつもなくみっともない事実を理解せよ!」
その母の発言に実に驚きながら、私は訴えた。
「年老いたあなたのために日々夕食を作って運んで下さっている宅食業者さんに、日々の御礼を申し上げたいから、とにかく娘の私から口頭でお礼を言わせてよ!」
ところが、実母の回答は 「No!!」 一辺倒である。
「土産品なくして口先だけの御礼など、田舎では成り立たんのじゃ!!」
たとえ過疎地の田舎と言えども既に全国区よりの影響を受けつつ、特に若い世代間に於いてはそのような旧態依然とした慣習は過去のもととして時代が変遷していると私は認識しているのだが…
そうだとしても我が母の思いも受け入れてやるべきと志し、今夏は帰省に際し前もって数多くの東京土産を郷里へ送り届けた。
明日から、上記記述のごとく古代人が嗜好した「物々交換」文化が未だ生命を宿している我が過疎地郷里へ旅立ち、我が実母を通じて古代文明の末端に触れて参ります?!?
しばらく「原左都子エッセイ集」の執筆をお休み致しますが、その間、バックナンバーへの読者の皆様のご訪問をお待ち申し上げております!
その相談文面によれば、どうやら相談者のご両親が他者と「物々交換」により関係を繋いでいるとの事だ。 ところがその関係を(相談者である娘さんの立場で裏から観察するに)必要のない物品を贈られているにもかかわらず、両親がそれを拒否出来ないまま、贈られた物品を捨て去っているとの事態だそうだ。
この相談内容を読んで私の脳裏に真っ先に浮かんだのは、我が郷里に単身で暮らしている実母の生活実態である。
我が母とは、この文明時代に於いて尚、日本の過疎地で「物々交換」なくして成り立たない人間関係を実行し続けている“化石のような”人物である。
これが大都会で暮らす次女の私としても、実に鬱陶しい存在なのだ。
私が郷里へ帰省する時には、必ずや実母から日頃お世話になっている親戚筋や近隣に住む人々への「お土産品」を要求される。 それを以前は羽田空港で買い求め郷里の実家に持参していた私である。
近年に至っては我が娘の成長と共に娘を郷里観光に誘いたい思いと同時に、ネットの発展に伴いパソコン画面から我が郷里へ「土産品」を前もって送る習慣が根付いている。
ところが前回帰省した際に郷里の母が私に言うには、私が帰省前に送付した「土産物」の数が足りないとのことだ。 (だったら、最初から必要数を明確に伝えよ!!)との怒りを封印しつつ、帰省後母から発せられた言葉に心底衝撃を受けた。
「あなたが送ってきた(東京からの)土産物の数が足りていない。 それ故に今日来てくれる宅食業者配達員の方に、娘のあなたはお礼を言える立場にないから今夏は帰省していないふりをして! 娘が帰省しているにもかかわらず、土産物も無くして言葉の挨拶だけするのは田舎に於いてはとてつもなくみっともない事実を理解せよ!」
その母の発言に実に驚きながら、私は訴えた。
「年老いたあなたのために日々夕食を作って運んで下さっている宅食業者さんに、日々の御礼を申し上げたいから、とにかく娘の私から口頭でお礼を言わせてよ!」
ところが、実母の回答は 「No!!」 一辺倒である。
「土産品なくして口先だけの御礼など、田舎では成り立たんのじゃ!!」
たとえ過疎地の田舎と言えども既に全国区よりの影響を受けつつ、特に若い世代間に於いてはそのような旧態依然とした慣習は過去のもととして時代が変遷していると私は認識しているのだが…
そうだとしても我が母の思いも受け入れてやるべきと志し、今夏は帰省に際し前もって数多くの東京土産を郷里へ送り届けた。
明日から、上記記述のごとく古代人が嗜好した「物々交換」文化が未だ生命を宿している我が過疎地郷里へ旅立ち、我が実母を通じて古代文明の末端に触れて参ります?!?
しばらく「原左都子エッセイ集」の執筆をお休み致しますが、その間、バックナンバーへの読者の皆様のご訪問をお待ち申し上げております!