原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

レム睡眠が脳内記憶に及ぼす影響

2015年11月21日 | 学問・研究
 私は、実によく夢を見る。
 正確に言えば、見た夢をよく覚えている。

 それは何故かと言えば、睡眠途中の夜中や朝方によく目覚めるせいだ。
 人は誰しもレム睡眠中に夢を見ているものだが、その後直ぐにノンレム睡眠に移行し深く眠り込んだ場合、朝起きた時点では夢の記憶が無いことが多いと見聞している。

 心がウキウキ弾むような夢を毎晩見れたなら嬉しいものだが、私の場合は決してそうではない。
 そのほとんどが悪夢の部類だ。 深層心理部分でよほど昼間重圧を受けているのだろうかと自分で夜中に分析せねばならない程に、私は毎夜悪夢に苛まれているとも言って過言でない。


 例えば最近よく見る夢の事例を列挙するなら…。

 過去の仕事を実際する夢。 
 特に医学関連業務に従事していた頃の夢をよく見る。 夢の中で当時の実験を繰り返すのだが、上手くいかなかったり取り返しがつかない失敗をしでかす等、その実験に困惑している夢をよく見る。 
 医学基礎実験に関わった事の無い方々にはご理解頂けないかもしれないが、例えばDNA実験などその計量単位とはμ(マイクロ)の世界なのだ。 それを少しでも誤った場合取り返しがつかなくなるのだが、実際夜中に神経擦り減らして実験せねばならない夢を見る極限辛い状態から、いい加減解放して欲しいものだ…。

 重要な書類や身分証明書を無くす夢。
 これなど、一種の老化現象かと自己分析している。 自分の老化を認め、それに甘えていられる人種ならば、こんな夢を見なくて済むのかと考察したりもする。
 ところが私の場合は、自分がいつまでもしっかりしていなければ周囲が成り立たない環境下にある。 その一例として、実母・義母2人にこの先の介護・保証を全面的に依存されている。 片や我が家に於いては、一応就職内定が決まったものの、尚サリバンとして娘の未来を見通し支援せねばならない立場だ。 そんな環境下に於いて、私自身が失策醜態を晒す訳には行かないとの意識が強靭であるのに、自分自身が年老いているとの感覚が内面にもたげている事実が、この種の悪夢を引き起こすのだろう…。

 あるいは、「原左都子エッセイ集」を綴っている夢。
 これも、私自身の自己実現目的にライフワークとして自主的に執り行っている“無償活動”であるにもかかわらず、何故悪夢として夜中に再来してしまうのかに関して既に自己分析出来ている。
 要するに、私は“責任感”が異常なまでに強い人間なのだ。 覚醒している時間帯には、あくまでも“自己実現”と自分に言い聞かせて綴り公開しているにもかかわらず、一旦眠りに入ったら、悲しくも、それも自分の責任範疇と化して無意識に自分を責めてしまう脳内機能のようだ。


 ここで、今朝方見た夢の内容を明瞭に記憶しているため、紹介させて頂こう。

 私はそもそも、車の運転が苦手だ。
 それは自動車教習所に通っていた19歳頃より続く感覚なのだが、とにかく生来的に運転能力に欠けているようで、教習の第一段階、第二段階をクリアするのに長期間を要した。
 何とか実技試験最低ライン合格(学科だけは高得点を取ったが)にて運転免許証を取得したものの、その後若気の至りの一時期を除き、運転が楽しいなどと思った事はだだの一度も無い。 そのため、娘の習い事等の送り迎え任務を終了した10年程前に、自分の意思で車の運転をきっぱり・すっきり終了した。 

 そんな私は、現在既に車の運転を完全卒業しているにもかかわらず、何故か車を運転している夢をよく見る。
 そのすべてが、危険運転で死にそうな超悪夢だ。
 ところが、今朝見たのも車運転の夢だったものの、例外的に何故か運転がスイスイ行くし、しかも半端な映画などよりずっと面白い“スペクタクルもの”だったのだ!
 どういう訳か私が運転する車に娘と義母が同乗しているのだが、その二人が完全に私の運転に依存している。 そんな中運転を進める私だが、幾つもの“関門”に出食わす。 例えば行く先に扉やトンネルがある。何故かそれが私が通過しようとする直前に開いたり通り易かったりする。 これはラッキーと運転を進めると、今度は前面に海が広がっている。 そうしたところ、車が宙に浮いて空に飛び立つではないか! それに任せて空を遊泳していると、次なる場面は我が郷里の海水浴場だ。 その砂場を車で走り続けていると、我が母の実家に辿り着く…。  その後は記憶にないが、私はどうやら夢から目覚めた様子だ。
 目覚まし時計を確認すると、ちょうどいつも起床する朝の時間だった。

 と言う訳で、原左都子の場合は“今夜も寝るのが苦痛”とのマイナス心理状態にさせられる程に、夜な夜な悪夢に苛まれていると言えよう。


 ところが、この夢をもたらす「レム睡眠」に関する新たな研究成果を、朝日新聞記事上で発見したのだ。
 朝日新聞2015.10.23 夕刊 「浅い眠り 記憶への助走?」と題する記事内容を以下に要約引用しよう。

 夢を見る浅い眠り(レム睡眠)には、続いてやってくる深い眠り(ノンレム睡眠)の時に脳内の記憶定着を促す役割があることを、筑波大学と理化学研究所などのチームがマウス実験で確かめた。 これは、脳科学の長年の謎だったレム睡眠の役割解明に繋がる成果という。 
 「レム睡眠」は、鳥類と哺乳類だけにみられる状態。 大人の睡眠時間の約15%を占めるが、具体的な役割は不明だった。 上記研究者達は、レム睡眠からノンレム睡眠へ切り替える脳内スイッチ役の神経細胞を特定してマウスの遺伝子操作でそれを作り出し、レム睡眠の効果を調査した。 その調査により、逆にレム睡眠を増やすとノンレム睡眠のデルタ波が強くなる事が判明したとの事だ。
 デルタ波には、記憶形成や脳機能回復の作用があることは既に知られている。 研究者は「レム睡眠により脳内記憶の整理が施されていると考えられる」と話す。
 (以下略するが、以上、朝日新聞夕刊記事より要約引用したもの。)


 最後に、原左都子の私論に入ろう。

 毎晩毎晩悪夢ばかりを見せられて、私の脳内は一体どれ程老いぼれてしまったのかと悲観していた身だ。
 ところが上記朝日新聞の新たな研究発表を見ると、レム睡眠には後のノンレム睡眠の“デルタ波”に有効に作用する働きがあるとのこと。
 そうであるならば私も悪夢ごときにいちいち夜中に目を覚ましていないで、そのままノンレム睡眠に移行する努力をするべきなのか!?
 ところがそれが不可能な事態こそが、真実老いぼれた証拠なのか?!?