原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

信州長野旅行記 - 駒ケ根シルクミュージアム編 ー

2017年08月12日 | 旅行・グルメ
 (写真は、伊那市に程近い駒ケ根シルクミュージアムにて飼われている蚕の幼虫。)


 今回の伊那観光に際し、私から当該「駒が根シルクミュージアム」も観光対象としたい旨K氏(K氏に関する詳細は2本前のエッセイを参照下さい。)に提案したところ、このミュージアムはK氏も訪れたことがあるとのご返答だった。

 伊那市にて大農場を営むK氏のご生家では、K氏幼少の頃には蚕を飼い絹糸を生産されてもいたらしい。 そのためある程度K氏が養蚕に詳しいのに驚かされた。 ところが、何分K氏は大地主の息子さん(お坊ちゃん)の立場であり、幼少時には興味はあれど作業に加わる事が許されなかったとの説明だ。 
 それ故か、今回のシルクミュージアム訪問に際して、ご自身からも係員に積極的に質問をされていた。


 さて、このミュージアムでも我々3名(私と娘、そしてK氏)の貸し切り状態。
 入館当初は3名で見学していたものの、ついに過去に生家にて養蚕経験のあるK氏が係員を掴まえて蚕に関する様々な質問をし始めた。
 これがまた、素晴らしい! 掴まえられた係員氏は入口にて発券係も兼務しておられたのだが、要するに蚕専門の研究者であられる様子で、K氏よりの容赦ない質問に専門力を発揮して回答されるのだ。

 そこで、私も素人ながら質問した。
 「蚕の幼虫とは、繭を作った挙句に成虫として旅立てるのですか?」
 このとんでもないド素人発言に、係員氏がきちんと解答して下さった。 
 「我々人間が蚕から繭糸を搾取(そういう発言はしなかったが、要するにそれが事実だ)したいがために幼虫をそれに適した大きさに人工的に育て上げ、なるべく多くの繭糸を取れるべく大きな蚕を作るように日々努力しています。 そして繭糸を収集する際には繭を蒸さねばならず、その際サナギは死にます。」
 私応えて、「何だか惨い仕打ちのようですが、要するにサナギを殺す事により絹糸製造が成り立っているとの事ですね。 本日先程、伊那の地で“蚕のサナギ”の佃煮が販売されているのを目にしましたが、あれは人間が身勝手に犠牲にしたサナギの命を無駄にせず我々人間が有り難く頂くとの意味合いで、供養しているとの事ですかね?」
 「そういうことです。」 と係員氏がお応え下さったと記憶している。


 私にとっては今回の駒ケ根シルクミュージアム訪問に於いて、最後に記載した部分の印象が一番強烈だった。
 その印象が強いものの、このミュージアムの展示内容も全般的に充実していたとの感想がある。
 

信州長野旅行記 - 登内時計記念博物館編 ー

2017年08月12日 | 旅行・グルメ
 (写真は、伊那市の登内時計博物館内で撮影した時計コレクション展示物の一つ。)


 長野旅行記は、昨日のエッセイに引き続き伊那市観光から入ろう。

 この「登内時計記念博物館」は私がネットで観光箇所候補として調査し、K氏(この人物に関しては昨日のエッセイをご参照下さい。)にあらかじめ提案させて頂いていた。
 K氏によればK氏のご生家が当該博物館のすぐ近くだそうで、館長氏に関してもよくご存知との事だが、博物館へは一度も訪れたことがない、とのお話だった。
 まあそういうものだろう。 観光スポットとは、概して地元の人達は行かないものだ。


 さて博物館を訪れてみると、我々3名の“貸し切り”状態だ。
 そのため、博物館担当者がずっと館内を案内しつつ我々と一緒に回ってくれる結果となった。
 この説明の程が、素晴らしい! よくぞまあ、展示物一つひとつに関してこれ程詳細に勉強されたものと感嘆させていただけた。

 さらにもっと驚かされたのは、館内コレクション時計のすべてがきちんと現役で動いている事態だ!
 上記写真のコレクションは19世紀に制作されたフランス制の時計のようだが、まさに我々が訪れたその瞬間の時間を刻んでいた。
 その維持管理にかける博物館の弛まぬ手間労力と、時計を愛する姿勢がひしひし伝わる館内の完璧に整備された美しさだった。
 

 以下に、ネット情報より当該博物館 館長氏の挨拶文の一部を紹介しておこう。

 長年収集して参りました18世紀から19世紀のヨーロッパを中心とした機械時計から新しいものまでおよそ150点を「登内時計記念博物館」に展示し、皆様にご覧いただくことになりました。 時計修理が得意だった父親の思い出がきっかけで時計の修理・収集ですが、いつしか数も増え500点余となりましたので、地域の文化施設として少しでも役立てればと考え博物館建設を思い立ちました。 年代、形、機構など様々ですが、私にとっては一台一台が思い出多き時計ばかりです。 時計を通じ、先人たちの科学に対する情熱の粋を共感いただけたら幸いです。 この博物館が、訪れていただく皆様にとってふれあいと安らぎの場となり、子供たちの科学への関心を育むことができればと思っております。
   博物館館長 登内英夫
 (以上、博物館に関するネット情報より一部を引用したもの。)


 外には時計塔を配した広い庭園・公園もあり、とにかく一言で表現すると“美しい”博物館であり癒し効果抜群のため、伊那を訪れる機会があれば是非訪問されることをお勧めしたい。