原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

認知症義母との新年会とその後のアクシデント

2018年01月03日 | 医学・医療・介護
 (写真は、昨日1月2日に東京某所にて開催した義母との新年会にて。)


 まったくもって、義母の保証人をしている身にして、義母を招いての新年会が楽しいのは冒頭写真の乾杯までだ。

 ここで、何故シャンパンングラスが私の目の前に2個あるかに関して説明すると、私と亭主以外は酒を飲めないため、その分私が一気に引き受けて飲むのを担当するためだ。  (実はこの後、娘の分も私が引き受け、3杯のシャンパンをほぼ一気飲みで堪能した。
 (前回エッセイの続きになるが、原家の飲み会に於いては必ずや嫁の私が“余った酒を担当する”との暗黙の了解がある。
 このグラス結構大きなサイズで、1グラス当たりおそらく200ml程のシャンパンが注がれていた。 

 乾杯のみは気分よく堪能した後は、いつも通り義母の意味不明の会話に付き合わねばならない。

 昨日のテーマもやはり施設にての“金銭トラブル”だった。 
 義母の認知症状が快方に向かう訳はあり得ず、相変わらず“訳の分からん” 義母の訴えに応えるはめと相成る。 ただ、年末の電話にての会話以降、義母が「盗られた」との表現を使用しなくなったのは画期的成長だ。
 それでもどうしても現金や財布が相変わらず「なくなる」と我々に訴える。

 昨日も義母の小遣い用現金を持参したのだが、どうしても「“なくなるから”受け取れない」と主張して譲らない。 「それじゃあ、こちらが困るから少額でも持ち帰って欲しい」と嘆願すると、やっとこさ持参した金額の半額を受け取ってくれた。

 新年会終了後はこれまたいつもの事だが、義母の買い物に付き合わされる。 亭主は家に帰し、娘は自分の買い物に行かせ、私が義母に付き添うのも恒例だ。 
 何分認知症者にして“買い物好き”。 普段は一人で施設の近くまで買い物に出かけるようだが、奇行を多発する義母は店や施設に迷惑を掛け続けている。 そんな義母にとり、私が付き添っての買い物は心より安堵し開放感を得られるまたとはないひと時のようだ。
 昨日もいろいろと“駄々をこねる”。 まるで小さい幼児を引き連れているのと同様の光景だが。
 「スカート」が欲しいと言えば洋品店へ同伴し、「財布が幾つも無くなったから買いたい」との要望があれば小物売り場へ出向き、「施設の友達へのお土産を持ち帰りたい」と訴えるとその店舗を尋ね、献身的に買い物の補佐をした。


 かれこれ2時間程要しただろうか、義母がやっと施設へ帰る気になってくれタクシー乗り場へ行った。

 タクシー乗車時には、私から運転手氏へ施設の住所・電話番号そして地図を手渡し、「義母一人で帰宅するのでよろしくお願いしたい」旨を伝える。 大抵の運転手氏は「了解しました!」と快く応えてくれ、特段のトラブルもなく義母は施設へ辿り着けている。

 ところが、昨日のタクシー運転手はまったく違った。
 上記同様の事を運転手氏に伝え始めると「そんなのダメだよ。アンタも一緒に乗らなきゃ!」といきなり怒り始める。 予定外だが、やむを得ず私も同乗して施設へ向かう事となった。
 乗車後も運転手氏の説教がとうとうと続く。 「アンタ、年寄りは大事にしてやらなきゃ。 年寄りをタクシーに一人で乗せるなどけしからんよ! 今時の若いもんは駄目だね、年寄りをいたぶって」 言わせておけばキリがないが、テキトーに相槌を打ちつつも、「あの~~、目的地に向かってくれていますか?」と主要事項の確認をする私に対し、「うるさいなあ。分かってるよ! アンタねえ、年寄りを邪険にしちゃいかんよ!」 (どっちがうるさいんだ!!)と内心怒り心頭だが、二人のやり取りを義母が一切分からない風なのが救いでもある。
 そうしたところ、案の定、運転手氏は道を間違えていたのだ!
 結局、いつもより2倍以上の料金と時間を費やし、やっと施設へ辿り着いた。

 そして降車しようとしたら、運転手が私に言う。 「アンタ、駅へ戻るんだろ?」
 (ははあ、これが目的か。 私をタクシーに同乗させて連れて行き、再び駅まで戻ると2倍の料金が稼げる。 しかも乗車中に喋くり倒せば目的地を間違えたフリができ、これまた倍の料金が稼げる。)
 だだ、もうどうでもええわ、の気分だ。 「施設の皆さんにご挨拶しますから、私もここで降車します」と応えると、「ありがとうございました。」の一言もなく運転手氏はそそくさとタクシーを発車させた。

 ラッキーだったのは、正月にもかかわらず施設長氏とケアマネ氏が出勤されていた事だ。
 義母の「金銭トラブル」等々に関し、直接会って再確認が叶ったのは収穫だった。


 施設から帰り際、既に暗闇のなか、近くの神社に一人で立ち寄り初詣をした。
 引いたおみくじが 「中吉」 だ。

 「雪にたえ 風をしのぎて うめの花 世にめでらるる その香りかな」

 まずまずの年になりそうだ。