原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

自分の価値を見誤らないために “経験の幅” を広げよう

2018年01月08日 | 自己実現
 昨日(2018.01.06) の朝日新聞 “悩みのるつぼ” 相談は、20代会社員男性による「人を見下してしまう」だった。
 この表題だけを見て、呆れ果てた私だ。
 20代との若輩者にして、「人を見下してしまう」からどうすればいいか、だと!?
 一体、何を勘違いしているんだ??
 アホらし過ぎて到底読む気になれず、一昨日は素通りして捨て置いた。

 昨日、気持ちを入れ換えて相談内容を読んでみたのだが。
 見えて来たのはこの男性は“場の空気”が読めない体質の人物であり、実質「寂しい」のではないか? との印象だ。


 それでは、“悩みのるつぼ” 20代会社員男性による相談内容を以下に要約引用しよう。

 20代の男性会社員だが、自分の中に人を見下す傾向があることを感じ悩んでいる。 それを感じるようになったのは仕事を始めてからだ。
 入社1年目は同期たちと一緒に昼ご飯を食べていたが、彼らがその場のノリや盛り上がりばかり重視したり、芸能ネタや恋愛話など中身のない話を延々としたりしているのにだんだん耐えられなくなり、最近は一人で昼食をとるようになった。
 彼らと話していると、「そんな事も知らないのか」と感じる場面が多々ある。  個人レベルでは共通の趣味や関心がある人もいるが、知的レベルでの思考の浅さや薄さ、向上心のなさに愕然とし「バカなやつ」だと感じ、心の中で見下してしまう場面が増えてきた。 大学時代にはこのように感じたことはほとんどない。
 もちろん、私が彼らより人間的に優れているとは思わない。 私より知識や教養がなくても優しくて人格者でもある人は沢山いるはずだ。  彼らに助けてもらったりサポートされることもある。 だから、人を見下すのはよくない、自分は醜い人間なのかと思う。 
 どう考えたらいいのか、ぜひ金子勝先生のご意見をちょうだいしたい。
 (以上、“悩みのるつぼ” 相談内容を要約引用したもの。)


 一旦、原左都子の私見だが。

 この相談に対する回答者を、社会学者の上野千鶴子氏でもなく評論家の岡田斗司夫氏でもなく、敢えて 経済学者の金子勝氏を指定している事実からして気にかかる。 (若輩者にして美輪明宏氏指名は、さすがに敬遠したのであろうが…)
 我が希望とすれば、まさに辛口派の三輪氏か上野氏か、はたまた最近回答が冴えている岡田氏よりの解答を期待したかったものだが。


 それが叶わなかった現実に於いて、20代会社員氏への原左都子からの回答を以下に申し上げよう。

 第一印象として相談者の場合、「人を見下す」云々よりも、若者達の会話に入れない事実の方が辛そうだ。 
 相談者曰く、周囲の若者達の「知的レベルでの思考の浅さや薄さ、向上心のなさに愕然とする」らしく、「自分より知識や教養がなくても優しい人格者でもある人は沢山いるはず」のだそうだが…
 そのステレオタイプな人を見る目、どうにかならないものだろうか?  これぞ、“経験値”が少ない証拠だろう。

 相談者自身が20何年かの短い人生に於いて如何なる知識や教養を身に付けて来たのかに関して、相談内容からはまったく見えてこないのも残念だ。 
 ただ、同じ職場に入社している仲間達の様子を観察する相談者の目を通して見えてくるのは、彼らは比較的“健全な”20代として成長している様子だ。 芸能ネタ、恋愛話、… いいじゃないの? 何が悪い?? 仕事中ならともかく、昼休みの時間帯に小難しい会話を持ち出す事こそがタブーだと思うけど。
 その種の会話に入れない相談者こそが、これまた“経験値”が足りないと結論付けられそうだ。
 要するに、貴方は「醜い」のではなく「未熟」ということだろう。


 ここで我が20代の私事を持ち出したとて、相談者とは時代背景や男女の性差故に参考にはならないだろうが。
 1980年代前後期に20代を職場で過ごした私だが、当時の職場とは特に女性達が20代半ばになると「寿退社」を目指し躍起になったものだ。 その頃から結婚願望が希薄かつ更なる仕事の充実・発展を目指していた私と、彼女達の間の溝が深まり始めた。 
 溝が埋められないと判断した私がとった手段とは、積極的に彼女達から距離を置き、昼休みは一人でそそくさと昼食を済ませた後は新聞を熟読する時間に充てる、という行動パターンだった。
 20代後半期になると次々と同年代の女性達が退社して去り行き、残った数少ない同年代女性陣の仕事に対するポリシーはおそらく私と同質だったことだろう。 その後の職場での女性達との付き合いの記憶は一切ない。 (上司・同僚男性達に喧嘩を売った記憶は盛沢山だが。。)
 同類“売れ残り”女性より面と向かって「貴方が嫌いです」と直言された事件に関しては、バックナンバーに於いて既述している。 嫌われて結構、その方が社内で行動し易かったものだ。

 相談男性の場合も、周囲の仲間がどうのこうのを優先して、肝心の仕事に精を出してはどうかとも思うのだが。
 たかが昼休み時間くらい、一人で昼飯食べて新聞でも読んでりゃすぐに時間が経つというものだ。
 何も周囲の話題が低レベルだとくだらない事で嘆いていないで、それこそプライベートでは恋愛でも楽しめばよかろう。 それも20代青春期にして“経験値”を増やすべく大事な行動だ。 (男同士の恋愛自慢話など聞きたくもないのも本音だが。)


 最後に、今回の相談回答者 金子勝氏の回答の最後の一言のみを紹介しよう。
 「これからの人生、人間の価値を見誤らように心がけてみて下さい。」

 この「人間の価値」だが、原左都子としては 「相手の価値」ではなく「自分の価値」こそを見誤らない事が肝要と心得る。 
 そのためにも日々積極的に“経験の幅”を広げ、広い視野を持つべく努力を続けるべきだろう。