(写真は、本日2018.01.25朝日新聞記事より「iPS細胞研 論文不正 今回の論文で見つかった不正の一例 遺伝子『CAT3』の発現量」グラフを転載したもの。)
早速、上記朝日新聞記事の一部を以下に引用しよう。
京都大学iPS細胞研究所(CiRA、山中伸弥所長)の山水助教が責任著書の論文は、京大の調査委員会の調査で実験結果などを示す図12個のうち11個、計17か所で捏造・改ざんが認定された。
一例は、体内の脳血管内皮細胞でよく働いている遺伝子がiPS細胞から作った細胞でもよく働いていることを示すグラフだ。(上記写真の上グラフ) 論文では、これらが脳血管内皮細胞ができた根拠となっていた。 だが、調査委が測定機器から取り出したデータを元に再解析すると、遺伝子は強く動いていないことが分かった。(上記写真の下グラフ) グラフ作製過程で数値が変わっていたり、一部のグラフで解析課程のデータが見つからなかったりした。
不正の動機については(前回の我がエッセイ集にても記したが)、「論文の見栄えをよくしたかった」と助教が説明している。
しかし、研究不正に詳しい某東大教授は「自分の考えに合わせてデータをでっち上げた明白な不正だ」と批判する。
CiRAは2010年の設立当初から、研究者が記録する実験ノートを3ヶ月に1回知的財産担当者に提出。論文発表時には画像やデータも提出させていた。 「かなり厳しくチェックしている機関。他大学はそこまで求めていない」と阪大某化学技術社会論准教授は話す。 山水助教のノート提出率は所内平均の約7割を上回る86%だった。
だが、助教を含め、実験に取り組む約400人が提出する大量のノートについて、実験が行われたことはノートに記したデータから確認していたが、内容には踏み込んでいなかった。 「形骸化していた」と山中所長は甘さを認めた。 助教の研究室主任研究者も不正に気付かなかった。
CiRAは今後、実験ノートは知財と主任研究者によるダブルチェックを取り入れ、主任研究者は内容も確認する。 論文に使う図表を裏付けるデータの提出も求める。
2014年のSTAP細胞論文の捏造を踏まえ、文科省は指針を見直し、大学や研究機関にデータ保存や倫理教育の強化などを求めている。
それでも不正は無くならない。 「これ以上、何をすればいいのか」との声もある。
「悪意がなくても、正しい統計処理の方法を知らなくて不正認定される研究者もいる。正しい知識を身に付けて欲しい」との見解もある。
(以下略すが、以上朝日新聞iPS論文不正記事より一部を要約引用したもの。)
私論に入ろう。
いやはや、2014年に発生したSTAP細胞捏造・改ざん事件の悪夢を今更ながら再現するがごとくだ。
あの時も、小保方氏が作成した(と言うよりも、まるで幼稚園児が面白半分でスケッチしたがごとくの“幼稚な実験ノート”)が大きな話題となった。
本人自らが自費で開催した記者会見にて豪語して曰く、「200回作製に成功した!」と自称するSTAP細胞研究の「実験ノート」がたったの4,5冊。 (そんなに少ないならば4冊か5冊か明確にせよ! と私など言いたい思いだったものが…)
しかも理研内でそのチェックが一切なされていない有様だったのにも驚愕させられた。
ただ、救われる(と言うよりもアホらし過ぎて呆れるのは)小保方氏の場合、そもそも科学者としてのバックグラウンドが何もなかった事実だ。 後に早稲田大学にて過去に認定された氏の博士論文も認定取消されるに至っている。
要するに、小保方氏の場合は上記朝日新聞記載の「悪意がなくても、正しい統計処理の方法を知らなくて不正認定される」部類の研究員だったのだろう。
それに比し、今回のCiRAの山水助教の場合、まさか小保方氏とは異なり科学者としてのバックグラウンドが一切無い訳ではないようだが。
ただし上記朝日新聞報道によれば、「任期付き研究員であり、不安定な雇用とそれを踏まえた激しいポジションの獲得競争が背後にあった可能性もある」との記述もある…
やはりこの事件の元凶は、CiRA所長の山中伸弥氏の日頃の所長としての行動にありそうだ。
一組織の所長たるもの、iPS細胞の宣伝活動に邁進するためまるでタレントのごとくメディアに自身がしゃしゃり出る以前の課題が盛沢山であろうに。
それを後回しにしたが結果の今回の不祥事だろう。
山中氏ご本人も「実験ノートのチェック体制が形骸化していた」との談話を述べているが。
ただ、過去に於いて医学基礎研究に励んだ経験がある私に言わせてもらうならば、研究員・実験者個々人の実験ノートの他者による“完全なるチェック”とは容易い課題ではないであろうことは重々想像が付く。
上記朝日新聞記事によると、知的財産担当者もそれを担当していると言うのだが… 失礼ながら、その人物達に真に医学研究実験ノート詳細記載内容の判断力があるとは到底思えないのだが。
そんな私が提案する究極の結論とは。
まず研究所側が(縁故採用ではなく)信頼できる研究者・実験者を厳選採用することであろう。
そして、所長や研究室長レベルの人材が日々研究員達とコミュニケーションを取れる研究室環境こそが、一番に望まれるのではなかろうか?
そんな研究室環境が整ったならば、3ヶ月に1度ではなく、自身の実験ノートを日々上層部の人材にチェックして貰うと共に研究内容に関していつ何時も語り合え、上下間で切磋琢磨することが叶いそうだが…
繰り返すが、まかり間違っても今後の医学発展を担うべく“ノーベル賞受賞者”たる研究所所長が、まるでタレントのごとくテレビ出演する時間など無かろうに……
早速、上記朝日新聞記事の一部を以下に引用しよう。
京都大学iPS細胞研究所(CiRA、山中伸弥所長)の山水助教が責任著書の論文は、京大の調査委員会の調査で実験結果などを示す図12個のうち11個、計17か所で捏造・改ざんが認定された。
一例は、体内の脳血管内皮細胞でよく働いている遺伝子がiPS細胞から作った細胞でもよく働いていることを示すグラフだ。(上記写真の上グラフ) 論文では、これらが脳血管内皮細胞ができた根拠となっていた。 だが、調査委が測定機器から取り出したデータを元に再解析すると、遺伝子は強く動いていないことが分かった。(上記写真の下グラフ) グラフ作製過程で数値が変わっていたり、一部のグラフで解析課程のデータが見つからなかったりした。
不正の動機については(前回の我がエッセイ集にても記したが)、「論文の見栄えをよくしたかった」と助教が説明している。
しかし、研究不正に詳しい某東大教授は「自分の考えに合わせてデータをでっち上げた明白な不正だ」と批判する。
CiRAは2010年の設立当初から、研究者が記録する実験ノートを3ヶ月に1回知的財産担当者に提出。論文発表時には画像やデータも提出させていた。 「かなり厳しくチェックしている機関。他大学はそこまで求めていない」と阪大某化学技術社会論准教授は話す。 山水助教のノート提出率は所内平均の約7割を上回る86%だった。
だが、助教を含め、実験に取り組む約400人が提出する大量のノートについて、実験が行われたことはノートに記したデータから確認していたが、内容には踏み込んでいなかった。 「形骸化していた」と山中所長は甘さを認めた。 助教の研究室主任研究者も不正に気付かなかった。
CiRAは今後、実験ノートは知財と主任研究者によるダブルチェックを取り入れ、主任研究者は内容も確認する。 論文に使う図表を裏付けるデータの提出も求める。
2014年のSTAP細胞論文の捏造を踏まえ、文科省は指針を見直し、大学や研究機関にデータ保存や倫理教育の強化などを求めている。
それでも不正は無くならない。 「これ以上、何をすればいいのか」との声もある。
「悪意がなくても、正しい統計処理の方法を知らなくて不正認定される研究者もいる。正しい知識を身に付けて欲しい」との見解もある。
(以下略すが、以上朝日新聞iPS論文不正記事より一部を要約引用したもの。)
私論に入ろう。
いやはや、2014年に発生したSTAP細胞捏造・改ざん事件の悪夢を今更ながら再現するがごとくだ。
あの時も、小保方氏が作成した(と言うよりも、まるで幼稚園児が面白半分でスケッチしたがごとくの“幼稚な実験ノート”)が大きな話題となった。
本人自らが自費で開催した記者会見にて豪語して曰く、「200回作製に成功した!」と自称するSTAP細胞研究の「実験ノート」がたったの4,5冊。 (そんなに少ないならば4冊か5冊か明確にせよ! と私など言いたい思いだったものが…)
しかも理研内でそのチェックが一切なされていない有様だったのにも驚愕させられた。
ただ、救われる(と言うよりもアホらし過ぎて呆れるのは)小保方氏の場合、そもそも科学者としてのバックグラウンドが何もなかった事実だ。 後に早稲田大学にて過去に認定された氏の博士論文も認定取消されるに至っている。
要するに、小保方氏の場合は上記朝日新聞記載の「悪意がなくても、正しい統計処理の方法を知らなくて不正認定される」部類の研究員だったのだろう。
それに比し、今回のCiRAの山水助教の場合、まさか小保方氏とは異なり科学者としてのバックグラウンドが一切無い訳ではないようだが。
ただし上記朝日新聞報道によれば、「任期付き研究員であり、不安定な雇用とそれを踏まえた激しいポジションの獲得競争が背後にあった可能性もある」との記述もある…
やはりこの事件の元凶は、CiRA所長の山中伸弥氏の日頃の所長としての行動にありそうだ。
一組織の所長たるもの、iPS細胞の宣伝活動に邁進するためまるでタレントのごとくメディアに自身がしゃしゃり出る以前の課題が盛沢山であろうに。
それを後回しにしたが結果の今回の不祥事だろう。
山中氏ご本人も「実験ノートのチェック体制が形骸化していた」との談話を述べているが。
ただ、過去に於いて医学基礎研究に励んだ経験がある私に言わせてもらうならば、研究員・実験者個々人の実験ノートの他者による“完全なるチェック”とは容易い課題ではないであろうことは重々想像が付く。
上記朝日新聞記事によると、知的財産担当者もそれを担当していると言うのだが… 失礼ながら、その人物達に真に医学研究実験ノート詳細記載内容の判断力があるとは到底思えないのだが。
そんな私が提案する究極の結論とは。
まず研究所側が(縁故採用ではなく)信頼できる研究者・実験者を厳選採用することであろう。
そして、所長や研究室長レベルの人材が日々研究員達とコミュニケーションを取れる研究室環境こそが、一番に望まれるのではなかろうか?
そんな研究室環境が整ったならば、3ヶ月に1度ではなく、自身の実験ノートを日々上層部の人材にチェックして貰うと共に研究内容に関していつ何時も語り合え、上下間で切磋琢磨することが叶いそうだが…
繰り返すが、まかり間違っても今後の医学発展を担うべく“ノーベル賞受賞者”たる研究所所長が、まるでタレントのごとくテレビ出演する時間など無かろうに……