(冒頭写真は、「『量子もつれ』を実験により実証し今年の「ノーベル物理学賞」に輝いた欧米3氏の写真と略歴を、朝日新聞2022.10.05付記事より転載したもの。)
昨日に引き続き、本日は今年の「ノーベル物理学賞」受賞の話題を取り上げる。
上記朝日新聞記事より、以下に要約引用しよう。
スウェーデン王立科学アカデミーは4日、今年のノーベル物理学賞を、原子や電子といったミクロなものを扱う「量子力学」に関する研究で、欧米の3氏(上記写真を参照下さい)に贈ると発表した。 未来社会を大きく変えると期待される量子コンピューターや量子暗号信号など、量子情報科学の先駆者だ。(中略)
「量子もつれの実験でベルの不等式の乱れを立証し、量子情報科学を切り開いた」という業績で、物理学者アインシュタインすら疑った量子力学の正しさを証明した。
量子力学の世界では、日常生活では想像しにくいさまざまな現象が起きる。 その一つが「量子もつれ」と呼ばれるもので、互いに関係する二つの粒子の一方を観測すると、どんなに遠くに離れていても、もう一方の粒子の状態が同時に確定するというものだ。
その不思議さから、量子力学が生まれた当初、正しいか否かの論争が続いた。
決着のカギを握ったのは、物理学者ジョン・スチュアート・ベルが1964年に発表した「ベルの不等式」だ。 この不等式が成り立たなければ量子力学が正しいという内容。 その後改良され、実験で得たデータで確認することが可能になった。
クラウザー氏は72年、量子の一つである「光子」を使って実験し、不等式の範囲内に収まらないことを報告。 アスペ氏は82年、改良した装置を使った実験によって、不等式が成り立たず破れていることをほぼ確実にした。 ツアイリンガー氏は97年に、量子もつれを利用して量子状態を遠隔操作する「量子テレポーテーション」と呼ばれる現象を初めて実験で示した。 (中略)
授賞式は12月10日にストックホルムである。
(以上、朝日新聞より要約引用したもの。)
この原左都子が初めて「量子力学」にはまったのは2度目の大学入学後だったので、1980年代半ばの事だ。
当時の我が専攻の「経営法学」とはまるで専門違いの「科学哲学」の講義が選択可能だったのに、元理系(医学部出身だが)の私は迷いなく飛びついた。
この授業は確か、一般教養科目として履修したと記憶しているが。
授業を担当していた哲学ご専門のA教授(我が大学には講師として来られていたが)の授業内容がまさにバリバリ哲学であり、興味深いことこの上無かったものだ。
(本エッセイ集「左都子の市民講座」や「学問・研究」カテゴリーのバックナンバーにて、A教授による授業の我が講義ノートを参照しながら授業内容を再現していますので、よろしければご欄下さい。 素晴らしく内容の濃い授業でした!!)
上記朝日新聞記事によれば、アスペ氏やツアイリンガー氏が「量子もつれ」実験研究を成したのが80年代~90年代の時代だったようだが。
私がA教授の授業を受講したのよりも後の実験研究である事実に、何だか時代の移り変わりの速さを実感させられると共に、新鮮な気分にさせてもらえる感覚だ。
そう言えば私が最近購入した物理学著書 ミチオ・カク著「神の方程式」にも、この「量子もつれ」に関して記載されているだろうか?
途中までしか読んでいないため、この話題に未だ到達していないかもしれない。
最後に、「量子もつれ」との用語に関してネットより引用しておこう。
量子もつれとは2つ以上の系があったとき、全体の系が量子力学的に確定しているにも関わらず、それぞれの部分系の状態は確定していない状態です。状態とは例えばどっちに回転(スピン)しているかといったものです。例えばサッカーボールが2つの全体の系があるとします。サッカーボールのような大きなものであれば、全体の系の回転方向がわかればサッカーボール1個1個の回転方向も分かります。しかし、電子2個のようなミクロなものは、全体の系の回転方向がわかったとしても、電子1個1個の回転方向はわからない場合があり、その場合を量子もつれというのです。細かく説明すると、電子のような量子は時計回りと反時計周りの2パターンの回転方向を取ることができます。しかし「重ね合わせの原理」により、2つの電子AとBは時計回りと反時計周りの2パターンの状態を取ることができます。さらにx方向、y方向、z方向とそれぞれに回転方向を持っており、観測する向きによってどの回転方向が確定するかが決まります。ここでx方向の時計回りをx+、反時計回りをx-と置いて、電子Aの状態がx+、電子Bの状態がx-で測定でわかったとします。これを1つの系と見なすと、この系は確定していることになります。ここで重ね合わせにより電子Aにx-、電子Bにx+の状態が合わさって、新たな状態を作ります。すると全体としては「電子Ax+、電子Bx-」と「電子Ax-、電子Bx+」が重ね合わせた状態として確定していることになります。しかし、電子Aを測定すると量子もつれがとけ、電子Aはx+、x-のどちらか一方の状態に1/2の確率でなり、電子Bは電子Aとは逆の方向になるのです。つまり、重ね合わせにより全体としては確定しているが、個々の系としては確定していない「量子もつれ状態」となっていたのです 。
(以上、ネット情報を引用したもの。)
最後に原左都子の余談だが。
上記引用文を読むだけでも、学者や研究・実験者達の日々の緻密な観測・測定作業及びそれをまとめ論文として世に出す努力の程を察していただけるものと、信じたい思いだ…