(冒頭写真は、徳島県鳴門市に位置する陶板美術館・大塚国際美術館内で撮影したフラ・アンジェリコ作「受胎告知」の陶板複製作品。)
以下、本エッセイ集2016.06公開のバックナンバーを再掲載させていただきます。
私はここ数年郷里へ帰省する都度、大塚国際美術館を訪れている。
この美術館は表題の通り「陶板美術館」であり、決して本物の美術絵画を展示している訳ではない。
ところがこの美術館の最大の特徴とは、古代、中世、ルネサンス、バロック、近代、現代を通して物凄い数量の歴史を超越した世界中の名作陶板絵画を展示している事なのだ!
これには恐れ入る。
これ程大量の名作陶板(そのすべてがオリジナル作品と同じ大きさ)を制作した大塚財閥の資金力の程に、地元出身の人間として改めて驚嘆するばかりである。
ここには常に国内外からの団体旅行客をはじめ、地元の小中学生達が遠足等の目的で訪れている様子だ。
今回の我が訪問時にも、6月初旬との観光閑散期にして団体旅行客のバスが数多く駐車場に停車いていた。
ここで話題を変え、当エッセイ集2016.2.8バックナンバー「ローマ・ピサ・フィレンチェ列車と徒歩の旅」より、「サンマルコ美術館」及び「フラ・アンジェリコ作『受胎告知』」に関するネット情報の一部及び我が私見を紹介しよう。
フィレンツェは15世紀のルネサンスにおいて、文化的な中心地だった。 今でも当時の名残を味わうことのできる博物館や美術館、教会などがたくさん存在しているが、「サン・マルコ美術館」もその一つだ。
サン・マルコ美術館は元々は12世紀に建築された修道院だった。 15世紀になり、損傷が激しくなったこの修道院は、1434年に当時の法王エウゲニウス4世の配下でドミニコ会の修道院となった。 そして、この修道院はコジモ・デ・メディチの指示により、1437年から1452までの間、約15年もの年月をかけて改修工事が実施された。 1866年に修道院は廃止されたが、1869年にその一部が美術館として公開されることになった。
見どころとして挙げられるのは、フラ・アンジェリコの作品が数多く収蔵されている事だ。 フラ・アンジェリコの壁画のなかでも最高傑作とされるのが「受胎告知」。 修道院内の回廊を回った後、2階に上がる階段を上ったところに「受胎告知」は展示されている。
次に、ウィキペディア情報より要約引用。
フラ・アンジェリコは、15世紀初頭より活躍したフィレンツェ派を代表する大画家。 師であるゴシック絵画の大家ロレンツォ・モナコより学んだ、ゴシック的である豪華で優美な表現に加え、初期ルネサンスの三大芸術家のひとりマザッチョの作品から空間・人体の三次元的描写を学び、鮮やかな色彩による敬虔で高潔な人物描写による独自の画風を確立。
原左都子自身もこのフラ・アンジェリコ作「受胎告知」を、日本国内の美術館にて何度か観賞した記憶がある。 当該作品が、サンマルコ美術館(当時は修道院)の壁画である事を今回初めて認識した。 これが壁に描かれた壁画だったとすれば、イタリア国外にて展示されるアンジェリコ作「受胎告知」とはすべて“複製”との事実に驚かされる。
この場で現物(本物)を観賞出来る事が、改めて奇跡のように思えたのだ。
上記ネット情報にも記載されている通り、サンマルコ美術館は歴史的美術作品の宝庫だった。 しかも数あるフィレンチェの美術館・博物館の中でも、サンマルコ美術館は観光客が少ないとの情報も得ていた。
実にその通りで、午前中のフィレンチェ観光に於いて、静かにゆったりと美術品満載の元修道院にてひと時を過ごせた事に、これまたイタリア旅行の醍醐味を見た思いだ。
(以上、「原左都子エッセイ集」バックナンバーより一部を引用。)
半年程前に旅したイタリアにて訪れたフィレンチェのサンマルコ美術館は、我がイタリア旅行のハイライトとして大いに印象に残っている。 (中略)
そのサンマルコ美術館の展示物の中でも、ひときわ目を引いたのが 「名画 フラ・アンジェリコ作 受胎告知」だ。 (この名作の“本物”を撮影した画像は、左欄のフォトチャンネル「イタリア旅行フィレンチェ編」にて公開しておりますのでご参照下さい。)
さて、再び大塚国際美術館に話題を移すと、その「フラ・アンジェリコ作 受胎告知」はB2階ルネサンス展示コーナーの目立つ場所に存在した。
いやはや、実に懐かしい思いだ。
この名画に、我が郷里にて再開出来た事を嬉しく感じる。
我が記憶によれば、過去に修道院だったフィレンチェ サンマルコ美術館の壁画である原作の「受胎告知」は、その劣化を防ぐためにガラスか何かで覆われていた気がする。
大塚美術館の「陶板複製作品 受胎告知」をよ~~く見ると、その“ガラスの覆い”までもを再現しているのが、返ってフィレンチェのサンマルコ美術館にて当該作品を見た記憶がリアルに思い起こされるようで、何だかしんみりと興味深い思いだった。
(以上、「原左都子エッセイ集」バックナンバーより一部を再掲載したもの。)
今回、我がエッセイ集にて「大塚国際美術館」に関して公開したバックナンバーを取り上げたのは。
2024.12.14付朝日新聞夕刊内に、「夢ならぬ 色あせない西洋名画」と題する「大塚国際美術館」関連記事があったからに他ならない。
以下に少しだけ、その記事を引用しよう。
大塚国際美術館は、古代から現代まで1千点以上の西洋名画を陶板で複製展示する。 モネ、ピカソ、フェルメールといった巨匠の作品のほか、聖堂や墓室を空間ごと再現した展示もある。 (中略)
美術館は1998年、大塚製薬などを擁する大塚グループの創立75周年記念事業として、創業の地の徳島県鳴門市につくられた。 陶板に絵画を再現する技術は、グループ内の陶業会社によるもの。 経年劣化が少なく、そのままの色と姿で半永久的に残せるという。 (中略)
複製ならではの利点がある。 レオナルド・ダビンチの「モナ・リザ」は、ルーブル美術館の本物は離れた場所からしか見られないが、ここではいくら近寄っても大丈夫。 (中略)
館内はとにかく広い。 鑑賞ルートの総距離は4㎞にもなる。
(以下略すが、以上朝日新聞記事より引用したもの。)
原左都子が当該美術館にて撮影してきた他作品や館内の光景の一部を、以下に紹介しておこう。
画面が横になっている点を、お詫びします。
下の2枚は、モネ作「睡蓮」の庭を美術館内に再現した光景です。
この庭に関しては、実によく再現出来ているなあ!と感激した記憶があります!!
我が出生地である徳島県鳴門市に存在する、唯一の文化芸術展示施設と言えるでしょう。