原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

シュールな癒しの空間

2009年09月27日 | 芸術
 (写真は、東京都品川区にある「原美術館」の絵葉書とチケットの半券を転写したもの)


 今回私がこの美術館を訪れたのは、十数年ぶりのことである。

 十数年前に、私はこの原美術館に程近い御殿山ヒルズのホテルラフォーレ東京にて結婚報告パーティを開いた。(参考のため、我が家の場合は結婚式は親族のみの参加として、結婚後少し落ち着いた後に知人友人を集め別立てで“結婚報告会”の形でビュッフェ形式の披露パーティを開いたのだ。)結婚直前まで横浜に住んでいた私はそちらの方面の知人友人が多かったため、それらの方々の交通の便も考慮して“品川”という地を選択したいきさつがある。
 当時ホテルラフォーレ東京にそのまま宿泊した私は、披露パーティの次の日に身内に誘われて、既にお腹の中に宿っていた我が子も共に原美術館を訪れている。


 今回はこのシルバー連休中に、もうすぐ16歳を迎える我が子と共に「原美術館」を訪れた。
 久しぶりに見る御殿山ヒルズの人影のまばらなガーデンやホテルが、あれから十数年の年月を経て我が子の成長と引き換えに色褪せて廃れを感じさせつつそびえている。 その姿が寂しくもあり感慨深くもある。


 その御殿山ヒルズのちょうど裏手に位置する原美術館は、閑静な住宅地の中にひっそりと佇んでいる。
 元々私邸として建造された原美術館の建物は、旧日劇や上野の東京国立博物館本館を設計した渡辺仁氏による代表作品のひとつであるのだが、ヨーロッパの建築様式を取り入れたこの個性的な建物自体がアーティスティックな存在感を醸している。
 そして、広い中庭に面した美術館内のカフェ(上記写真参照)が人気スポットであり、美術館を訪れた人はこのカフェの白いテーブルに座って中庭に置かれたオブジェを観賞しながら、ゆったりと流れる癒しの時間を過ごすのである。

 原美術館は、1979年に現代美術専門館の草分け的存在として東京・品川に開館した。そのコレクションは、シュールレアリスムを初め1950年代以降の日本、欧米、アジア、中南米諸国の現代美術作品1000余点であり、その内容は絵画、彫刻、写真、ビデオ、インスタレーション等多岐に渡っている。
 (以上、“原美術館プレスリリース”の記述も引用しつつ綴っています。)


 それらコレクションの中から、10月12日まで開催中の今回の企画展では28点が全館に展示されている。 その展示がヨーロピアンの建物にマッチしていて大変興味深い。 展示室である居室のみならず、廊下、階段、トイレや手洗い所までもが作品の展示場と化していて、美術館と作品が一体化しているのだ。 「おや、控え室に間違って入ってしまったかな??」と思ったらその部屋全体が作品だったりする。これらはやはり、現代アートならでは可能となる施策のユニークさであろう。

 連休中ゆえに人気のカフェが混んでいたのが残念だったが、美術館観賞の最後に娘と二人でカフェの白いテーブルに座って中庭を観つつ寛ぎの一時を過ごすことが出来た。


 美術館としてはユニークな存在の原美術館であるが、大都会の中に佇む“シュールな癒しの空間”で、皆さんも一時(いっとき)喧騒を忘れ寛がれてはいかがか。  
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2 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
原美術館 (はるちゃん)
2009-10-02 22:12:05
美術の記事だとコメント少ないので、書きたくなりました。そうです、原美術館は本当に素敵です。目黒時代はよく通ったものです。駐車場もあるし。磯崎新によってリフォームされたカフェも魅力的、あのお隣でお披露目パーティーだったのですね・・・今はあちこちで見られるナムジュンパイクの電光オブジェを最初に見たのも原美術館の小部屋と記憶しております。
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はるちゃん先生、原美術館は洗練されていますね。 (原左都子)
2009-10-03 07:40:53
はるちゃん先生、ブログのコメント欄ではご無沙汰でした。ご多忙中のご訪問、ありがとうございます。

十数年ぶりの原美術館訪問でしたが、いつも新鮮なメッセージを発信し続けていて本当に魅力的な美術館だと再確認しました。
我が家からもメトロ副都心線の開通により渋谷が至近距離となったお陰で品川方面も近くなりましたので、時々あのカフェで癒しの時間を過ごそうかと思っています。

そうなんです。あの隣でのお披露目でした。マイクを握って「今まで好き放題に生きて来た私だが、これから老後まで子育てとは嘆かわしい…」なんたらかんたらと喋ったものです。トホホ…
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