◎原住民司法に関する参考資料として排印する
昨日の続きである。『原住民司法論集』(司法資料第二九〇号)の「序文」を紹介している。本日は、その二回目で、「序文」の最後の部分を紹介する。
原住民司法に関連しては、未開民族の法と慣習の考察が重要であるけれども、こゝには主として司法制度又は司法政策に関するものを収載した。本号収載論説の邦訳に付ては主に部内判事諸氏の協力を受けた。訳者は一は環昌一氏四は荒川正三郎氏五、一一は板野英雄氏六乃至九は伊藤俊夫氏一法〔ママ〕は内藤頼博氏一二は小関敏正氏民一三は沢井種雄氏である。
ジャワに関する資料一に於てはResidentieを州Residentiegerechitを州法院Regentschapを県Regentschapgerechitを県法院Regentを県長と夫々訳したが、これらの用語及び同資料に訳出しある法院名は概ね〈オオムネ〉現地軍政司法当局の用例に従つたものであり、従来の多くの用例としては右に掲げた語は夫々理事州・理事州法院・原住民理事州・原住民理事州法院・原住民理事官と称されて来たものである。四に於ては概ね従来の訳語が使用せられ、これを全部は書き改めなかつたので特に一言〈イチゴン〉する。
終りに、ジャワ原住民司法に関する旧蘭印の法規については司法資料第二九一号ジャワ司法関係法規を参照せられ度い。原住民司法に関する参考資料として茲に筆写に代へて排印〔刊行〕する。
昭和十九年二月 司法大臣官房秘書課
最初の段落に「一法」とあるのは、たぶん、「一〇」の誤植であろう。
また、最後の段落の「終りに、ジャワ原住民司法に関する旧蘭印の法規については司法資料第二九一号ジャワ司法関係法規を参照せられ度い。」の部分は、万年筆によって、抹消されている。これは、「ジャワ原住民司法に関する旧蘭印の法規」も、この号に載せることになったことに関わる訂正と思われる。【この話、続く】
*このブログの人気記事 2012・8・18