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米中以上に日中対立を煽る一部日本マスコミ  文科系

2021年12月26日 13時24分57秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 台中問題についての日本マスコミの取り上げ方の一部は、なぜか余りに狂いすぎている。それも、「台中問題は一国国内問題」という国際原則、中国発言と、「中国は、6年以内に台湾に侵攻」という米一司令官の言葉とをごちゃごちゃにしているだけのようなような稚拙な論議。

 そもそも「台湾を含めて中国は一つ。正当政府は大陸中国」というのは、国連もバイデン大統領も認めている台中問題の基礎中の基礎。中国政府がこの原則をどこで何度叫んだところで、「明日台湾に攻める」ということにはなりはしない。なのにこれをウイグル問題(これも国内問題である)と絡ませて、「非民主主義国は潰せ」まがいの雰囲気を、日本マスコミの一部が世界に率先して作り上げようとしているような! ここのところをこそ、元外務省国際情報局長・孫崎享もこう批判している。

『北京五輪と内政不干渉の原則 :国連憲章第二条「国内管轄権内事項に干渉する権限を国際連合に与えるものではない」日中平和友好条約(78年)「内政に対する相互不干渉の原則に従う」。内政不干渉は相手の行為が善と認めることでない。干渉が新たな混乱を招く。それを回避。』(「孫崎享のつぶやき」から)

 明日にも台湾侵攻が起こるというこんな論議を、元統合幕僚長までに叫ばせているのが、今の日本のマスコミの一部である。こんなふうに。
『「中国は確実に台湾に侵攻する」「脅威は6年以内」。前統合幕僚長が警鐘、沖縄の海が戦場と化す?』

 台湾発の半導体を使った中国工業製品がすべて止まってしまうように世界経済を長期にわたって揺るがす戦を中国が6年以内に起こすなどという論議には、一部保守政治勢力に衆目を集めたいという意図しか見えない。以上と兄弟のような論議「中国基地への先制的攻撃体制構築」も盛んだが、これはこういう人々による、憲法改定に向かって出された最後の大きな武器、布石なのだろうか。ただ、こんな国家「防衛」思想を憲法に書き込むとあれば、9条改訂だけでは到底済まないことになってくる。この論者の1人である高市早苗氏には、こういう想像力も無いのである。「先制攻撃防衛論などを掲げれば、相手国もそうなって、チキンレースが始まる」と。

 アメリカの「軍産共同体」勢力、ネオコンが今も日本一部政治勢力を動かしているのだろう。河野防衛相がイージスアショアとともに断ったはずの無人偵察機グローバルホークも、去年の夏に改めて買い入れを申し入れたことになっていると今日の新聞がすっぱ抜いていた。防衛相が知らなかった大枚の武器購入! これでは、日本の米兵器購入システムは伏魔殿だ。「台湾侵攻」が叫ばれる度に、こういうことがますます起こっていくのであろう。としたらやはり、アメリカの「戦争警鐘」は兵器売り込みの宣伝手段なのか?? 日本の一部政治勢力は彼らの絶好のカモなのかな?

 それにしても、日本自衛隊の最高幹部がバイデン大統領よりも強く「台湾侵攻」を警鐘するのは、チキンレース好きに過ぎる。
「軍隊は絶えず、自己拡大を図りたがるもの」??

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前統合幕僚長・河野克俊氏が対中先制防衛論  文科系

2021年12月08日 02時46分53秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 今日は12月8日、あの太平洋戦争真珠湾の日である。対する今の日本には急遽、勃然と「軍事費をGDPの2%に」、「中国相手には先制的防衛戦争策を」などの声が起こっている。最近のその典型としてデイリー新潮サイトで表記の物を読んだから、要約してみたい。日本防衛に責任ある制服組最高位の立場だったお方が、こんなテーマで語ったのである。この文章に付いた題名もおどろおどろしいような・・・。
『「中国は確実に台湾に侵攻する」前統合幕僚長が警鐘、沖縄の海が戦場と化す?』

 まず、文中の中見出しすべてを順に紹介しておこう。
・自由主義陣営を挑発し続ける習近平国家主席
・世界で最もキナ臭い地域
・台湾侵攻はいつ起こるか
・脅威は6年以内
・米国も中国抑止の新たな手段を構築中
・台湾侵攻がおこってしまう条件
・自国民を虐殺した過去
・果たすべき責任
・目前に迫った危機

 どうだろう。「他国が攻めてこないように国防が必要」という戸締まり論が、「中国が6年以内に確実に攻めてくるから備えを」にまで進み、さらには最近流行のこんな論議に結びつけて行く。
「他国の攻撃で日本国民の安全が脅かされる場合に限っては、戦術的な敵地への先制攻撃を認める必要がある」
「『目前に迫った危機」であることを自覚し、決意をもって来たるべき日に備えなければならない」

 ところで、「6年以内」などと述べたのは米の一司令官に過ぎない。対するに、バイデンはその対中姿勢に関わってつい最近改めて、こう述べたばかりだ。
「『一つの中国』という(国連と)米の伝統政策は、これを認める」
「台湾の独立は促してはいない」
 ただこの時のバイデンも一言、こう警告はしていた。
「一方的な現状の変更や平和と安定を損なう試みには強く反対する」

 台湾が一国内の分裂政府であるという国際原則は、米でさえ認めるというように、国連を中心とした多国間主義国際社会にはやはり厳然と堅持されているのである。ただ、長く続いたこういう一国二政府状態をどう解決していくのかは、どの国にとっても難しい問題となるはずだ。ただし、この原則を中国が語るたびに、最近ではこれに対して「6年以内に進軍、侵攻」と河野氏らは決めつけることになるわけだ。その上で彼は、この問題を、「沖縄の島々・・・を取り巻く美しい海が一触即発の状態にある」と、日本国土の問題だと語ってみせるのである。


 中国が台湾に侵攻したら、中国への台湾得意分野・半導体輸出製品がすぐに止まるなど、世界貿易・経済は大混乱、長期にわたる停滞をおこす。アメリカとよりもはるかに大きい相互輸出入がある日中も取り返しの付かない歴史的なダメージを負うことになる。ましてやいったん始まった米中戦争は、核戦争にさえ発展しかねない世界の危機をはらんでいる。それも度外視するのでなければ、対中先制攻撃的防衛策などは出てくるわけもないものだろう。先制的な一撃で中国の核基地を全部叩けるという方向を目指していくことになる。どこまでもどこまでも・・・こんな論議は「中国が地球を破壊しようとしているから、それに対する地球防衛が必要だ」という「戸締まり論」(実は「相手」と同じ地球破壊論だ)を語る(悪)夢想家のものと観るのが相応しい。
 
 対する中国はと観れば、2015年国連総会で習近平がこういう提案をしている。
【 ①10年間で10億ドル(約1200億円)規模の「(国連)平和発展基金」を創設
②『中国が国連の新しい平和維持活動(PKO)即応体制に加わり、常駐の警察部隊と8000人規模の待機部隊の立ち上げを主導する』
③今後5年間でアフリカ連合に総額1億ドルの無償軍事支援を行い、アフリカの常備軍と危機対処部隊の設立を支持する。】

 国防を国連(常駐)軍でやっていこうという方向を含むこの提案には、当時の世界が驚いたものだった。ボイス・オブ・アメリカによる高評価も含めて。こういう中国の論議は日本では全く聞こえてこずに、河野氏や高市早苗氏の上記のような夢想的「対中先制防衛論」だけが政界席巻というのは、極めて異常だと思う。河野氏は制服組のトップ、高市氏は自民党政調会長だ。

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新自由主義は誤り、それで?  文科系

2021年11月28日 11時34分06秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 いまでこそ言われ始めた「新自由主義経済体制は誤り」とは、経済学の常識から言えば、初めから分かっていたことだ。ちなみに、これを言い換えて金融株主資本主義の正しさなどは、最初から説明、説得などなにもされていず、ただ「世界的な金融活動国家規制緩和」として強引に進められ、昔ながらの「自由競争賛美」が形を変えて復活しただけのことである。だから弱小国は為替や株の空売りなどで貪り取られるだけ、人件費を削る会社の株が上がって、色んな格差がひどくなり、世界的に弱者はとことん貶められた。

 さて、これを正すとなると、これがとても難しい。世界を暴力的に席巻してきた流れであるから、世界的規制で制しなければならないからだ。ちょうど初期資本主義が生まれたイギリスで「10数時間労働の野放しには、国家的な8時間労働『制度』が生み出された」ように。今の金融株主資本主義に対して、こんな事ができるのだろうか。現に、世界は金融株主から正しく税を取ることでさえできずに居るのである。パナマ文書とか、最近のナントカ文書のように。

 こういうグローバリゼーション規制は国連の出番なのだと思うが、その国連をアメリカが無視を続けてきたとは、誰でも知っていることだ。もっとも、最近の「米国デフォルト近し」状況を見ると、この国の影響力は弱化の一途だろう。いや、この影響力はすでになくなっている。国連総会決議などではもう負けてばかりだからだ。が、彼に命じられて中国相手に「GDP2%へと倍増」の軍隊を目指すという馬鹿な国もある。アメリカ自身が「一つの中国」「台湾独立はこれを認めない」と中国に約束した時代になっているのに、自分だけハシゴを上っていくのだそうだ。近く外されるハシゴとは、分かってきたはずだが。

 

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米が中国に低姿勢、続々  文科系

2021年11月26日 22時37分42秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 19日エントリーにおいて、米中首脳会談で「『一つの中国』を確認」「台湾独立を今後も支持せず」というバイデン発言のニュースを報じた。その後これに関わる米中折衝ネット記事を色色検索していたが、中にはこんなニュースも見つけられた。

『米商務省は、2020年11月~2021年4月の間、制裁の象徴、ファーウェイ向け部品に614億ドルの輸出許可を与えていた。莫大な金額だけに、各方面へ衝撃が走り、日本の“蚊帳の外感覚”は強まった。日本企業はどうすればよいのだろうか。』(Record China  高野悠介)

  さらには「北京五輪外交ボイコット」というのも、声だけは強いが「検討中」と言う文字が付いていたのを観ると、いち早く「選手は参加します」と約束したに等しいと、ここで述べてきた。これら一連の首脳会談以降のニュースを見るとにかく、米が何か中国にしきりに軟化姿勢を示してきたということなのだ。この同じ趣旨のことが本日の新聞にもまた二つ載っている。『米中国防高官の対話合意 米報道、衝突回避 長官級模索か』というのと『石油の備蓄放出 中国明言避ける 対米優位強調』である。

 何かしきりに米が中国にさえもお願いをしているらしいのだが、これについてはこんなニュースもあると、ここでも書いてきた。米国が今緊急に中国を含めた各国からなんとか早く集金をしたいのだと。財務省の国庫が空になって支払いが出来ず、米国デフォルトを避けようとしているのだとのニュースである。議会から「国庫はこれ以上もう借金してはいけない」と上限が決められていた枠を何度か広げてきたが、それももう守れなくなっているということなのである。

 この動き、今後も目を皿にして見つめていきたい。

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北京五輪で米早々に、「選手は派遣」??  文科系

2021年11月20日 06時31分41秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 昨日も今日も、標記のことが鳴り物入りでマスコミを賑わせている。が、僕は逆の意味で驚いた。「外交ボイコット」って、政府外交要員が出ないだけ? これは言い換えれば、「選手は出る」と確約したということだ。しかも、この外交要員不参加でさえ、「これを検討中」?? 随分下手に出たもんだ。だって、「ボイコット」という強い見かけの大音声とは逆に、「北京五輪、アメリカは参加しますよー!」といち早く内外に表明して、世界の懸念を払拭したに等しいのだから。

 さて、この「五輪参加確約」はむしろ、昨日のエントリーで観た『米中首脳会談で、バイデンが「一つの中国」政策を確約』と同根のものである。この「ボイコット」はむしろ、この軟化政策を隠す陽動作戦でしかないと観る。それも「北京五輪には参加しますよー」という陽動作戦??  バイデンが習との電話会談で「一つの中国」、「台湾独立は今後支持しない」と約束したことと、このことがほとんど中国側からしか伝わってこないのを米側が否定しないこととから様々なことが判断できるのである。この「五輪参加確約」もバイデンが習に約束したことの一つであって、それをこんなひねくれた形で出したのであろう。アメリカはとにかく、何か大変な「対中軟化政策」を取り始めている。

「対中先制攻撃的防衛論」を盛んに吹き回っていた高市早苗ら安倍ご一統はこれから一体、振り上げた拳をどこへ持っていくんだろう。

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対中姿勢急軟化、本年当初から米、密かに  文科系

2021年11月19日 19時56分00秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 直前のエントリーにおいて、米中首脳会談で「『一つの中国』をバイデンが確認」「台湾独立を今後も支持せず」というバイデン発言のニュースを報じた。その後これに関わる米中折衝を色色検索していたが、中にはこんなニュースもあるから、日本は全く「蚊帳の外」「置いてけぼり」になってしまったようだ。高市早苗や安倍ご一統がこの総裁選挙中にも「対中先制攻撃的対中防衛論」をやって来たのが、まるでピエロのように見え始めた。このこと、寺島実郎が前から「ありうる」と述べていた、ある歴史的結末かも知れない。

『米商務省は、2020年11月~2021年4月の間、制裁の象徴、ファーウェイ向け部品に614億ドルの輸出許可を与えていた。莫大な金額だけに、各方面へ衝撃が走り、日本の“蚊帳の外感覚”は強まった。日本企業はどうすればよいのだろうか。』(Record China  高野悠介)

 このニュース、ここの読者の皆さんがドンドン追っていくことを勧めます。株とか商売などでも、とんでもない目に遭うかも知れない。この事態の背景がどうも以下のことにあるというニュースもしかるべきところから出ているようですから。

「アメリカ国家財務省のお金が底をついて、国家デフォルトを中国に、密かに、救ってもらおうとした」。この「救ってもらう」は、例えばこのように解説した論説もあった。「アメリカは日本へのFー35の武器販売等で金策を行ってきたが、それももうネタが尽きている。バイデンの習近平への屈辱的にも見える譲歩は、アメリカには中国へ支払うおカネがないからだ」(Tanto  Tempo)

 アメリカの国家累積赤字がGDPの4倍と、2015年に元会計検査院長、デイブ・ウオーカーが報告したというニュースは、当ブログで再三書いてきた通りです。

 

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「一つの中国」、バイデンが確認   文科系

2021年11月19日 00時57分52秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 米中争覇は、今や世界の焦点。そこから、日本外交、特に国防問題では台湾を巡って逆上せあがったような論調も最近特に多くなっている。高市早苗や前統合幕僚長・河野克俊らの、敵基地先制攻撃国防論はその典型だろう。「6年以内に中国が台湾に侵攻すること確実だから」で始まる、あの議論だ。アメリカでは一司令官の「見通し」に過ぎぬものを、日本では自民党政調会長までが大音声で警告しているのである。この議論が実は、戦後世界公認の「中国領土問題」常識を忘れ去った逆上せ上がりようだと、つい最近アメリカ大統領が改めて教え諭しててくれたと言えなくもない。

 15日に米中首脳電話会談が行われ、翌16日にはこの会談についてバイデン大統領が記者会見を行った。その場に於いてバイデンが語ったある言葉は、日本ではもっともっと大きい話題になっても良いはずだ。バイデンが明確に「(中国と台湾は)一つの中国」政策を採っていくと認めたからである。もちろん同時に、「一方的な現状変更は、これを認めない」という条件も付けてのことだが。

 そもそもこの問題は、あの大戦時の中国における国共戦争に端を発したもの。敗れた国民党が台湾に逃れ、この国民党政府が中国の国連代表権を長い間持っていたのを、大陸政府を正当と認めて台湾代表権を「剥奪した」というのが国連における中国問題の基本中の基本なのである。この度のバイデンの言明はその再確認なのだ。もう一度まとめると、「中国は一つ、代表権は大陸政府」が第一原則で、第二原則が「一方的な統合、つまり戦争などは許されぬ」ということだろう。

 振り返って日本政府要人の「敵基地先制攻撃国防」論議は、上記第一原則を一切無視しているという意味で、あまりにも無原則、無責任な論と言える。中国が第一原則を語る度に「明日にも台湾侵攻が・・」と発想する式の短絡思考であって、まるで戦争を煽るような挑発的外交にもなりうるものだ。これには少々皮肉も込めて、安倍首相が18年秋に訪中した日中首脳会談において「確認」しあった「日中3原則」を提示しておきたい。
『競争から協調へ』
『互いに脅威とならない』
『自由で公正な貿易体制を発展』

 この三原則を両国が今後守っていく限り、台湾侵攻はありえない。「互いに脅威とならない」という約束から観たら、高市早苗らの「敵基地先制攻撃国防」論議は戦争放棄国家の発言としては恥ずべきものとなる。なお、台湾が中国の領土だとの国連原則を認めれば中国の領海の「解釈」も全く変わってくるはずだと、ここは特に強調しておきたい。

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ありえない中国の台湾侵攻、その訳  文科系

2021年10月23日 14時18分18秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 台湾は確かに中国の領土。これは戦後国際的に決まったこと。ただし、台湾の実効支配政府が存在するから、実質他国も同じ。これをアメリカが「今後6年で、中国が台湾侵攻」などと、大騒ぎしているわけだ。中国が「自分の領土」という国際常識を語り続けるているのを良いことにして。ただし、中国が台湾を攻めるなど、ありえないと思う。その最大の材料がこれ。20年度の中国向け台湾輸出が17兆円で、台湾輸出全体の44%とか。中でも半導体が三割を占めるとか。中国が台湾を攻めたらその半導体が止まって、スマートフォン生産などがストップ。よって、アメリカと違って物作り経済が伸びているだけの中国が、台湾を攻めるわけにはいかない。こういう事実を日米主流論調は全く無視しているわけだ。

 アメリカは、最初対ソ冷戦、次いで「テロとの戦い」、そして今「民主主義を守る対中闘争」・・。いつも敵を作って、冷戦時代の二倍になった軍隊を正当化し、武器輸出を図ってきたということ。「購買力が衰えた資本主義経済国は、必ず軍事生産に励み出す」という世界史の法則よろしく、ということだろう。対中闘争で早くも、オーストラリアの原潜、日本のイージスアショアーが売れた? イージスについては価格不透明で、「安倍・河野政治闘争」があったっけ? 河野が「こんな馬鹿馬鹿しい値段を鵜呑みにするのか」と尻をまくったあれ、どうなった? 中国の民主集中制共産党の国家は誤りだと思うけれども、今のアメリカのような戦争国家にはまだまだならないだろう。なる必要も今はないのだし。

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世界一増えぬ賃金、マスコミは今もこんな片棒担ぎ  文科系

2021年10月20日 13時26分31秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

「30年増えぬ賃金 日本22位」、「上昇率は4・4% 米47% 英44%」

 これは今朝の朝日新聞第一面二番手に掲載された総選挙向け記事の見出しだ。この対策、原因分析は、今の日本社会で最も重要なもの。特に、90年代までの給料生活を知っている世代にとっては、子や孫の将来を考えた場合に「このままでは死ぬに死にきれぬ」社会問題。この選挙でも最大争点のはずだ。日本のこの問題は特に、20年ほど前からはもう分かり切っていたもので、最近では麻生、安倍でさえ毎春闘ごとに「儲かっているのに賃金を上げぬ会社は守銭奴である」などとスピーチしてきたのである。何の成果もなかったから、常に口だけだったのだが。
 さて、この分かり切っていた国民死活問題を、今なお、日本マスコミはどれだけまともに取り上げているか。アメリカ・マスコミの原因分析との対比に於いて、日本のマスコミ批判を展開してみたい。

 例えば19年8月20日の中日新聞にこんな記事が載っていた。「株主最優先を米経済界転換」と見出しされ、書き出しはこうだ。
「米主要企業の経営者団体「ビジネス・ラウンドテーブル」は19日、株主の利益を最優先する従来の方針を見直し、従業員や顧客、地域社会など全ての利害関係者の利益を尊重する新たな行動指針を発表した。これまで米経済界は「株主利益の最大化」を標榜してきたが、大きな転換点となる」

 また、この記事のちょっと後12月3日「ニューズウイーク日本版」の「宗旨変えしたノーベル賞学者」と言う記事には、こんな内容が書かれている。
 代表としてまずはポール・クルーグマンの最近の反省の言葉。
『アメリカの製造業を支えてきた中間層が経済・社会的な大変動に見舞われることに気付かなかった。中国との競争でアメリカの労働者が被る深刻な痛手を過小評価していた、というのだ』
 他の経済ジャーナリストなども今は、経済学者らの過去理論を批判しているのだそうだ。
『多くの経済学者が福祉を犠牲にし、効率性を最優先して「高賃金の雇用を切り捨て、低コストの技術産業に未来を託した」というのだ』

 そして、この論文の末尾まとめはこういうものになっている。こちらは、もう一人のノーベル賞経済学者・ジョセフ・スティグリッツが90年代から指摘し続けてきたグローバリゼーション批判なのだ。(なお、このブログにはスティグリッツ関連のエントリーは多くあるので、以下のようにしてお読みいただける。当ブログ右上欄外の検索欄に彼の名前を入れて、その右の「ウエブ」欄を「このブログ内で」と換えて、🔍印をクリックする)。
『最大の負け組はやはり、アメリカの労働者だ。経済学者はかって、好況下では労働者は自分たちの賃金を引き上げる力を持つと考えていた。だが最近の見方はちょっと違う。多国籍企業が全世界を自らの縄張りに収めて四半世紀がたち、グローバル化した資本は国内に縛られたままの労働者よりも優位に立った』


 さて、アメリカ・マスコミのこの分析「(中国相手の)経済空洞化」は、日本では世紀の移り目からすでに激しくなっていたはずだ。だのに、「新自由主義批判」にはならず、新自由主義経済議論だけが相変わらず主流であっただけでなく、今なお、マスコミ主流はそれを脱していない。だからこその、この日本労働者の急な没落。最近最新のそういう例をいくつか挙げてみよう。

・新首相の「金融所得税」発言に対して即株価下落が起こったときに、これを支持して株価下落「対策」を説いた論議、論調がどれだけ起こったか。この論議は当然、こういうものになるはずなのだ。IT世界企業などに対する15%市場税がG20で話されているが、新自由主義対策、金融対策などは一国ではできず、国連規模で世界一斉に取り決めねば不可能なもの。つまり、日本マスコミは、一国だけでできないものは論じない積りなのか。歴史をさかのぼると、企業と戦わねばならぬ8時間労働制の獲得などは、一国内一斉の制度にせねばならなかったはずだ。金融税もG20とか、国連とかに持ち込む話なのだ。安倍、麻生が、そんな努力をしていたのかどうか?

・今回の総選挙の愛知6区で、6回当選のトヨタ労組を基盤にした古本伸一郎氏の出馬が取りやめになったが、このことを批判したマスコミ論調がどれだけあったか。世界大企業や金融所得から税をもっととってきて再分配をする国際的取り決めも最緊急の課題だが、わざわざ労組の声を弱めるような行為は、上の対新自由主義のアメリカ(少なくとも表向きの)論調から言えば、はなはだしい誤りになるはずだ。日本最大の労組団体・連合が原発だけにこだわって野党共闘を軽視するところから労組らしい政治活動が何もできていない問題も、この総選挙に向けた今や、重大な俎上問題になるはずだ。それをこの古本立候補断念にかかわっては、こともあろうに事実経過だけをさらりと述べるだけ。自民党や、カーボンに苦闘する経営者と一体になって?? 自民党に圧力をかけられた経営者の意思を汲んで労組候補を降ろす?? 

 日本のマスコミって、どうしてこう現象の後追いばかり、未来に向かった正しい問題意識をなくするようなミスリードばかりなのだろう。この拙文冒頭にあげた朝日の記事見出しのように、自分が提起している最も重要な国民的課題に対してこうなのだから、驚く。

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どうなる、米中狭間の日本 ④  文科系

2021年10月09日 09時15分35秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

1 前回の最後にこう書いた。
『核戦争はできない。中国がもつ核能力は、先制的第一次核能力ではなく、第二次的核反撃能力である。また、防衛的に相手都市破壊はできるが、相手兵力破壊はできない核である。歴史的・国際的かつ国連的にも中国領土であると認められてきた台湾だが、危惧されている台湾侵攻も、言われているようにはありえない。「6年以内には(あり得る)」などは、アメリカの一司令官が語っただけのものである』
 米中の軍事費比較をしてみても、このことが分かる。対GDPの軍事予算比率(ストックホルム研究所2020年度)は、中国は1・75%ほど、アメリカはその倍を優に超える3・74%というのだから、中国に戦争をする意思などは皆無というべきだろう。むしろ、第一回目で述べたようなアメリカの中国挑発が、近年はるかに執拗になっている。ケーガンの「世界秩序の強制」、キッシンジャーの「体制転換を強いる」という動きである。

2 アメリカは、20世紀の対ソ冷戦から、21世紀になって「テロとの戦い」、次いで今「米中争覇」を世界戦略とした。そして今、近年のアメリカの世界戦略である「予防戦争論」「先制的防衛論」なる概念が、中国の台湾政策などに適用され始めた観がある。これらの歴史を一言で表現すれば、こんな戦略がアメリカについて回ってきたのは明らかだろう。「地政学的な敵を作って軍事に世論を引き寄せて軍隊を守り抜き、その敵の周囲国に兵器を輸出する」。テロとの戦いでは、サウジ、UAEの対GDP軍事費率が世界有数になったし、対中国を巡って最近はオーストラリアへの原潜輸出問題や日本のイージスアショアー問題が起こっている。そもそも古い時代を識っている我々から観ると、米がソ連と対峙した冷戦時代より二倍も大きい軍事費を使っているというその理屈が理解できないのである。

3 先の自民党総裁選挙では、高市早苗氏が猛烈な「対中予防戦争論」を展開して、世を驚かせた。また彼女のこの論をも意識してだが、安倍元首相が「高い見識」などとネット評を書いた事も世に広く知られている。当ブログ9月24日エントリーで高市氏の議論を紹介したが、「中国が必ず攻めてくる」と言うところから始まるようなこの先制的防衛論のどこが高い見識なのか。ということで、このシリーズを終わりたい。

【『 高市早苗氏のこういう題名が付いたネット記事を読んだ。
『高市早苗氏 経済安全保障と中国の脅威を語る「やられたら報復がある。それが抑止力」山田宏氏との対談にて』
(中略) 
「日本の科研費を使って、日本で研究をした中国人が中国に帰って、極超音速兵器兵器を開発しています。極超音速兵器は日本では残念ながら迎撃できません」「ではどうすればいいかということです。もしも早めに発射の兆候がわかれば、敵基地先制無力化をします。これは安倍内閣の積み残し案件で、敵基地先制攻撃と安倍首相はおっしゃっていました。私はむしろ敵基地先制無力化と言ってます。いかに早く相手の基地を無力化するかで、これからは勝負が決まると思っています」
「だから、反対にこちらが仕掛けます。敵基地の無力化をします。このための備えもしなればいけませんが、法的にできないこともあります。サイバー攻撃で相手の基地やシステムを無力化します。これはアクティブディフェンスですが、日本では法律がありません。憲法で通信の秘密にひっかかるというのがあって、安倍内閣でもなかなか議論が進みませんでした。」 】  

 日本政治家(大集団)の対中政策の一部が、このように狂っているということだ。アメリカ永年の対日工作の産物なのだろう。今のアメリカという国は、政府機関だけではなく、それ以上に私的機関が世界各国の世論形成に猛烈に励んで来た。これも企業の対世界戦略に組み込まれているのである。ちょうど、正式な軍隊よりも私企業軍隊の方が、イラクやシリアでよほど大活躍してきたというようなことではないか。

 

(終わります)

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どうなる、米中狭間の日本 ③  文科系

2021年10月06日 05時47分04秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 このシリーズ第一回目では、アメリカ最近の対中戦略論の数々を紹介した。
 第2回目では、2018年10月の安倍訪中1000名代表団の「成果」を巡って起こった日本政府内「論争」を観た。結ばれた「日中友好今後の三原則」の内容を外務省が薄めようと画策したことも明らかにしている。この外務省の振る舞いにはいつものように背後でアメリカが糸を引いていることも明らかなのだ。

 今回は、「米中狭間の日本」の現状と今後に関わって、この10月3日朝日新聞「Globe」に絶好の記事が載っているので、これを紹介して弱冠の補強コメントを付けるという内容になる。

  題名『ニクソン外交が生んだ「巨大な竜」中国とともに生きる道はあるのか』というこの談話者を紹介しておこう。チャス・フリーマン。ハーバード大院を出て、国務省の中国政策担当から、ニクソンに仕え、ブッシュ(父)政権でサウジアラビア大使、クリントン政権の国防次官補などを歴任し、現在は「米ブラウン大ワトソン研究所の上級研究員」とあった。1971年のニクソン訪中に同行して以来の中国政策専門家なのだ。なお、この年に、中国の国連代表権が中華民国(台湾政府)から中華人民共和国(大陸政府)に移った。つまり、台湾政府が国連から追放された。よって、国連の合意としては、今でも「二つ合わせて一つの中国」なのである。
 以下この談話を抜粋する。

『半世紀前の(ニクソンの補佐官キッシンジャーの)極秘訪中に始まる米国の「対中関与政策」は、中国封じ込めの終結や、中国の国際社会への正式復帰の始まりを意味します。中国はその後、日本をはじめとする国々との国交回復も果たし、いまや経済大国です。中国にどれだけの利益があったかは明白です。
 一方でニクソンがキッシンジャーを北京に派遣した狙いは、中国を味方に付けて、「東西冷戦」の敵国である旧ソビエト連邦を封じ込めることでした。ところが現在、旧ソ連はすでに消滅し、米国が軍事的に対立するのは、むしろ中国です。米国側には半世紀前のできごとを祝う理由があまりないのです。』
『バイデン政権は同盟国や友好国との協議も重視しつつ、より洗練された形で、トランプ政権とほぼ同じ対中政策をとっている。米国のエリート層の間で、中国に厳しく敵対的に接するべきだという政治的な合意があるからでしょう。』
『中国は現在、世界で流通する製品の30%以上を生産しています。米国は16%です。我々が中国と長期的な紛争に入り、消耗戦になったら、優位に立つのは中国でしょう。』
『米中が建設的な関係を築くには20年はかかります。そのころまでに、中国は米国との競争ではるか前を走ってるでしょう。そうなったとき、米国は「我々は中国になる必要はない」という教訓を得てほしい。私たちは自分自身を再発見し、自国の競争力を向上させるため、より多くのことをする必要があると気づいてほしい。かつて日本は中国の急成長に驚き、やがて「中国とともに生きるしかない」と認識しました。米国も日本のように、中国に適応していってほしいと願っています』

 

 なお、この記事を理解するため必要な予備知識の数々を挙げておこう。この記事中にはない史実に属することなどである。
・対中国強行政策でアメリカはすでにいくつも失敗している。2015年の中国株暴落工作は中国100兆円ほどの投入によって失敗したし、2019年に中国を「為替操作国」認定に持ち込もうとした米工作は、IMFの離反で失敗した。これらの失敗以降、元は国際通貨としてどんどん広がっていて、元の空売りなど「通貨攻撃」ももはや不可能である。

・トランプ以来の保護貿易主義強行は世界で対米不信を招いてきたが、バイデンの「バイアメリカン法」提出など現在なお強化されつつあって、さらに世界の信用を失っている。例えば、連邦政府調達物品の100%近くがもう米製品になっているが、米製品とはまもなく「自国部材75%以上の製品しか認めない」というような法律である。川崎重工のニューヨーク地下鉄、日立のワシントン地下鉄など、各何百両という商談は、今後はありえなくなるということだ。   

・核戦争はできない。中国がもつ核能力は、先制的第一次核能力ではなく、第二次的核反撃能力である。また、防衛的に相手都市破壊はできるが、相手兵力破壊はできない核である。自国領土であると国際的に認められてきた台湾だが、危惧されている台湾侵攻も、言われているようにはありえない。「6年以内には(あり得る)」などは、アメリカの一司令官が語っただけのものである。

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どうなる、米中狭間の日本 ②  文科系

2021年10月05日 09時10分30秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 中国に対してアメリカの、今後取り得る「構え」論議を前回に紹介した。今回は、そういうアメリカが、日本に対して最大の牽制をしたある「世界史的」大事件を描写してみたい。このことが日本には最初の一報以外にはほとんど報道されなかっただけに、事は重大なようだ。西欧などからいつも言われるように、日本のこの報道管制は全く、全体主義的と言う他はない。19年の天皇訪中約束は確かにあったのだ。以下に観るように19年以降中国と経済協力だけではない仲にも入って行き始めたはずなのだ。以下三つの旧稿の真ん中に置いた、同じ事件を伝えた外信報道がその証拠になるはずである。しかしながら、その後のアメリカの厳しい反応に「原則」という言葉も理解できないやの安倍がびっくりしてしまった。それで、今回の総裁選における対中ハリネズミ論へと高市を動かすに至った。その上で取った態度が、

「3Aより賢そうだから、岸田に任せてみよう。河野は、我々がうまくやったイージスアショアーの『ちゃぶ台返し』によって反米と観られているよなー・・・」。

 

【 対中で、首相・外務省に重大対立  文科系 2018年10月30日

 今日の新聞を読むと、日本政府部内に標記の一大事が起こっていることが分かる。しかも、事が事、中国に対する今後の政府新方針に関わる対立だから、米中冷戦勃発との関係もあって、今後日本のブロック経済方向絡みで以下のような重大な意味を持たざるをえない対立である。先ずは、新聞報道を要約しておこう。要約する記事は、中日新聞2面の『「日中3原則」で混乱』、『会談で確認?食い違う主張』と見出しされた物だ。

 事は、26日北京における日中首脳会談で確認された今後の3方針に「原則」という概念を使うか否かという対立である。習首相らと「原則」と確認し合ったと国会答弁や官邸フェイスブックなどで外に向かって大きく表明した安倍首相に対して、内閣官房副長官や外務省が「3原則という言い方はしていない」とか「中国側が確認したと言っているわけではない」と叫んでいるから、大事件なのだ。政府部内で一体、何が起こったのか。折しも米中貿易戦争の真っ最中とあっては、米よりの外務省と、対中経済大接近の現状を追認しなおすしかなかった安倍首相という構図も見えてくるのである。さて、その「三原則」とは、このように重大な物ばかりだ。
『競争から協調へ』
『互いに脅威とならない』
『自由で公正な貿易体制を発展』
 どうだろう、これを今後の対中日本外交の原則と呼ぶかどうかは、米中貿易戦争・冷戦開始の間に立った日本の方向をすら示していると言えないか。先ず3番目がトランプアメリカへの批判になることは明らかだし、その上で2番目を宣言し直しているというのでは、アメリカの神経を逆なですることになろうから。確かに、対米追随の外務省が顔色を変える事態なのである。

 さて、これだけの理解では、事の重大さにはまだ半分程度しか迫れていないと思う。このことの全貌をきちんと理解するには、最近の日米関係、日中関係等や、世界史の知識なども必要だ。例えば、①日本の対米輸出よりも対中輸出の方が圧倒的に多くなっている、とか。②アメリカが自由貿易を捨てて、カナダ、メキシコなどを引き連れたブロック経済圏作りに走り始めたが、日中は「自由貿易支持」を表明し続けてきた、とか。③EUも自由貿易支持の立場から、アメリカの姿勢を批判し続けてきた、とか。④そもそも世界恐慌時のブロック経済圏作りとは、世界史においてどんな意味を持っていたか、とか。

 今はこれ以上のことは何も言えない。が、首相を中心において政府部内で重大対立が現れるほどの切羽詰まった局面に日本が立たされている事だけは確かなのである。世界経済第3位の日本は、2位のお隣中国に寄っていくことによって、アメリカの保護主義批判の立場を一層鮮明にするのだろうか。としたら、戦後日本の大転換点にもなる。こんな局面では普通なら、アメリカが安倍を切ることになる。田中角栄や小沢・鳩山がやられたように。(以下)略 】


【 習訪日と、天皇訪中・侵略謝罪へ  文科系 2018年11月11日

 アメリカのオンライン誌「ニュー・イースタン・アウトルック」にウイリアム・エンダールが5日書いた記事に、こんな下りがあった。日本マスコミがまだ伝えていないニュースとして。これも安倍のマスコミ工作なのだろうが、情けないことである。題名のこの部分をそのまま載せておこう。

『 中国でも日本でも、マスコミ報道で触れられていなかったのは、安倍総理から習主席に伝えられた天皇の歴史的な申し出だ。日本の情報筋によれば、1930年代の日本による中国侵略を、中国人に正式謝罪するため、明仁天皇が来年4月の退位前に中国訪問を希望していることを安倍首相は伝えた。同時に、天皇は習主席を日本訪問招待した。報道によれば、習主席は天皇の中国訪問決定とは関係無く招待を受けた。天皇のこうした動きを、北京と中国は、象徴にとどまらないものとして受け止めている。』

 なおまた、同記事中の上の記事の前にはこんな内容もあったと報告したい。アメリカに「失恋」した安倍の大慌ての心のうちが見えるようではないか。

『トランプ政権による中国と日本両国に対する貿易戦争の最も重要な結果の一つは、最近の北京における日本の安倍晋三首相と、中国の習近平主席との外交・経済会談だ。東シナ海の係争中の島嶼を巡り、関係が冷却して7年で初めての、日本首相によるそのような会談だっただけではない。アジア最大の経済圏で、新たな政治・経済戦略が始まるかもしれないことを示してもいる。北京を発った数時間後、東京で、安倍首相はインドのナレンドラ・モディ首相をもてなした。これは、新たな多極世界での新たな側面の前兆なのだろうか、それとも単に安倍首相の抜け目のない政治なのだろうか?

 北京での会談を、単なるシャッター・チャンスと見なしているわけではないことを示して、安倍首相は日本企業幹部約1,000人の財界代表団を帯同した。李克強首相が、会談中に、180億ドルの商談がまとまったとを発表した。両国は将来の通貨危機に備え、290億ドルの通貨スワップ再会にも合意した。両指導者は、将来、緊張状態になった場合に、通信するためのホットライン設置にも合意した。安倍首相が習主席を2019年の日本訪問に招待したのも大きな一歩だ。

 中国通貨の信頼性への極めて大きな後押しとなる、日本の外貨準備への中国人民元組み込みに日本が同意したことは、マスコミではさほど報じられていない。中国は、日本銀行による中国政府国債への直接を認めるだろう。』 】

 

【 日中首脳会談、官邸の「嘘」はどうなった?  文科系 2018年12月08日

 10月30日のここで中日新聞記事を元にして扱った標記の重要問題は一体どうなったのだろう。例えば、同月29日、「時事ドットコム」で、こんな管官房長官談話も見つけたのだが。

『 日中首脳会談、「三つの原則」確認している=菅官房長官 2018年10月29日12時30分
 菅義偉官房長官は29日午前の記者会見で、北京で行われた日中首脳会談について「国際スタンダードの上に、競争から協調へ。隣国同士として、互いに脅威とならない。自由で公正な貿易を発展させていく。この三つの原則を確認している」と説明した。菅氏は「これらの原則の重要性は、会談で中国側とも完全に一致している」とも強調した。
 習主席、訪日「真剣に検討」=日中首脳「新たな関係構築」-新3原則を確認
 「三つの原則」をめぐっては、安倍晋三首相がツイッターなどで「確認した」と言及したが、中国側の発表では触れられていない。首相に同行した西村康稔官房副長官は首脳会談後、記者団に「三つの原則という言い方はしていない」と説明し、外務省幹部も「3原則(との言葉)はない」と述べている。(2018/10/29-12:30)』

 この「時事ドットコム」記事でも、やはり大きな疑問、問題が示されている。「競争から協調へ。隣国同士として、互いに脅威とならない。自由で公正な貿易を発展させていく。この三つの原則を確認している」って、本当なのか。特に引っかかるのは、首相官邸と外務省の間にあって、一見して分かる鋭すぎる対立である。
『外務省幹部も「3原則(との言葉)はない」と述べている』
 さて、この問題は意外に大きくって、意外に難しく、激しい米中対立の現今少々奥の深い問題でもあると読んできた。

 そもそも、「原則」という言葉の理解が難しいのである。すべての知識が並列的に並んでいるような思考ではこの言葉は理解できないものであって、この場合ならば「日中問題の他の何事にも優先する(と首脳同士が認め合った)三つの重大確認」という意味である。その三つがこういう表現であれば、日中近年の諍いから観ても、あまりにも唐突過ぎる。
『競争から協調へ。隣国同士として、互いに脅威とならない。自由で公正な貿易を発展させていく』
 これでは、親米べったりでやってきた外務省(やマスコミ)が右往左往したのも無理はないのである。本当にそう確認したのか。あるいは、野党が指摘しているように「内と外とで、国民向けと中国向けとで、言動を使い分ける」ということなのか。(以下略)】

(続く)

 

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どうなる、米中狭間の日本 ①  文科系

2021年10月03日 13時29分37秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 近い将来の日本どころか、すでに岸田内閣が退っ引きならず突きつけられているのがこの難問。対米どころか一般にオベッカと「援助」外交だけの安倍が、対中経済界進出を踏まえて2018年度に政治接近も試みたが、アメリカに一喝されてから後はただやり過ごしていただけ。普通のマスコミは、保守マスコミは特に、この難問は扱えないできた。ところが、ここに来てもはや避けて通れないことになっている。その現状と近い将来を自分なりに連載でお復習いしてみたい。幸い朝日新聞日曜日の「Globe」に米人識者の良い記事が載ったことだし。これについては、後で触れるとして、この記事自身を正しく読む予備知識に当たる内容をまず書いてみたい。

 去年の夏、ポンペオの対中大活躍
 
 去年の夏にアメリカが、米ヒューストンの中国総領事館閉鎖命令を出した。例の、知的財産も関わったスパイ行為があったと述べて。このことに関わる演説で、ポンペオ米国務長官が不吉すぎる言動に飛び回っていた。中国の政権交代を中国人民に呼びかけ、米国と同じ考えをもっている国々が中国共産党に共同の圧力を加えるべきで、それを米国が主導するとまで訴え始めたのである。それも、アメリカ従来の中国関与政策は手ぬるすぎて全て失敗であったと宣言した上で。
「中国共産党から我々の自由を守ることはこの時代の使命であり、米国はそれを主導する完璧な立場にいる」
 これは、かねて懸念されてきた中国への革命輸出の新たな露骨すぎる呼びかけである。これに合わせるかのように日本国内でもこんな文言が飛び回り始めた。例えば、JBプレスは、こんな論調である。
『コロナ問題の最大の教訓は何か? 日本の対中認識の甘さではないだろうか。国民ばかりではない。政府・自民党も野党も、経済団体も知識人も含めたすべてにおいてである。』

 米の対中行動激化は、日本にも必ず何事かが要求されてくるもの。そして、日本現政権にはこれに対する主体的判断力があるようには思えないのは、コロナ対策とか米保護主義への対応とかを見ても明らかである。馬鹿な、ただ傍観というだけなら、まだ良いのだが・・・・?

 米政論界の対中熱・冷戦論争史 

 標記のことについて、どれだけの日本人が知っているだろうか。イギリス人で日米政経問題の長年の研究者ロナルド・ドーア著「日本の転機 米中の狭間をどう生き残るか」(ちくま新書)に紹介されていた有名政論人らの議論を紹介してみよう。

 まず、日本でも有名になった「大国の興亡」(1988年発行)を書いた、ポール・ケネディは少々平和的で、この覇権移行は必然だろうが、「暴力の度合いを減らして欲しい」と述べている。ケネディは、大国の興亡で「過去、大国が入れ替わった時とは、旧大国が手を広げすぎた時だ」と述べて、米ソ冷戦時代にはその双方にそういう警鐘を鳴らしていた。その後ソ連が、東ドイツ崩壊を機に降参と諸手を挙げた時に、米外交論壇はケネディに対してこんな勝ちどきを吠えたという。
「それ見ろ、米への警鐘は余計な心配だったろう!」
 ところが、ご当人のケネディは、今度は米中冷戦の行方についてウオール・ストリート・ジャーナルにこんな記事を投稿したと、ロナルド・ドーアのこの本が教えてくれる。『西洋からアジアへの、権力の地殻の変動のような移行は逆行させにくい。しかし、米国議会およびホワイトハウスがもし合理的な政策を取れば、このような歴史的な転換期の浮き沈みの度合い、暴力の度合い、不愉快さの度合いをかなり軽減できる。私のような「斜陽主義説の輩」にとっても、まあ慰めになると思う』

 ケネディのこういう議論に対して、ネオコン(新保守主義者)論客が猛反発するのは、言うまでもない。その典型、ロバート・ケーガンはこう語る。
『国際的秩序は進化の産物ではなく、強制されるものである。一国のビジョンが他国のビジョンとの葛藤においての勝利に起因する。・・・現在の秩序は、それを是とし、その恩恵を蒙っている人たちが、それをとことんまで防衛する意思及び軍事能力があってのみ、存続できる』

 また、著名な外交官、キッシンジャーはこう語っている。
『外向的丁寧さを剥ぎ取って言えば、米国戦略の究極的目標は中国の一党支配権力制度を取り除き、自由民主主義体制に変えさせる革命(なるべく平和的革命)を早めることとすべし』
『中国が民主主義国家になるまで敵対的に「体制転換」を中国に強いるように、軍事的・思想的圧力をかけなければならないとする』

 ケーガンの「国際秩序は強い国が利益を守るために強制するもの」にしても、キッシンジャーの「中国体制転換に向けて敵対的に、軍事的・思想的圧力をかける」にしても、良くていわゆる暴力革命・政権転覆、悪ければ戦争という含みである。

 既に起こっており、今後激化するこの冷戦の原因がこれから常にアメリカ側にあることを、否が応でもこれに巻き込まれるはずの日本人はよーく見ておくことだ。ちなみに、近年のアメリカが国連無視をどんどん深化させてきたのは、中国に対する国連的解決など放棄しているからだとも言えるのである。自らの最大目標2%成長率も延び延びになって捨ててしまい、トランプにおべっかを使うことしか出来なかった安倍のような馬鹿が下手をするなら、これからもどんどん米兵器を買わされて米中冷戦の最前線に日本が立たされることになる。イージス・アショアで既定方針に反旗を翻した河野洋平は、その点だけとれば、日本の利益にかなったことをした。

 (続く)

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「孫崎享のつぶやき」の総裁選情勢  文科系

2021年09月26日 00時35分13秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 孫崎享は元外務省国際情報局長で、駐イラン大使なども務められたお方。つまり、アメリカの対日政策を中東最前線に於いて骨身にしみて学んできた末に、反米に転じた外務省官僚の変わり種というお人だ。なんせ、防衛大学の教授まで務められたのだから。そういう国際体験からこそ、退官後の彼は、米の対日政策を追い続けた上で、これを警鐘・批判して止まないお人になった。そんな彼が、この総裁選挙についてこの25日に以下の文章を書いて、平和憲法がある日本で、『中国に先制的「防衛」攻撃をかけられるようにせよ』と叫ぶ高市のような化け物が急激に打って出てきた背景を説明している。

『自民党総裁選は岸田・高市連合が河野を破る流れ。どちらがなってもいい。安倍・麻生の支配体制が続くだけだ。そして後ろにジャパンハンドラーが操る。だが3A(安倍、麻生・甘利)+S(菅)の菅氏が何故河野支持か。次の選挙で菅氏は落選の危機。反河野は取れない。  2021-09-25 07:56

 ・私は昨日次のツイートをおこなった。
「ある元官僚:終わったよ。岸田になろうが高市になろうがどちらでもいい。河野にはならない。もう変革はないよ。一寸手術しようかと思ったが又腹を縫い合わせた。そんなとこだな。米国支配ーそれを受け取る安倍等。これで行くという事だよ。」
 この人物は、引退しているだけでない。
 今日も自己の人脈を通じ、情報を集めている。
・流れは明白である。
 第一回投票で、特定人物が過半数を取るのは難しい。第二回投票では、安倍・麻生などのが支持する岸田や高市の連合が生じ、彼らのどちらかが河野を破る。そして安倍・麻生らの裏での影響力の行使が続く。それは米国の「ジャパンハンドラー」の影響力行使をも意味する。
・こうした中、従来の3A(安倍、麻生、甘利)+S(菅)の中で、菅氏が河野支援と変調を示した。
 何故か。前回の横浜市長選で菅氏の推した候補が敗北した。投票結果を見ると、菅氏の選挙区でも、(以下略)』

 トランプ出現前からアメリカで経済空洞化や格差への批判がまことに厳しいが、同じ新自由主義政策をとってきた日本はこれがすでに1990年代後半から始まっているのである。日本の銀行がどんどん縮小されていった時を思い出していただきたい。潰れたり、アメリカに買い取られたり、支店がどんどんなくなったりしてきた時代のことだ。さらに多く日本の富をアメリカに吸い取られるようにしてきたのが、新自由主義法制を確立した小泉・安倍政権の規制緩和、構造改革路線なのである。そのアメリカが今度は『「テロとの戦い」から「対中覇権闘争」への世界史的戦略大転換。その最前線に日本を立てる』と決めたわけだが、高市はみずからそういう指揮権を振るおうと名乗り出たということだ。これはもうこの地球が二分して、第二次世界大戦前と同じような局面を迎えているということではないか。安倍・麻生がアメリカの遣いっぱとして己の権力を維持していこうと決めたということでもあろう。口だけの「美しい日本」の「愛国」という、とんでもない売国奴である。日本には中国と戦争する理由など何もないのに、アメリカの面子死守の道具にされるなど、真っ平御免被りたい。
 

 

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高市早苗氏が語った「日本国防」論   文科系

2021年09月24日 00時20分41秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 高市早苗氏のこういう題名が付いたネット記事を読んだ。
『高市早苗氏 経済安全保障と中国の脅威を語る「やられたら報復がある。それが抑止力」山田宏氏との対談にて』

 この内容を、本文の言葉で要約すれば、むしろ「やられる前にやる」ということになるだろう。以下のように。
「日本の科研費を使って、日本で研究をした中国人が中国に帰って、極超音速兵器兵器を開発しています。極超音速兵器は日本では残念ながら迎撃できません」「ではどうすればいいかということです。もしも早めに発射の兆候がわかれば、敵基地先制無力化をします。これは安倍内閣の積み残し案件で、敵基地先制攻撃と安倍首相はおっしゃっていました。私はむしろ敵基地先制無力化と言ってます。いかに早く相手の基地を無力化するかで、これからは勝負が決まると思っています」

「だから、反対にこちらが仕掛けます。敵基地の無力化をします。このための備えもしなればいけませんが、法的にできないこともあります。サイバー攻撃で相手の基地やシステムを無力化します。これはアクティブディフェンスですが、日本では法律がありません。憲法で通信の秘密にひっかかるというのがあって、安倍内閣でもなかなか議論が進みませんでした。」


 こんな論議は、この日本にいてちょっと正気かとも思うが、最近のアメリカ「国防」論の焼き直しを高市が今の総裁選で仰々しく語り始めたのである。この「アクティブ・ディフェンス」なるものは、アメリカが近年の歴史で語り、行ってきた先制的防衛論そのものである。この米先制的防衛論が発動された国がすでにいくつもあるとは、ちょっと世界史(的事実)を振り返ってみると分かる。第一がアフガニスタンで、こんな小さな国が結局、アメリカ史上最長の戦乱に襲われたのであった。次が「大量破壊兵器予防」のイラク戦争で、形は変われどリビアやシリアもこの例になるはずだ。

 さて、シェールガスの採算目途が立ったアメリカは今、地政学的「アクティブ・ディフェンス」論の対象を中東から中国へと世界史的な大転換を遂げた。これに合わせたように、対中最前線・日本の与党の一部が勇み立っているわけだ。これが高市の今の姿、上記論議の背景なのである。怖い、怖い。

 こんな人物を「日本国第百代にして、初の女性首相」に?? 安倍の考え、指導は違うものである。アメリカに付いていって、またまた日本の財産を失っていこうというのだ。日本が今中国経済と手を切れば、日本の国民一人当たり購買力平価GDPはまだまだ下がり続けていく。僕と同じこういう高市批判を展開した元外務省審議官がいるから、その論をご紹介して傍証としておく。確かデイリースポーツに乗った記事である。

『 元外務審議官・田中均氏 日本の衰退 主要国で最も激しい 自民党政権有効な手だてなく 9/23(木) 19:13配信

 2002年の日朝首脳会談実現に尽力した元外務審議官の田中均氏が22日にツイッターに投稿。日本の衰退が著しいなか、長期自民党政権は有効な対策を立てることができなかったと指摘した。

 田中氏は「国民は知る必要がある。この10年主要国の中でも日本の衰退は最も激しく、長期自民党政権は有効な手立てを打ってこなかった。GDPは10年前には中国の83%、米国の40%だったものが、今日には各々32%、23%。人口は2百万人以上減少」と指摘。「勇ましく台湾有事だとか敵地攻撃能力を言う前に国力を上げることが先決」と自民党総裁選にも言及した。(以下略)』

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