パレスチナガザ自治区のシファ病院新生児がどんどん死んでいると言う。初めは、電気が来なくて死に、病院移出後の今は感染症で死んでいると。出産後病院にいる新生児は問題があるに決まっているが、それにしても、体温が保てない子とか感染症とか、なんと悲しいことだろう。これに対してハマスは、「イスラエルの残酷!」と叫び、イスラエルは「ハマスの司令部関連だ!」と、それぞれが世界に向かって吹聴している。さて、これで思い出したことがある。この事件の最初に世界(の識者ら)が驚いていたことだが、
「イスラエルの厳重な『監視体制』を打ち破って、どうしてハマスが当初に、あれだけのことができたのか?」
病院を出入り口として地下から出撃していけば、この出撃自身も事前の兵器集積も気づかれずに済んだはずなのだ。次いで、こうも思った。
〈イスラエル人は驚いたろうな。あれだけの地下要塞構築には、どれだけの年月と恨みがこもっていることか!〉
それにしても凄まじい執念である。この驚異の執念と、これに対する報復、結末こそ、新生児死亡、イスラエルの病院報復の原因と言えよう。
ユダヤ人の国を作るのは必要なことだったと認めよう。が、パレスチナ人から土地を奪って自治区に押し込め、その自治区に今また金のあるイスラエル人がどんどん移住して来ているとすれば、凄まじい恨みが貯まるはずだ。しかもこれに二つの宗教(聖地)問題も絡んで来る。イスラエル建国にどれだけ歴史的理由があったにせよ、無理があったと思わざるを得ない。そう考えてウクライナを観ると、ここでも憎み合いの連鎖だ。ロシア人の多い東部地域と、それ以外との一四年武力革命以来続いた長いいざこざ、闘争。「ロシアに連れて行かれた子どもら」と言っても、ロシア人の親などが殺された子どもも多いにちがいない。
人間だけが自分の死を意識できる動物なのに、そういう生死を懸けあって殺し合う動物になっている。そして、生まれたばかりの弱い子どもらがどんどん死んでいく残酷な動物。意識などない方が良いとさえ思うが、とにかく憎しみを増幅させ合わないことだろう。