2014年『ミス・サイゴン』先日横須賀で、帝国劇場に始まった2014年公演の千秋楽を迎えました。
プログラムを読みながら思い返すと、歌・ダンス・芝居・・・レベルの高い舞台だったと
あらためて思います。役者さんたちにとっては、血を吐くような思いの毎日だったのではないでしょうか。
スタンバイとして袖に控えたり、一回の舞台の中で何役もこなすアンサンブルの皆さんは本当にハードだったと思います。
プリンシバルもアンサンブルも、お一人お一人が役柄を通して血の通った名もなき人々を
全身で体現されていました。
1975年3月北ベトナム軍、全面攻撃開始
4月サイゴン(今のホーチミン)陥落、ベトナム戦争終結
南部では、ベトナム難民が発生し始める
(公式プログラムより引用しています。)
爆撃によって親を失い故郷を失ったキムとアメリカ兵クリスがナイトクラブで出会い、愛を育みながらも、サイゴン陥落を目前にクリスはアメリカへ引き上げていってしまい、二度と会うことはありませんでした。
二人のあいだに立ちはだかる、越える事のできない高い高いフェンス。
クリスを探し求めるキムは雑踏の中に紛れてしまい、キムに心が残るクリスは、親友のジョンにヘリコプターの中へ押し込められます。
ベトナムの人々が必死にフェンスにすがりつくなか、クリスたちアメリカ兵を乗せたヘリコプターは飛び立っていきます。
実際にアメリカ軍が使用していた「UH-1」をモデルにしたという実物大ヘリコプターが舞台に登場し、音声は観客席の袖からも聞こえてくるので、緊迫感のあるシーンでした。
抱いてあやした子よ 何もねだらない
小さな男の子よ 命もあげるよ
生まれたくないのに 生まれ出たお前が
苦しまないように 命もあげるよ
神の心のまま 望むもの選ぶもの
つかまえなさいチャンス 命もあげるよ
お前のためなら 命をあげるよ
(命をあげよう)
キムの歌う「命をあげよう」の最後にあるメロディーだけ、「命”を”あげるよ」と訳されたのは、岩谷時子さんだそうです。訳詞を超えた、岩谷さんの繊細な心での訳でしょうか。
公式プラグラムにはそんなことも紹介されています。
1992年の初演から今までの間に、ソ連ということばが過去となり、今は知らない若者もいるとききます。初演以来22年ぶりの観劇でしが、「アメリカン・ドリーム」の響き方もずいぶん変わったと感じました。
気楽に暮らそう おお アメリカン・ドリーム
たんまり儲けよう おお アメリカン・ドリーム
コールガール行列 おお アメリカン・ドリーム
乞食も金持ち おお アメリカン・ドリーム
何でも叶うさ おお アメリカン・ドリーム
みんな売り飛ばせ おお アメリカン・ドリーム
(アメリカン・ドリーム)
豪華な毛皮のコートをまとったジジをフロントに乗せたキャデラックが登場し、コールガールとダンサーたちが華やかに歌い踊る「アメリカン・ドリーム」。
エンジニアの撒き散らす札束が宙を舞い、全てが舞台から消えてしまうと、アメリカ行きの切符を追い求め続けた彼の夢は幻のごとく消え去っていったかのようでした。
キムがクリスとの間に生まれたタムを守るために自らの命をかけて終わる、なんともやりきれない幕切れの舞台で、重い内容ですが、時代が変わってもこれからも繰り返し上演されていく作品だと思います。観客のわたしたちになにかを問いかけながら・・・。
7月29日のエンジニアは駒田一さんでした。オーディションに三度目の挑戦で射止められたとのこと。ちょっとびっくりでしたが、それぐらいこの舞台に出るのはハードルが高いということでしょうか。キムの婚約者だったトゥイが人民委員長となって、キムを探すように命じられる場面の、なんとしてでも生き抜いていってやろうとする雰囲気など、『レ・ミゼラブル』でティナルディエを演じ続けている駒田さんのエンジニアでした。
横須賀の千秋楽の動画を観ると、帝国劇場の時はまだかなり緊張されていたのかもしれません。
7月29日のキムは知念里奈さん。横須賀公演で、10年間演じ続けてきたキム役卒業の挨拶をされたので、私が知念さんキムを観るのは最初で見納めだったいうことになります。
芯の強いキムを可愛らしく演じられていました。
二幕でバンコクのホテルの部屋にクリスを訪ねたら、クリスと結婚したエレンと出会ってしまう場面のキムの驚愕、戸惑い・・・。
命をかけて守り抜こうとしているタムを、クリス夫妻がひきとろうとするのは残酷だと思ってしまいます。
キムの心の痛さがよく伝わってきました。
7月29日のキャストボード。
8月13日のキャストボード。
プログラムを読みながら思い返すと、歌・ダンス・芝居・・・レベルの高い舞台だったと
あらためて思います。役者さんたちにとっては、血を吐くような思いの毎日だったのではないでしょうか。
スタンバイとして袖に控えたり、一回の舞台の中で何役もこなすアンサンブルの皆さんは本当にハードだったと思います。
プリンシバルもアンサンブルも、お一人お一人が役柄を通して血の通った名もなき人々を
全身で体現されていました。
1975年3月北ベトナム軍、全面攻撃開始
4月サイゴン(今のホーチミン)陥落、ベトナム戦争終結
南部では、ベトナム難民が発生し始める
(公式プログラムより引用しています。)
爆撃によって親を失い故郷を失ったキムとアメリカ兵クリスがナイトクラブで出会い、愛を育みながらも、サイゴン陥落を目前にクリスはアメリカへ引き上げていってしまい、二度と会うことはありませんでした。
二人のあいだに立ちはだかる、越える事のできない高い高いフェンス。
クリスを探し求めるキムは雑踏の中に紛れてしまい、キムに心が残るクリスは、親友のジョンにヘリコプターの中へ押し込められます。
ベトナムの人々が必死にフェンスにすがりつくなか、クリスたちアメリカ兵を乗せたヘリコプターは飛び立っていきます。
実際にアメリカ軍が使用していた「UH-1」をモデルにしたという実物大ヘリコプターが舞台に登場し、音声は観客席の袖からも聞こえてくるので、緊迫感のあるシーンでした。
抱いてあやした子よ 何もねだらない
小さな男の子よ 命もあげるよ
生まれたくないのに 生まれ出たお前が
苦しまないように 命もあげるよ
神の心のまま 望むもの選ぶもの
つかまえなさいチャンス 命もあげるよ
お前のためなら 命をあげるよ
(命をあげよう)
キムの歌う「命をあげよう」の最後にあるメロディーだけ、「命”を”あげるよ」と訳されたのは、岩谷時子さんだそうです。訳詞を超えた、岩谷さんの繊細な心での訳でしょうか。
公式プラグラムにはそんなことも紹介されています。
1992年の初演から今までの間に、ソ連ということばが過去となり、今は知らない若者もいるとききます。初演以来22年ぶりの観劇でしが、「アメリカン・ドリーム」の響き方もずいぶん変わったと感じました。
気楽に暮らそう おお アメリカン・ドリーム
たんまり儲けよう おお アメリカン・ドリーム
コールガール行列 おお アメリカン・ドリーム
乞食も金持ち おお アメリカン・ドリーム
何でも叶うさ おお アメリカン・ドリーム
みんな売り飛ばせ おお アメリカン・ドリーム
(アメリカン・ドリーム)
豪華な毛皮のコートをまとったジジをフロントに乗せたキャデラックが登場し、コールガールとダンサーたちが華やかに歌い踊る「アメリカン・ドリーム」。
エンジニアの撒き散らす札束が宙を舞い、全てが舞台から消えてしまうと、アメリカ行きの切符を追い求め続けた彼の夢は幻のごとく消え去っていったかのようでした。
キムがクリスとの間に生まれたタムを守るために自らの命をかけて終わる、なんともやりきれない幕切れの舞台で、重い内容ですが、時代が変わってもこれからも繰り返し上演されていく作品だと思います。観客のわたしたちになにかを問いかけながら・・・。
7月29日のエンジニアは駒田一さんでした。オーディションに三度目の挑戦で射止められたとのこと。ちょっとびっくりでしたが、それぐらいこの舞台に出るのはハードルが高いということでしょうか。キムの婚約者だったトゥイが人民委員長となって、キムを探すように命じられる場面の、なんとしてでも生き抜いていってやろうとする雰囲気など、『レ・ミゼラブル』でティナルディエを演じ続けている駒田さんのエンジニアでした。
横須賀の千秋楽の動画を観ると、帝国劇場の時はまだかなり緊張されていたのかもしれません。
7月29日のキムは知念里奈さん。横須賀公演で、10年間演じ続けてきたキム役卒業の挨拶をされたので、私が知念さんキムを観るのは最初で見納めだったいうことになります。
芯の強いキムを可愛らしく演じられていました。
二幕でバンコクのホテルの部屋にクリスを訪ねたら、クリスと結婚したエレンと出会ってしまう場面のキムの驚愕、戸惑い・・・。
命をかけて守り抜こうとしているタムを、クリス夫妻がひきとろうとするのは残酷だと思ってしまいます。
キムの心の痛さがよく伝わってきました。
7月29日のキャストボード。
8月13日のキャストボード。