『1789バスティーユの恋人たち』。昼の部を一階A席で観劇しました。
Wキャスト
ロナン:加藤和樹
オランプ:神田沙也加
アントワネット:花總まり
シャルロット:志村美ホ
ルイ・ジョセフ:鈴木和ヤ
(ちゃっちいモバイルPCで漢字変換がうまく出ません)
前回より10日ほど過ぎて全体的にぐっと安定感が増していました。群衆の怒りのエネルギーをハードなダンスナンバーで表現しているところがすごい。エネルギーが汗となって飛び散る大満足の舞台でした。前回の2階席後方からはみえませんでしたが、一階前方の客席の通路を役者さんたちが何度も通り舞台の空間として使っている演出。なんかいいなーって思いました。5月の連休明けにあと一回観劇予定ですが、もう少し休日で抽選予約にトライすればよかったと悔やまれます。なんどでもみたくなってしまいます。
加藤ロナンは今日が最初で最後。武骨で野暮ったい農民がインテリの革命家たちと
行動を共にしていくようになりながらも彼らと一線を画したままバスティーユの弾薬庫を奪うことに成功した途端命を落としてしまうロナンがすごく自然にロナンでした。すごく上手じゃないところがかえっていいです。どの身分に生まれたかで人生が決まってしまう時代。陽の当たらない農家に生まれて貧しさの中で育ち、父親を撃たれ奪われた土地を返すためにパリに出ていき、パレ・ロワイヤルでオランプと出会い、一緒に故郷に帰って村を立て直すことを夢見ますが夢を果たすことはかないませんでした。ロナンはヒーローではない主人公。最初から最後まで貧しく陽のあたることがない人生。ずっと貧しいまま。ロナンの、バスティーユの弾薬庫とに潜り込むことを決意する時の、「大海の藻屑と消えようとも・・・」という台詞がすごく好きです。加藤ロナンとはじめて会ったとき、「男前」という上原ダントン。客席の笑いを少し誘っていました。実感込めて言った感、大でした。役者さん自身の好漢ぶりがよく出ていたロナンだと思いました。ダンスシーンもよく踊っていました。
前回は見落としていましたが、渡辺デムーランが恋人リシュルと婚約したことを仲間に知らせる場面。舞台の最初から最後まで二人がずっと寄り添い支え合っている雰囲気が好感もてました。プログラムを読むと、リシュルも反革命容疑をかけられ断頭台に送られたとあります。史実はきびしい。この作品はそこまで描いていないので、あくまでも舞台の上の物語。
錠前づぐりが趣味のルイ16世が、ギロチンの模型を作ったことをアントワネットに報告する場面が出てくるのは小池流の演出なのか。観客はイ16世とアントワネットが処刑された史実を知っているので、なんだかぞくっとするものがあります。フランスの王妃という立場にめざめ国と、国王と共に最後まで務めを果たすことを決意したことをアントワネットがうたう場面の最後に処刑されたことを暗示する音をいれているあたりも小池流演出でしょうか。ルイ・ジョセフを病気で亡くし、王妃としての自覚にめざめたことは同時にアントワネットにとって死を意味しました。最初の、贅沢の限りを尽くして賭け事にふける乱痴気騒ぎの場面の、おばかなアントワネットの高笑いがより冴えわたってきていただけに、聡明な王妃へと変貌するその変化がより明確になりました。それだけに史実はきびしい。池田理代子さんのベルばらを振り返ると、マリアテレジアの、末娘アントワネットの贅沢ぶりを案ずる場面が描かれています。ルイ・ジョセフが亡くなった時にはお葬式を出すお金さえ残っていませんでした。アントワネットはそれほど無知でした。ルイ16世がスイスの銀行家ネッケルの、革命を回避するため民衆と交渉させてほしいという進言に耳を貸さないのにはイライラときてしまいました。そこで耳を貸していたら史実は違ったのではと思いながらみてしまいました。(パリに行った時二人が最期を迎えた場所は今は観覧車が回っているところだと説明をうけました。)
古川ロベスピエールのマリオネットの場面の美しさに言葉をなくしました。手足長くて長身に革のコートがよく似合います。ロベスピエール、ダントン、デムーラン。三人の衣装が複雑でどうなっているのかすごく気になります。黒ずくめの岡ベイロール伯爵の適役はいっそう迫力があり、鞭が似合いすぎました。背が高いのでより迫力あり。吉野アルトワ伯爵の王位を狙ういやらしさもより冴えわたっていました。坂元ラマール警部も冴えわたっていました「オランプちゃーん!」の笑いを取る絶妙の芝居と歌はたしかな演技力と歌唱力があってこその、ある意味おいしい役どころだと思いました。まさかのテントウムシとか他の人にはやれません。
オランプの優しい色合いの衣装が全部可愛らしくて素敵。心根の優しいオランプの心情をよく表現しています。アントワネットに暇乞いをする時の二人の場面にもぐっとくるものがありますが、書き始めるときりがなく今日はこれぐらいにします。ベルばらみているので、オランプがつくったスープをアントワネットがいただく場面があるといいなとか思っちゃいます。
こういう心のエネルギーチャージの時間もないとほんとにもちません。帝国劇場には節目節目でほんとに助けられてきました。モノは要らない。私が生きている間心に刻まれている宝物のような舞台たち。ミュージカルは楽しいです。来月また無事に観劇できますように・・・。
募金箱が設置されていたので、わずかながら一時間分のお給料相当分を寄付してきました。あと二日また出勤。ちょっとのんびりしてくだらないこともやっているとあっという間に時間はなくなってきました。観劇日記の続きはまた後日、休日に書ければいいなと思います。
写真は加藤ロナンと革命家たちがベイロール伯率いる王の軍隊と闘う場面。東宝の公式FBから転用しています。
キャストボード。
帝国劇場入口。
劇場内の上演時間の案内。
Wキャスト
ロナン:加藤和樹
オランプ:神田沙也加
アントワネット:花總まり
シャルロット:志村美ホ
ルイ・ジョセフ:鈴木和ヤ
(ちゃっちいモバイルPCで漢字変換がうまく出ません)
前回より10日ほど過ぎて全体的にぐっと安定感が増していました。群衆の怒りのエネルギーをハードなダンスナンバーで表現しているところがすごい。エネルギーが汗となって飛び散る大満足の舞台でした。前回の2階席後方からはみえませんでしたが、一階前方の客席の通路を役者さんたちが何度も通り舞台の空間として使っている演出。なんかいいなーって思いました。5月の連休明けにあと一回観劇予定ですが、もう少し休日で抽選予約にトライすればよかったと悔やまれます。なんどでもみたくなってしまいます。
加藤ロナンは今日が最初で最後。武骨で野暮ったい農民がインテリの革命家たちと
行動を共にしていくようになりながらも彼らと一線を画したままバスティーユの弾薬庫を奪うことに成功した途端命を落としてしまうロナンがすごく自然にロナンでした。すごく上手じゃないところがかえっていいです。どの身分に生まれたかで人生が決まってしまう時代。陽の当たらない農家に生まれて貧しさの中で育ち、父親を撃たれ奪われた土地を返すためにパリに出ていき、パレ・ロワイヤルでオランプと出会い、一緒に故郷に帰って村を立て直すことを夢見ますが夢を果たすことはかないませんでした。ロナンはヒーローではない主人公。最初から最後まで貧しく陽のあたることがない人生。ずっと貧しいまま。ロナンの、バスティーユの弾薬庫とに潜り込むことを決意する時の、「大海の藻屑と消えようとも・・・」という台詞がすごく好きです。加藤ロナンとはじめて会ったとき、「男前」という上原ダントン。客席の笑いを少し誘っていました。実感込めて言った感、大でした。役者さん自身の好漢ぶりがよく出ていたロナンだと思いました。ダンスシーンもよく踊っていました。
前回は見落としていましたが、渡辺デムーランが恋人リシュルと婚約したことを仲間に知らせる場面。舞台の最初から最後まで二人がずっと寄り添い支え合っている雰囲気が好感もてました。プログラムを読むと、リシュルも反革命容疑をかけられ断頭台に送られたとあります。史実はきびしい。この作品はそこまで描いていないので、あくまでも舞台の上の物語。
錠前づぐりが趣味のルイ16世が、ギロチンの模型を作ったことをアントワネットに報告する場面が出てくるのは小池流の演出なのか。観客はイ16世とアントワネットが処刑された史実を知っているので、なんだかぞくっとするものがあります。フランスの王妃という立場にめざめ国と、国王と共に最後まで務めを果たすことを決意したことをアントワネットがうたう場面の最後に処刑されたことを暗示する音をいれているあたりも小池流演出でしょうか。ルイ・ジョセフを病気で亡くし、王妃としての自覚にめざめたことは同時にアントワネットにとって死を意味しました。最初の、贅沢の限りを尽くして賭け事にふける乱痴気騒ぎの場面の、おばかなアントワネットの高笑いがより冴えわたってきていただけに、聡明な王妃へと変貌するその変化がより明確になりました。それだけに史実はきびしい。池田理代子さんのベルばらを振り返ると、マリアテレジアの、末娘アントワネットの贅沢ぶりを案ずる場面が描かれています。ルイ・ジョセフが亡くなった時にはお葬式を出すお金さえ残っていませんでした。アントワネットはそれほど無知でした。ルイ16世がスイスの銀行家ネッケルの、革命を回避するため民衆と交渉させてほしいという進言に耳を貸さないのにはイライラときてしまいました。そこで耳を貸していたら史実は違ったのではと思いながらみてしまいました。(パリに行った時二人が最期を迎えた場所は今は観覧車が回っているところだと説明をうけました。)
古川ロベスピエールのマリオネットの場面の美しさに言葉をなくしました。手足長くて長身に革のコートがよく似合います。ロベスピエール、ダントン、デムーラン。三人の衣装が複雑でどうなっているのかすごく気になります。黒ずくめの岡ベイロール伯爵の適役はいっそう迫力があり、鞭が似合いすぎました。背が高いのでより迫力あり。吉野アルトワ伯爵の王位を狙ういやらしさもより冴えわたっていました。坂元ラマール警部も冴えわたっていました「オランプちゃーん!」の笑いを取る絶妙の芝居と歌はたしかな演技力と歌唱力があってこその、ある意味おいしい役どころだと思いました。まさかのテントウムシとか他の人にはやれません。
オランプの優しい色合いの衣装が全部可愛らしくて素敵。心根の優しいオランプの心情をよく表現しています。アントワネットに暇乞いをする時の二人の場面にもぐっとくるものがありますが、書き始めるときりがなく今日はこれぐらいにします。ベルばらみているので、オランプがつくったスープをアントワネットがいただく場面があるといいなとか思っちゃいます。
こういう心のエネルギーチャージの時間もないとほんとにもちません。帝国劇場には節目節目でほんとに助けられてきました。モノは要らない。私が生きている間心に刻まれている宝物のような舞台たち。ミュージカルは楽しいです。来月また無事に観劇できますように・・・。
募金箱が設置されていたので、わずかながら一時間分のお給料相当分を寄付してきました。あと二日また出勤。ちょっとのんびりしてくだらないこともやっているとあっという間に時間はなくなってきました。観劇日記の続きはまた後日、休日に書ければいいなと思います。
写真は加藤ロナンと革命家たちがベイロール伯率いる王の軍隊と闘う場面。東宝の公式FBから転用しています。
キャストボード。
帝国劇場入口。
劇場内の上演時間の案内。