たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

宙組『アナスタシア』宝塚大劇場千穐楽LV

2020年12月14日 22時37分37秒 | 宝塚
 リバイバル上映でみたことのあるユル・ブリンナーとイングリット・マーグマン主演のハリウッド映画のエンディングも二人がどこかに旅立っていく、アーニャは本当にアナスタシアだったのか、答えは夢の中、全て夢の如し、そんな終わり方だったと思います。

 宙組『アナスタシア』、録音演奏とは思えない音楽との一体感、コーラスの重厚感、壮大なミュージカルでした。フィナーレまでは宝塚といより良質なミュージカルを観たという感覚、歌いこなすのが難しそうな楽曲の連続、これは指揮台に御碕惠先生いらっしゃらないと演奏とあわせられないですね。生演奏だったらもっとすごいだろうと想像します。ソロを歌える方ばっかりで歌詞が聴き取りやすい。宙組、歌うまの組なんだと再認識。

 アーニャ@星風まどかちゃん、台詞を噛む場面がなんどかありましたがミュージカル女優のような貫禄と安定感、可愛いのはいうまでもありません、この作品が宙組最後だなんて嘘みたいです。デュエットダンスでは真風涼帆さんにお鼻をツンとされていて、たぶん他の組でトップ娘役になるのでしょうね、劇団は手放したくないのだと思いますが、異動してほしくないなあと思ってしまいました。(だからといって潤花ちゃんがどうこうということではないです、決して・・・。)カーテンコールで寿つかさ組長の挨拶をきいている間の真風さん、泣きそうになるのを堪えているようにみえました。キキちゃん(芹香斗亜さん)の表情もかたかった?笑顔がいつもと違うような印象をうけました。挨拶したまどかちゃん、ほんとうはもっと話したいことがあるようにも思えました。出口の見えない道を歩いているようにも思えます、ですがみなさんに笑顔をなってもらえるようなひとときを届けたい、舞台は一期一会、今の宙組だからできる公演をと真風さん。無事に千穐楽までたどり着くことができてほんとうによかったです。

 まずはグレブ@キキちゃんが出番は決して多くないですが鮮烈な印象を残しました。出る場面ごとに歌が鳥肌ものでした。敵役どころか、何通りだったかな、偶然出会ったアーニャに一目で惹かれたときからアーニャを守ろうとしていた優しいグレブでした。一目でアーニャに惹かれたことが大画面でよくわかりました。アーニャがアナスタシアなら自分は撃たなくてはならない、だから掃除の仕事をするアーニャであってほしい、アーニャとして生きろよと執務室に呼び出した時は忠告したのでした。噂のアドリブはアーニャに自分は怖い人ではないこんな冗談も言える楽しい人なんだとアピールしているんですね。1月8日から東京宝塚劇場で始まる宙組『アナスタシア』のチケットを電話予約しようとするグレブさんでした。チケットを1枚、アーニャに行く?ってきいてアーニャが行きますって頷くと嬉しそうに2枚、そして前売は12月27日から?また電話しますとしっかり宣伝。アーニャと観劇デートできることになったグレブさん、すごく嬉しそうでした。そこから一転、ロマノフ一家を銃殺しなければならなかったお父さんの苦悩を歌いあげる場面への切り替えがすごかった。歌で全ての背景がわかりました。少女だったアナスタシアを撃つことができなかったグレブのお父さんは自らをさげすみながらネヴァ河のほとりで自らを撃ち命をたった、そのお父さんが果たせなかった役目を果たさなければならないのがグレブ、だらかアーニャにアナスタシアという夢をみるな、本来の居場所で生きろよと忠告する、一幕のこの場面の余韻でその後の場面をずっとみていました。二幕はパリに亡命したロシア貴族たちとマリア皇太后が訪れたバレエ「白鳥の湖」が上演されている劇場にドレスを着て姿を現したアーニャをオペラグラスでおうグレブ。この場面、ディミトリ@真風涼帆さん、マリア皇太后@寿つかささん、アーニャ、グレブの思いがそれぞれの歌となって重なる見応えのある場面でした。一回ではわからないのでもう一回みたいです。そしてマリア皇太后にアナスタシアと認められたあとのアーニャに、「最後にもう一回きこうお前は誰なのだ?」ときくグレブ、物語の陰を全編とおしてほぼひとりで背負い、ずっと眉間にしわ寄せて固い表情で苦悩が滲み出るグレブ、ピストルを構えますがアーニャを撃つことができませんでした。撃てないとうずくまる姿は『ハンナのお花屋さん』でハンナを死なせてしまったあとのアベルを思い出しました。キキちゃん、凄まじい気迫でした。対するアーニャとの真剣勝負の場面、自分はだれかのか確かめたかったまどかちゃんも凄まじかったです。ディミトリとアーニャが旅立ったことで上官に「アナスタシアはいなかった」と報告することができたグレブ、ほっとしました。マリア皇太后とグレブの二人で全ては夢物語だったという結末。

 グレブさんだけでこれだけ語ってしまいましたが『神々の土地』に続いてマリア皇太后を演じた寿つかささん、すごく綺麗だし、素晴らしかったです。当たり前ですが髭をつけた姿をみることが多いので女性なんだなと。和央ようかさんと花總まりさんのトップコンビ時代の映像にすっしーさんがいらっしゃるのをみるたびに感動しかありません。宙組創設時からずっと宙組の守り神。マリア皇太后はアーニャを本物のアナスタシアだと確信したのか、そこは謎のままでいいのかなと個人的には思います。ロシア革命によって皇帝一家を失った皇太后、どこかに生きているかもしれないと噂されたアーニャを捜し続けながらお金目当ての偽物ばかりが現れる現実にうんざりした皇太后、やっと出会ったアーニャはディミトリと生きる道を選ぶことがわかっていたかな。本物のアーニャしか知るはずのないことを知っているアーニャを本物だと信じたのか、二人が対峙する場面もまたみたいです。冒頭の少女時代のアーニャとマリア皇太后が最後にあった場面のオルゴールが伏線でしたね。少女時代のアーニャは天彩峰里ちゃん、小さくて可愛かったです。こんなに背が小さかった?ほんとに子供サイズにみえて驚きました。背が小さくなっているはずないですがそう見えました。不思議ですね、ほんとに子供にみえました。純白のドレスが可憐でした。

 メインキャスト以外は役が少ないので上級生も外部でいえば何役もこなすアンサンブルさんたちのようにいくつもの役をやっていて全部をみるのは目が足りなさすぎました。一幕では男役としてパリへ向かう列車の乗客などやっていた和希そらくん、二幕では一転女役で評判どおりかっこいい女性、パワフルボイスとダンスは『1789バスティーユの恋人たち』のソニンちゃんのようだと思いました。小柄なところがいい意味で生きていてなんでもできるんですね。お鬚が似合うかわいいウラドおじさん@桜木みなとくんと元恋文という設定。ずんそらの恋人役、お似合いでした。オンデマンド配信で男役として並んでトークしている二人をみているので不思議感もありましたが、楽しいカップル。仲良しすぎました。そらくん、フィナーレも女役として踊っていてキキちゃんにリフトされる場面までありました。

 ウラドおじさん@桜木みなとくん、男役としてひとつ大きな壁を超えた感だと思いました。余裕の可愛いおじさんっぷり、歌が上手いし、ディミトリの相棒として出番も多く存在感がありました。パリでエアちびウラドをディミトリがエアキャッチした場面はアドリブなのかな。打ち合わせしたのか、していないのか、息ぴったりでした。

 本役として出番少ないですが存在感あったのが凛城きらさん、亡命しようとしたパリ行きの列車の中で撃たれてしまうロシア貴族イポロトフ伯爵、歌のソロ場面もあり鮮烈、あとは色々な役をこなしていました。今回もアレクサンドラ皇后をやっていただきたかったという感もありますが、こうした上級生の方々の存在も大きい舞台でした。

 劇中劇としての「白鳥の湖」、ジークフリートが亜音有星くん、オデット姫が潤花ちゃん、ロックバルトが優希しおんくん、噂にたがわぬ素晴らしい場面でした。子どもの頃からバレエやっていたんでしょうね、身体能力高し、タカラジェンヌ、ほんとにすごい。 

 真風さんのことが最後の方になってしまいましたが、よく通る声がますます艶っぽく、声量ゆたかで磨きがかかっていますね。背が高いので斜めがけしたバックが郵便屋さんみたいなのはご愛敬、ロングコートとタキシードの似合いっぷりはさすがですね。貧しい暮らしからアーニャをアナスタシアに仕立て上げて報奨金をもらおうとする詐欺師ですがあふれでる品のよさ、最初は予期していなかった、いつの間にかアーニャに惹かれている自分自身に気づくとマリア皇太后からの報奨金を受け取ろうとしない潔さと清々しさ、ディミトリ、アーニャ、ウラドおじさんの三人旅、三人で歌い上げる場面が多くて上質なミュージカルを観たという満足感。

 もう少しだけ書き加えると、遥羽ららちゃんのアナスタシアの弟役も小柄で可愛かったですね。『神々の土地』にも登場した長くは生きられなかった男の子、ずっと抱っこしていた男役さんどなたでしょう、素は女性同士、すごいですね。『フライング・サパ』では歌声がきれいなお母さんだった松風輝さん、今回はまたお髭つけてロマノフの遺産を狙う濃い男役、これまたすごい、アンサンブルとしても大活躍でした。

 色々と尽きませんが断片的に今はこれぐらいでしょうか。自分もう少し落ち着いた状態で観ることができていたらもっとよかったですが来年どうすればいいのかわからない12月、外は冷たい風が吹いています。ごっかん、いよいよ冬将軍の到来、さらにきびしい1月と2月がやってきます。その前に12月、無事に終われるでしょうか、なかなか相談員さんのところに行くのは時間的にむずかしいです。合間に電話したらもはやこれまでとやれるところまでやってみましょうと。契約終了といってほしいですがそうはいかない、明日の朝はまたバスに体を乗せなければなりません。眠剤の中毒性から抜け出せなくなってしまいました。どこまで生き延びることができるでしょうか。明日のことは誰にもわかりませんね、これが正解なのかどうかわかりませんが自分を食わせていくために一日一日。出口の見えない道を歩いているような、っていう真風さんの言葉を聞いた時、不安なのはみんな同じといえば同じなのかなとも思いました。

 友の会の二次抽選で東京宝塚劇場の『アナスタシア』、上限いっぱいまでエントリーしました。一度は観劇できますように・・・、グレブさんと観劇かぶりたいものです。

 Gotoキャンペーンを享受する機会はなくなりましたが今のバラマキはあとで所得税の天引きがさらに増えるというかたちで跳ね返ってくるだろうからまあいいかな。旅行会社のサイトからさっそくキャンペーンの案内が消えています。当選した雪組公演にはなんとか行きたいですがどうするかは今年が無事に終わったら決めることにしましょう。楽しみが終われば次の楽しみまで睡眠障害と闘いながら、一日一日を生き延びていく、それだけです。

2003年星組『バビロンー浮遊する摩天楼-』-オンデマンド配信で視聴

2020年12月14日 11時19分16秒 | 宝塚
なつかしの星組『ガラスの風景』『バビロン』
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/6ff99338a2a8548803a5590b1d451d9a

2003年星組『バビロン』-オンデマンド配信されました
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/731d6b7a6a22119d722d284406b556a2

作・演出;荻田浩一

 タータン(香寿たつきさん)と渚あきちゃん、雪組時代に『この恋は雲の涯まで』の新人公演で組んだこともあるお似合いのコンビ、今みると『バビロン』大人っぽいショーでしたね。わたしが宝塚を離れていた間に退団された専科の未沙のえるさん、矢代鴻さん、鈴鹿照さんも出演されていた豪華なキャスト陣。雪組初演『エリザベート』のキャストだった夢輝のあさん、毬丘智美さんも星組に異動していたのか。同時退団されたのかな、歌うま秋園美緒さんも同時退団。時を経て東宝『エリザベート』のゾフィー、リヒテンシュタイン伯爵夫人として共演したのはなんとも感慨深い。のちに花組トップスターとなった真飛聖さんが極楽蝶に扮している場面もあって華やか、背の高さは目を引きますね。まだ若手だった柚希礼音さんがバレエで鍛えあげられたダンス力で随所で活躍、ロケットでも目をひきます。

 タータンがスーツにロングコートを羽織ったまま踊っているのがこの場面、振付もなかなかに素敵。雪組の笙乃茅桜さんが「タカラヅカのミカタ」で大好きとかたっている場面。タータンの歌うまとダンス力が終始光るショーの中でひときわ印象的な場面。下手で跳びはねるように踊っている二羽の鳩のうちどちらかが柚希礼音さんと思われる、すごいと。黒い鳩の安蘭けいさん、白い鳩の朝澄けいさんも素敵です。

(2003年東京公演プログラムより)

第三景 空中庭国Ⅱ(浮遊する摩天楼)
音 楽 斉 藤 恒 芳
振 付 川 崎 悦 子

廃墟のような近代都市。無数の鳩が群れて集い、踊る。一人の男Sが無機質な鳩
の群れの中にさ迷い歩く。男Sは鳩の中に、死にかけた二羽の白い鳩を見つける。男
Sは我知らず白い鳩を追う。その光景を静かに見守る黒い鳩が歌う。都会の鎮魂歌。

 フィナーレで渚あきちゃんがエトワールをつとめタータンが大羽根せおっておりてくるまで歌っているのが今では考えられない演出かなあと。美しい歌声。羽根が今よりも小ぶりですね。

明日でオンデマンド配信が終了する星組『オスカルとアンドレ』も視聴しました。タータンアンドレ、退団後のヴァルトシュテッテン伯爵夫人をみていてもこの男役のタータンも今でも好きです。持ち前のダンス力と歌の上に杜けあきさん率いる芝居の雪組、日本物の雪組で鍛えられた芝居力、素敵です。タータンアンドレが歌う「君は心の白薔薇~♪」、やっと聴けました。もう少し書きたいことありますが今はこれぐらいで。