行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

貿易収支の赤字と米国の経済力の行方

2008-10-02 22:41:54 | Weblog
財務省が9月29日に発表した2008年8月の貿易収支(輸出確報および輸入速報)は3275億円のマイナスとなり、26年ぶりに赤字に転落した。日本の貿易構造に変化が出てきたのか、
 輸出額は2カ月連続の増加となる前年同月比0.3%増の7兆535億円。この額は8月としては歴代1位の規模である。なのに何故赤字になったか?原因は輸入にある。
 輸入額は前年同月比で17.3%増加し、歴代2位の金額である7兆3811億円となった。景気が悪くなっているのに何故こんなに増えたか?自明のことで64.2%増となった石油が金額の上昇に大きく寄与した。また石炭も同121.1%増、液化天然ガスも同53.1%増といずれも国際価格の暴騰が原因である。これだけを見ればエネルギー価格が下がれば元に戻るが新興国の需要を考えると難しだろう。
貿易相手国ではもう完全に米国依存ではなく中国を中心としたアジアが第一のマーケットになってしまったようだ。輸出で見てみると対米国輸出は前年同月比21.8%の大幅な減少で1兆871億円、一方対中国は、輸出が1兆2229億円(同8.8%増)、EU輸出は9511億円(同3.5%減)で収支はいずれも黒字だったが対米黒字は5割弱減少した。
この統計に今回の米国発の金融危機を重ね合わせると、米国経済は金融危機で弱体化をまねき、国際経済における巨人が糖尿病を患ったごとく長期にわたり世界経済の牽引役から足を引っ張る側になるのではないか。日本企業は世界戦略をこうした情勢に合わせることが喫緊の課題だ。しかし米国は質量とも軍事力では依然として飛び抜けたパワーを有しており、ドルの国際通貨としての地位は低下するがメインを維持することになろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする