行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

憲法第25条

2009-05-05 15:20:53 | Weblog
今年の憲法記念日での話題はいつもの第9条だけでなく第25条が俎上に載った。その条文は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とし、生存権と、国の社会的使命について規定している。今回の経済危機で昨年来、派遣切りにあった労働者や老人介護家庭、母子家庭での貧困に喘ぐ実態が毎日のように世界第2の経済大国で話題になっているからだ。政治は残念ながらこの第25条を誠実に履行しようとする形跡が見られない。
国民は自ら切り開く努力をしなくてはならない。憲法は基本的人権を保障し、第27条で働く権利、第28条で団結権を規定している。働く人は団結をして自分たちの働く権利を守ることを初心に返ってやることだ。それにはひとりでも多く労働組合に加入することで、パワーハラスメントや不当な解雇に対しては1人では弱い、労働組合の中で闘うことだ。
弱者も団結すれば強くなる良い例が4月下旬にあった。
昨年話題になった大分キヤノンの解雇者に解決金2億円支払いで合意という内容。大分キヤノンの人員削減で解雇された請負社員らが加入する「日研総業ユニオン」は4月26日「解決金」の支払いで請負会社の「日研総業」と合意したと発表した。解決金の総額は約2億円。うち半分は大分キヤノンが負担するという。具体的には、大分キヤノンで請負社員として働いていた約700人に対し、契約満了日までの賃金に加え、生活支援金として一律5万円を支払い、残っている有給休暇も買い上げる。一人当たりの解決金は平均的な月額賃金の3、4カ月分に相当する。5月末まで社員寮に残ることも認めるという。
労組へはNPO法人「ガテン系連帯」が支援したことも大きな力になった。連帯組織小谷野事務局長は「直接的な雇用関係のない大企業が、一定の責任を認める形で金銭を支払うのは画期的なこと」と評価している。

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