自然エネルギーで発電量35%を調達する先進国は?この問いにデンマークと答える人は多いが、実はスペインなのだ。今回バルセロナからセゴビアまでほぼ1週間のドライブであったがその間、至る所でドンキホーテの風車でなく現代の発電風車を見た。荒れ地には広大な太陽光発電装置が設置され、原発はバルセロナから南、地中海を望む海岸に一基だけ見た。
エコノミストに寄せられた在マドリッド・ジャーナリスト、アルバレス氏のデータによると2010年のスペインの発電電力量に占める再生可能な自然エネルギーの比率は水力16%、風力16%、太陽光2%、太陽熱1% 計35%に達する。他の比率は原子力が22%、天然ガス火力23%で、風力の比率の伸びが著しい。欧州の風力発電量ではスペインに続き、ドイツ、英国、フランス、ポルトガル、イタリア、デンマークといった順位だ。
これだけ風力発電の比率が高まると、風が吹かないリスクも大きくなるので、天然ガス発電との連携技術が必要でスマートグリッドの出番となる。風予報の精度を上げ、吹かない時には立ち上がりの早いガスが補うわけだ。
太陽光はコストが風力の6倍と高く、太陽熱発電が重視されはじめ、アンダルシアに巨大な発電所が建設された。新型蓄熱装置との併用で24時間電力を供給できるという最先端技術も開発されている。
スペインは緯度もほぼ日本と同じで日本の新しい方向を垣間見た感がする。参考までに国内生産の比率はスペインが農業2.9%、工業25.5%、サービス71.6%で日本はそれぞれ1.1%、23%、75.9%で大きな違いはない。