この疑問に当時の政権、軍部の中枢にいた人達が答えられない。知識は充分持っていたので米国と戦争に入れば負けることは判っていたのに、止めることはできなかった。そして惰性で開戦となったと思う。・・・・・これは先日NHKが特集した番組の中での有田八郎外務大臣等の証言だ。開戦止む無しとなった発端は国際連盟脱退で、松岡洋右代表が脱退を宣言して颯爽と議場を去るフィルムを何回も見たが、事実は脱退すると孤立をすることが判っていたので松岡自身は断腸の思いであったという新事実も明らかになった。
2009年にやはりNHKの特番で「海軍反省会」のテープが世に出て、宣戦布告という国家の最高意思決定が軍令部という政府や国会を超越した一機関で決定されたという驚くべき事実が出てきた。軍令部の将校達はえり抜きのエリートであり、情報も充分持っていたので日米戦えば負けることは承知していながら最高責任者が皇族の出身であるために反対できなかったと証言した。
先の特番によると、日本は孤立を恐れ、ポーランド、中国、英国と防共協定を結ぼうとしたが相手国政府は日本政府に不信感を持っていたので相手にされず、最悪のナチスドイツとの協定を選択し、米英との対立を深めた。
原爆、東京大空襲、沖縄の戦いなど、塗炭の苦しみを国民に強いた太平洋戦争を始めた戦犯が処刑されたのは事実だが、今回の特番では日本の中枢にいて戦争を始めるきっかけを作った責任者が戦争に何故入ったのか答えられないという無責任が暴露された。ちまたでは「日本中枢の崩壊」という現役官僚の書いた本が売れてるが、戦前から日本の中枢は崩壊していたと解釈すると何となくすっきりする。
例えば、この失われた20年間、大蔵官僚のノーパンしゃぶしゃぶが話題になったバブルの崩壊、国土破壊に寄与した干拓やダムの建設、外務省在外大使館、厚労省の無駄遣い、など上げれば切りがない。政治は日替わりランチのごとく最高指導者が替わり、3流と云われていたが今や5流となっている。
中枢が崩壊していても、円高だ。日本は働いて貯める国民と高品質の物とザービスを提供している民間企業が外国から評価されているからだろう。