タイム最新号によると、英国の暴動は単なる黒人射殺事件抗議行動とは違い、紳士の国英国社会の根深い変化が原因のようだ。
私がこの記事でおやと思ったのは、ロンドン郊外クロイドンで、決して高価ではなく、中流階級向けの家具店が暴徒により一晩で焼き払われたということと、暴徒はそれさえ手にできない人々であったということだ。クロイドンは私の永年の友人で故キース・サーレロンドン大学教授の自宅があり、家族が泊めてもらったりした閑静な住宅街で、街も洒落ていた。もう20年以上も前のことで英国の変化を感じざるをえない。
タイム誌によると、イギリスのジニ係数(貧富の格差を見る指標)は0.34と先進国の中で最悪で、国内所得の30%はたった5%の富裕層に流れており、他のヨーロッパ先進諸国ではここまでのひどい格差は見られないという。かつて英国は、ゆりかごから墓場まで心配なく人生を送れることで先進国のモデルともなっていた。様変わりしたのだ。
タイム誌は今回の略奪行為は、人種暴動ではないと言い切っている。たしかに事件の発端となったMark Dugganは黒人であり、イギリスでは人種と階級に密接な相関がある。しかし、クロイドンのようにほとんど白人が占める地域も激しい暴動に見舞われた。人種よりもっと大きな根深い社会問題があるようだ。
OECDのデータだと日本のジニ係数も1980年0.27であったのが2000年には0.314と貧富の格差が拡大し、英国並みになりつつあるが暴徒の主役若者の失業率が英国では20%を超え、日本(7.8%)と桁が違うことに英国の難しさが説明できる。現代の大きな課題は雇用であることはこのブログでも強調してるところだ。