行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

中国の民主化は前進しているか

2011-08-19 23:08:35 | Weblog

2月23日、「北アフリカ革命は中国に波及するか」というブログの中で、中国政府のネット封じは凄まじいが、中国人民の欲求不満はマグマのごとく溜まり、爆発する危険性はあると書いた。

その後、高速鉄道の事故では鉄道省の事故隠しに、世論は激高し、ネットだけでなく旧来のマスコミまでが政府の対応を批判に転じ、政府は被害者の賠償金の増額や鉄道省の改革をせざるを得ないところまで追い込まれた。しかし、その後は厳しい報道管制とネットへのブロックを実行している。

8日、台風9号の被災で、大連の化学工場のポリエステル繊維などの原料となるパラキシレンが洩れ、ネットで情報は拡がった。14日に大連市で発生した数万人規模の抗議活動で、現地政府は抗議者の要求を受け入れ、福佳大化の即時操業停止と移転を約束したが、不思議なことに同工場は15日も稼動していた。しかも新浪微博(ミニブログ)などでは「大連」が敏感語となり、ブロックされている。

そして、本日の日経の報道によると、渤海湾にある国内最大級の海底油田で原油が流出、事故発生から2カ月余りが経過したが、流出は止まらない。中国政府は1カ月も隠蔽し、7月になって初めて事実を公表した。ホタテ、なまこなど漁業などへの被害額は13億元(約155億円)以上に達した。渤海に近い韓国は政府が中国側の情報開示の悪さに抗議した。

国家海洋局によると、海洋汚染に関する罰金の最高額は20万元。この事実が報道されると、ネットの電子掲示板(BBS)では「安すぎる」といった書き込みが殺到し、一部メディアは罰金の引き上げなどを求めた。ネット世論を受け、海洋局は海洋汚染を引き起こした国有企業中国海洋石油総公司(CNOOC)と国際石油企業コノコに1億元以上の損害賠償を求める検討に着手。しかし、CNOOCの中国指導部への影響力は海洋局よりも大きく、対応は及び腰だ。

以上、最近の事故災害では、いずれもネットの力で世論が激高し、政府や地方政府は鎮めるために解決策を示し、民衆や世論を沈静化させるが、いずれも政権内部か共産党内部の権力争いが絡み解決に至ってない。それどころかミニブログに敏感語を設定し、権力で押さえ込もうとしている。このような流れを一定の前進と捉えるか、大衆デモが行われている点を評価するかもう少し時間が掛かる、私は中国の民主化は少しずつ前進していると捉えている。

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