朝起きたら、欧米の株式市場は暴落、エコノミストや政府当局の思惑は見事に外れた。日経ダウ平均も8944円になり、3月の震災ショック後と同じ水準に戻った。世界中で、株を売って、買われたのは金と今回の元凶である米国国債だというのだから如何に投資家がろうばいしているかが判る。
急遽開催されたG20財務相電話会議は何の役に立たず、電話代が無駄になった。各国の政府がリーマンショック後に実施した対策、通貨をジャブジャブ発行するということが裏目に出た。肝心の失業率が改善されないから政府の信用が落ち、経済の行方に不安感がグローバルに漂っている。
原因が漠然としているから各国政府もなすすべがない。とりあえずまた紙幣を印刷して通貨をだぶつかせることをするのか、しかし、日本を除き、それが新興国にインフレをもたらしたことは事実なのだから、不安をさらに増大させることになる。
英国では警官による黒人の射殺事件で、若者が暴動に走っている。これは若者の失業率が高いことによるが、イタリアの若者の失業率が30%に近づき、スペインでは50%に近いので連鎖反応が心配される。
通貨ばらまきの金融政策では解決できないどころか、商品投機を招き、インフレを引き起こす。地道な雇用政策を採るはずのオバマ大統領は何をしているのだろうか、GMを救済したことぐらいで新規雇用は出てこず、9%に失業率は張り付いたままだ。
各国政府が取るべきは信用を先ず回復することだ。そしてグローバルに漂う不安感を払拭することだ。今回の危機に対して狼狽して下手な対策を打たなくても、投資家の不安心理は時間と伴に沈静化するものだ。日本政府の信用回復は一番難しい。