これまでの自公政権の最大の欠陥は30年も前から予想されていた少子化に歯止めをかけられなかったことだ。子ども手当はまさに歯止めをかける理念から出た政策で国民は政権交代を選んだ。それがなんと元の木阿弥になろうとしている。
現在の雇用情勢は厳しく、新卒大学生は何とか正社員へ就職しようと努力しても内定率は7割程度、全体の非正規社員比率は35%を超え、40%に迫ろうとしている。適齢期(30~34歳)の結婚率は正社員59.2%、非正規社員30.3%だ。これは賃金格差が倍近くもあるからで、子ども手当で育児費用を負担できなければ非正規社員は子供もつくれないだろう。
それと以前にも指摘したが、金持ちの子供は子供手当を支給しないように所得制限を設けるべきとの論だ。一見最もらしく理屈が合っているように見えるが、所得の把握にトウゴウサンピン(収入の捕捉率がサラリーマン10割、自営業者5、農家3、政治家1という意味)、クロヨン(サラリーマン9、自営業者6、農家4)という現実があり、もし所得制限950万円をかけたら、サラリーマンは950万円ジャストで支給されなくなり、自営業者は1800万円、農業者は3000万円の所得者まで子ども手当が貰えることになる。事実上これは青天井だ。この不公平さは何故かマスコミは指摘しない。
納税者番号がきちんと制度化し、公平かつ正確にに所得が把握されば、何らかの所得制限は理屈に合う。むしろ高額所得者は自分で判断して子供手当を辞退できる制度を設けたらどうだろうか。