厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は30日、2060年までの日本の将来推計人口を公表した。女性が生涯に産む子どもの数である合計特殊出生率は、最も実現性の高い中位推計で「1.35」となり、前回(06年)の推計値1.26を上方修正、これは良いニュースだ。しかし、総人口は2010年の1億2806万人から2060年には8674万人と、半世紀で約4100万人減少すると予測した。65歳以上の高齢者人口比率は4割となり、いまだ世界では経験のない社会となり、果たしてこれで国が成り立つのか未知の世界だ。
5人に2人が高齢者となると今議論している年金制度は破綻することは間違いない。メディアは高齢者や女性の就業率を上げると言った対策を書いているが、気休めにすぎないことは明らかだ。日本という国を存続させるためには、人口ボーナスで発展している途上国だけでなく世界中から若い人に来てもらう移民政策に踏み切る決断に迫られている。
その端緒がインドネシアやフィリピンから来ている介護ヘルパーで、今年初めて介護福祉士の国家試験を受ける。米国では年約300万人の移民を受け入れ、若さを保っている。先日も日航欧米路線のキャビンアテンダントと話していたら、ニューヨークへ行くと元気が貰えると言っていた。アジアの活力を日本に引き込むとよく言われるが端的に言えばアジアの若い人に来てもらうということ。高度成長時代は日本の農村から若い人が都会に移住した現象と同じことをグローバルに行うことだ。
この高齢化の事態は30年も前から明らかになっていたことだが、政治家だけでなく日本人全体がほおかむりをしてきた。もはやこの移民問題を忌避することは出来ない事態だ。早く転換すればするほど摩擦は少なくて済む。50年後の老大国には来てくれといっても若い人は来てくれない。