定年後に嘱託社員として再雇用されたトラック運転手3人が、職務内容は同じなのに賃金を約3割引き下げられたのは違法として、勤務先の運送会社「長沢運輸」(横浜市)に是正を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(杉原則彦裁判長)は2日、引き下げは違法として差額の支払いなどを命じた一審東京地裁判決を取り消し、原告の訴えを棄却した。杉原裁判長は「定年後再雇用での賃金減額は一般的で、社会的にも容認されている」と述べた。原告側弁護団は「減額が一般的だとしても、通常は職務内容や責任が変わっている。『社会的に容認』とする根拠は何もない」と批判しており、上告する方針。との報道
この3人の具体的な賃金体系が解らないので、明確には判断しづらいが、賃金の年功部分がどのくらいかによるが、定年後の仕事が全く変わらないのに仕事給や職務給の部分まで下げられたのでは今流行りの「同一労働同一賃金」に対する配慮が欠けた判決だ。「定年後再雇用での賃金減額は一般的で、社会的にも容認されている」と断定しているが、これは管理職、監督職などを解かれた場合であり、全く仕事が替わらない、責任も同じとあっては腑に落ちない。一審の地裁の判決では2013年施行の改正労働契約法20条での、有期雇用社員と正社員との間で、労働条件の不合理な格差を禁じているとして、賃金の引き下げを違法とした。
最高裁では3割という大幅な減額が妥当かどうかが争われると思うが、同一労働同一賃金への判断も入ると思われ、注目したい。