昨日は金属労協の顧問会議に出席、話題はもっぱらトランプ旋風、米国の自動車労組の拠点で民主党の地盤とされるペンシルベニア州やウィスコンシン州でトランプが勝利し、今更ながら米国労組の地盤沈下を確認した。AFL-CIO(全米労組)のコメントが聞きたいものだ。投票の分析では若者はクリントン、トランプは白人の中高年の支持を得たことが判った。現地メディアはイギリスのEU(欧州連合)離脱を決めた時の衝撃を引き合いに出し、「Brexit(イギリスのEU離脱)よりもさらに激しい怒りと衝撃」などと報じてる。オバマ政権下の7年半で1000万人に上る雇用が増えたが、鉄鋼、自動車など製造業では雇用減が続き、中西部は工場が南部に移ったり、メキシコに移ったりして、衰退し、「rust belt(さびれた地帯)」になってしまったことが貧困白人層を産んだ原因だ。
しかし、選挙二日後に現職大統領と次期大統領が会談するという歴史上初の出来事もあり、オバマ氏は記者団を前に「(トランプ氏の)成功を助けるためにできることは何でもしたい。あなたの成功が米国の成功だ」と同氏に語りかけ、トランプ氏は「いい男だ」とオバマ氏を評し「今後は相談することを含め、オバマ氏とつきあうことを非常に楽しみにしている」等と「オバマは米国生まれでない、大統領の資格がない」等と毒づいていたことなど忘れ、まるでやくざが紳士になったようだ。
外国にも電話をかけまくり、韓国の危機的状態にある朴槿恵大統領には「米国は韓国を守るからご安心を」と力づけたようだ。勝利演説でも監獄に入れると言ってたクリントンに「永年米国に貢献してきた」などと持ち上げている。英国人には我慢ができないのかフィナンシャルタイムズは輝かしい歴代の大統領を汚す「うすぺらなペテン師のようだ」とさえ書いている。
問題はこれから激しい変化を盛り込んだ公約をどうするかだろう。その試金石はNAFTA(米州自由貿易協定)から離脱し、メキシコとの国境に壁をつくるか?対米輸出用にメキシコに多くの工場を持つ日系企業は固唾を飲んで注目している。