行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

巨大化したアマゾンの選択、第二本社

2018-11-14 23:26:41 | 経済
アマゾンの本社はシアトルだが、オフィスの2割弱がアマゾンの建物で、市の家賃が高騰し、ホームレス数全米で2位ということになった。もちろんマイクロソフトやボーイングの本社があるので、全てアマゾンの責任にはできないが、アマゾンはホームレス用のアパートまで建てている。また、流行りのウーバーによる通勤で、交通渋滞も問題になっている。そうしたこともあって、今年に入って、アマゾンが第二本社を創るというニュースが流れていた。最終候補地を北米の20都市・地域に絞り込んで、13日、新本社をニューヨークと首都ワシントン近郊のバージニア州北部の2カ所に設置すると発表した。投資額は50億ドル相当で、5万人規模の新規雇用を見込むということだが、市街地なので早くも地元では地価の値上がり、家賃の高騰を心配している。
 
ジェフ・ベゾスCEOは「これら2つの都市に本社を置くことで世界に通用する人材を確保でき、引き続き商品開発へとつなげていくことができるだろう」と高度プロフェッショナルの集積地ということが決定要因と思えるが、本社設置に伴い、ニューヨーク州はロングアイランドシティでの雇用創出2万5000人に基づき15億2500万ドル、バージニア州はアーリントンでの雇用創出2万5000人に基づき5億7300万ドルを支払うという見通しで、州のインセンティブも考慮に入れたのだろう。また交通渋滞という苦いシアトルでの経験から地下鉄など公共交通の便利な場所ということも決定要因の一つだ。
 
さらにニューヨーク市では本社移転・雇用支援プログラムの税優遇制度を通じて、1雇用当たり3000ドルの税が控除され、12年間で9億ドル規模の恩恵を受ける可能性があると報じられている。もちろんアマゾン本社社員の平均年収は15万ドルを超えるので税収は各州に今後20年で140億ドルになるという試算もある。
それにしても米国、州政府の企業誘致は熱心だ。ニューヨーク市ではクオモ市長が先頭になってアマゾン誘致を働きかけた。東京では、郊外に展開した大学が都内に戻ってきた。企業の優秀人材を求める勢いは益々東京に企業が集中することになるのだろうか。東京ではすし詰め通勤対策からも企業の本社を三多摩地域に移転することも東京都知事は考えても良いのではないか。
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