インフレに敏感な個人は日々食料品の値段が上がると、とりあえず節約に走る。和牛の替わりに豪州産ビーフへとか、晩酌の酒量を少なくするとかこれが積み重なると先進国ではGDPの6割~7割を占める個人消費支出が減少してリセッション(景気後退)になる。米国では消費者信頼感指数が大幅に下がり、リセッションへの懸念が強くなってきた。米国の消費者物価が8%台で推移していることが原因だ。賃金は5%と増えているが追いつかない。
ユーロ圏でも物価上昇率は5月8%を超えた。インフレに1番敏感なドイツは最低賃金委員会の議論と勧告を経ず、政府が自ら7月からの時給10.45ユーロを10月から時給12ユーロに設定した。12ユーロは1600円に相当する狙いは貧困者対策で、少しでも消費の落ち込みを支えたいとの意図もある。これはフランスはじめ欧州全体に拡がるだろう。
米国ではシカゴの最低賃金、7月から時給15ドル40セントに引き上げという報道にあるように時給15ドル、2000円が大きな流れとなりつつある。
今春闘の結果は連合、平均賃金方式の組合で2.09%アップとなっている。物価上昇率が4月は2.5%なので既に実質賃金はマイナスだ。岸田首相は最低賃金を2025年1000円以上(ずれている、シカゴの半分ー筆者注)をと言っているが物価が欧米並みになったら対処できない。大手組合はボーナスで補うという手があるが、中小組合には拡がりにくい。連合は第二春闘を考えるべきだ。また最低賃金が現在の930円が1000円程度に留まるならば、低所得者にしぼって給付金を支給すべきだ。給付金支給はコロナ対策で経験しているので経費の掛からない、効率の良い支給方法が望ましい。