米アップルの株式総額が、米資源大手エクソンモービルを上回り、初めて”米国で最も価値のある企業”となった。というニュースは最悪の米国経済の中で朗報であろうか?私にはこれぞ米国経済の問題点と映った。時価総額は、約26兆円(トヨタは約10兆円)という巨大さだが、これで米国民は何か利益を得たのであろうか?最近の決算でも純利益率は25.8%のぼろ儲け、利益を得たのは株主だけというが実態だ。
このブログでも2回ほどiphone,ipadの中国における生産工場の悲惨さを取り上げたが、米国において製造という面では何ら雇用に寄与してない。台湾のEMS(電子製品受諾生産企業)中国工場(フォックコン社)をモンスター化させ、中国では100万人の雇用を産んでいる。しかしその雇用の質たるや低賃金(成都新工場では月16000円)で、農村から連れてきた労働者を寮に詰め込んで生産、自殺者まで出ており、成都新工場の安全衛生はお粗末で爆発事故が生産開始で早々に起きた。
アップルの製品が米国に入れば中国の黒字、米国の赤字となり、ドルは中国に貯まる。米国の国際収支が悪化し、それを補填するために米国債を溜まったドルで中国が買い。何とか回ってきたが、今回の危機ではそれが限界だということが判ってきた。リーマンショック時の米国失業率6%台が9%になり、解決の糸口さえ見られない。
日本のメーカーもアップルの高利益率に習うべく、低賃金利用で海外生産に拍車が掛かり、国内製造業の就業者はこの9年間で約200万人も減少している。この夏売れた日本メーカーの扇風機はほとんど海外生産からの輸入品だ。アップルみたいに日本の企業の顔をしながら何ら日本の雇用に役立ってない企業が増えるだろう。アップルが「米国で最も価値のある企業」と云われても、雇用を生み出さない企業は国民にとっては存在価値がない。
参考
http://blog.goo.ne.jp/ajimayukuo/e/a6660fb435b05e5a26e8756854f6cbeb