行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

アップルが「米国で最も価値のある企業」???

2011-08-11 18:04:32 | Weblog

米アップルの株式総額が、米資源大手エクソンモービルを上回り、初めて”米国で最も価値のある企業”となった。というニュースは最悪の米国経済の中で朗報であろうか?私にはこれぞ米国経済の問題点と映った。時価総額は、約26兆円(トヨタは約10兆円)という巨大さだが、これで米国民は何か利益を得たのであろうか?最近の決算でも純利益率は25.8%のぼろ儲け、利益を得たのは株主だけというが実態だ。

このブログでも2回ほどiphone,ipadの中国における生産工場の悲惨さを取り上げたが、米国において製造という面では何ら雇用に寄与してない。台湾のEMS(電子製品受諾生産企業)中国工場(フォックコン社)をモンスター化させ、中国では100万人の雇用を産んでいる。しかしその雇用の質たるや低賃金(成都新工場では月16000円)で、農村から連れてきた労働者を寮に詰め込んで生産、自殺者まで出ており、成都新工場の安全衛生はお粗末で爆発事故が生産開始で早々に起きた。

アップルの製品が米国に入れば中国の黒字、米国の赤字となり、ドルは中国に貯まる。米国の国際収支が悪化し、それを補填するために米国債を溜まったドルで中国が買い。何とか回ってきたが、今回の危機ではそれが限界だということが判ってきた。リーマンショック時の米国失業率6%台が9%になり、解決の糸口さえ見られない。

日本のメーカーもアップルの高利益率に習うべく、低賃金利用で海外生産に拍車が掛かり、国内製造業の就業者はこの9年間で約200万人も減少している。この夏売れた日本メーカーの扇風機はほとんど海外生産からの輸入品だ。アップルみたいに日本の企業の顔をしながら何ら日本の雇用に役立ってない企業が増えるだろう。アップルが「米国で最も価値のある企業」と云われても、雇用を生み出さない企業は国民にとっては存在価値がない。

参考

http://blog.goo.ne.jp/ajimayukuo/e/a6660fb435b05e5a26e8756854f6cbeb

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グローバルマネーゲームで市場は混乱

2011-08-09 23:08:51 | Weblog

朝起きたら、欧米の株式市場は暴落、エコノミストや政府当局の思惑は見事に外れた。日経ダウ平均も8944円になり、3月の震災ショック後と同じ水準に戻った。世界中で、株を売って、買われたのは金と今回の元凶である米国国債だというのだから如何に投資家がろうばいしているかが判る。

急遽開催されたG20財務相電話会議は何の役に立たず、電話代が無駄になった。各国の政府がリーマンショック後に実施した対策、通貨をジャブジャブ発行するということが裏目に出た。肝心の失業率が改善されないから政府の信用が落ち、経済の行方に不安感がグローバルに漂っている。

原因が漠然としているから各国政府もなすすべがない。とりあえずまた紙幣を印刷して通貨をだぶつかせることをするのか、しかし、日本を除き、それが新興国にインフレをもたらしたことは事実なのだから、不安をさらに増大させることになる。

英国では警官による黒人の射殺事件で、若者が暴動に走っている。これは若者の失業率が高いことによるが、イタリアの若者の失業率が30%に近づき、スペインでは50%に近いので連鎖反応が心配される。

通貨ばらまきの金融政策では解決できないどころか、商品投機を招き、インフレを引き起こす。地道な雇用政策を採るはずのオバマ大統領は何をしているのだろうか、GMを救済したことぐらいで新規雇用は出てこず、9%に失業率は張り付いたままだ。

各国政府が取るべきは信用を先ず回復することだ。そしてグローバルに漂う不安感を払拭することだ。今回の危機に対して狼狽して下手な対策を打たなくても、投資家の不安心理は時間と伴に沈静化するものだ。日本政府の信用回復は一番難しい。

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蟻の円ときりぎりすのドル

2011-08-07 23:01:31 | Weblog

これまで、日米の金利差が原因とされていたドル安、円高、確かにその要素は見過ごすことはできないが、新興国の台頭と欧米のソブリン危機(国債の信用不安)でかなり複雑な様相となってきた。日本みたいに国の借金がGOPの倍もあり、国債格付けが欧米より低いのに通貨の信用度が最高という現象は難しい経済学では説明しづらい。

ここは簡単に蟻ときりぎりす論の方がわかりやすい。これまたマスメディアでは報道しづらい点だ。日本と米国の関係では日本は民間銀行も政府も長い間、世界一米国債をせっせと買ってドルを支え、米国の赤字を金融面で助けてきた。米国民は赤字を気にすることなく質の良い日本の自動車など製品を買い、近年では安い中国製品を買いまくっている。iPhoneやipadが典型例だが、中国人は安い賃金でものづくりをし、完成製品を輸出してドルを稼ぎ、米国債を買って、米国の赤字をカバーしてきた。今や、中国は日本をぬいて1兆5998ドルの米国債を持っている。

日本人は1400兆円もの貯蓄を貯め込み、日本国国債をも買い支え、日本政府は何とかやりくりしてきた。中国や日本が蟻で、米国がきりぎりすであることはお判りだろう。通貨はその国の実力であり、こうした状態が長い間続いて来たのであるから当然、ドルの価値は下がる。円は相対的に高くなっただけの話で、中国の元は国際競争力喪失を恐れた中国の意図で流動性を犠牲にし、固定相場で元高をコントロールしてきた。

ドルの代替通貨としてユーロが登場したが、ギリシャに始まり、今やイタリア国債までソブリン危機がささやかれ、ユーロ自体の信用も低下し、たよる通貨はスイスフランか円かということになり、対ユーロでも円高となっている。イタリアの財政赤字はGDPの4.6%だから日本(10.5%)に比べればはるかに健全だが、ところがイタリア国債の買い手を探すのが難しい。成長率1%のイタリア経済の信用度が低いことが原因だが、自国民が日本みたいに国債を買うどころか手厚い社会保障に浸っている。例えば医療費は信じられないけど全国民無料だ。

では何時までも円高が続くかというと、そうでもない。日本の貯蓄は高齢者が主に持っており、私もそうだが年金生活者はもっぱら預金を引き出しながらの生活で、今後、1400兆円の貯金は確実に減少する。日本社会のきりぎりす化が進めば国債の引き受け手は海外の新興国に求めることになる。国の借金も世界最悪のまま残れば、円の信用力はなくなり暴落することになる。この事態は食糧、エネルギー、衣料、などほとんどが輸入しているので、生活は苦しくなるだろう。円安になれば輸出が伸びるはずだが、その時に輸出する物があればの話で、自動車や電子部品の工場が残っていることが前提だ。

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暗愚の政治家による子ども手当つぶし

2011-08-05 22:23:00 | Weblog

これまでの自公政権の最大の欠陥は30年も前から予想されていた少子化に歯止めをかけられなかったことだ。子ども手当はまさに歯止めをかける理念から出た政策で国民は政権交代を選んだ。それがなんと元の木阿弥になろうとしている。

現在の雇用情勢は厳しく、新卒大学生は何とか正社員へ就職しようと努力しても内定率は7割程度、全体の非正規社員比率は35%を超え、40%に迫ろうとしている。適齢期(30~34歳)の結婚率は正社員59.2%、非正規社員30.3%だ。これは賃金格差が倍近くもあるからで、子ども手当で育児費用を負担できなければ非正規社員は子供もつくれないだろう。

それと以前にも指摘したが、金持ちの子供は子供手当を支給しないように所得制限を設けるべきとの論だ。一見最もらしく理屈が合っているように見えるが、所得の把握にトウゴウサンピン(収入の捕捉率がサラリーマン10割、自営業者5、農家3、政治家1という意味)、クロヨン(サラリーマン9、自営業者6、農家4)という現実があり、もし所得制限950万円をかけたら、サラリーマンは950万円ジャストで支給されなくなり、自営業者は1800万円、農業者は3000万円の所得者まで子ども手当が貰えることになる。事実上これは青天井だ。この不公平さは何故かマスコミは指摘しない。

納税者番号がきちんと制度化し、公平かつ正確にに所得が把握されば、何らかの所得制限は理屈に合う。むしろ高額所得者は自分で判断して子供手当を辞退できる制度を設けたらどうだろうか。

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書評「フランス女性は太らない」実に明解にして痛快だ

2011-08-03 23:19:18 | Weblog

旅行中に読んだ本だが、怪しげなダイエット本がちまたにあふれているが、フレンチのレシピ付きなのでこの本は説得力があり、成功談として読んでいて実に楽しい。著者のミレイヌ・ジュリアーノはフランスの地方都市から米国の大学に留学するが、1年で10キロも太り、帰国したとたんに家族から驚きの体型と指摘されショックを受け、医師の指導の下フランス人の食生活にもどり、水着を着て自分でもほれぼれする体型に戻すことから始まる。

著者は現在米国で高級シャンペンヴーヴ・クリコの販売会社のCEOとして年間300回の会食をこなしている。毎回ダイエットしている訳でなく、ワインやシャンペンをたしなみながらコース料理をこなしているが、太らない。具体的な内容には触れないが、この本は強いアルコールと飽食で太った体型をジムで何とかやせようとしている米国人への警告なのだが、最近の日本人のスィートブーム、食べ放題店の食生活とジムの繁盛は米国人と重ね合わせることができる。メタボで通風や糖尿病で悩む日本人男性も刺激を受け、気づくことが多い。

私の印象としては、フランス人の食生活はどこか日本料理にも通ずるところがある。つまり日本の伝統的食生活をしていれば日本人も太らない。先ずいろいろな種類の料理を少量づつ、ワインを飲みながら楽しくいただく、一種類のメインを腹一杯食べてはいけない。水を絶えず飲み、混ぜ物の入ったものはコーヒー、お茶類のものは除き控える。米国人は水の代わりにコーラを飲むようになっている(糖分の取りすぎ)。子供の時からの習慣で、子供には水を飲ませる。

米国人は食事の前に強いアルコールを飲むようになり、カロリー過多で味覚が麻痺して食事の味もろくにわからない。食事の時にシャンペンがあれば最高だがワインを一杯か二杯飲むのが適量だ。ワインは食事の完璧な相棒であるばかりか、精神を刺激する複雑な味の組み合わせを創造するとさえ力説している。

著者は塩分と糖分の取りすぎを防ぐためにハーブの効用を強調している。何でも醤油をかける習慣は直さなければならないし、食品の持つ本来の味を楽しむべきだ。それには旬の魚や野菜を新鮮な内に食することが鍵で、現在の都会のスーパーではなかなか難しいがネットによる産直が解決してくれるかもしれない。

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青森でのすばらしいワインとの出会い

2011-08-01 21:06:41 | Weblog

旅の楽しみは地元の料理と酒だが、今回の青森でのホテルでは地産の食事もせんべい汁、いかの刺身、リンゴのポタージュなど新鮮な野菜だけでなく毎回大いに楽しんだ。地方に行くとワインがないこともあり、晩酌用にフランス産メルローを持参したが、今回は必要なかった。ホテルで出会った初めてのワイン、ラベルはちょっと簡便だが下北で採れた地ワインがすばらしかった。こういうワインに出会えるとは長生きするものだ。

以前下記ブログで触れた「甲州」を欧州で飲んだ時に日本ワインの質の高さを実感したが、この陸奥でもこれほどのワインができるとは・・・日本ワインの裾野の広さを感じた。
http://blog.goo.ne.jp/ajimayukuo/e/c9500bb09443628a406353e99427f15b

30年前に六ヶ所村を視察した時、初めて下北半島を一周した。その折り、冬の寒さと強風で根菜類しか育成できないと聞いていたので下北で葡萄を有機栽培すること事態が驚きだった。このサンマモルワイナリーは恐山の山麓で、陸奥湾に面した斜面にあると聞いて、北風は山で遮られ、陸奥湾の暖気が幸いしていると納得できた。

ホテルで飲んだのは青森ブラッシュ(白)と青森ルージュ(赤)でどちらもスチューベン種から作られている。この初めて聞いた葡萄の種類はニューヨークから持ってきたとのこと。甘みが強く、評判は良いようで津軽地方では生食用で販売している。

スチューベン種は赤用の葡萄ということだが、白の方がすばらしい。辛口と表示されているが葡萄の本来の甘さが活かされ、私には甘口の部類で、気品あるきりりとした柑橘類系の味はナイヤガラとリースニングの良いところを取った若飲みタイプだ。ホテルではグラスで770円、ボトルで2000円という強気の値段、帰宅してホームページでサンマモルワイナリーから直接注文したら1580円だった。

もちろんこのワイナリーでは田崎伸也さんが薦めているピノノワールだとかドイツ系の白も生産しているが今回は味わうチャンスはなかった。

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