昨日は大震災からの復興と日本社会の向かうべき道と題したシンポジウムに出た。1ドル=50円になるという説で有名な浜矩子氏がこの中で、成熟社会をむかえ、世界一の債権国家となった日本は老楽国家を目指せと提言した。同日に野田首相がTPPに参加表明をしたが、同氏はTPPみたいな囲い込みは古くさいと切って捨てた。
高齢日本には成長戦略はいらない、協調して豊かさを分かち合う成熟戦略が必要だとする。戦後の日本は集権的な管理による成長で成功してきた。アジアの新興国が今その段階で日本はそれを今更マネをすることはない。この繁栄した日本で、非正規社員の問題や格差問題が起きているが成熟度を如何にうまく運営して分かち合う社会を創ることが復興への道でもある。多様性の小宇宙からなる老楽国家を目指せと示唆する。
同席したパネラーの広井良典氏は人口減少社会における定常型社会を提案した。資源・環境制約の中で、成長を目標としなくとも十分に豊かな社会は実現するとしてコミュニティの重要性を指摘した。小宇宙としてのコミュニティはローカルな多様性が重要で、真の豊かさを追求し、「幸福度」指標を経済発展モデルの指標とすべきだとする。ちなみにこの指標ではブータンがアジアで最も幸福度が高い。
エネルギー環境分野を切り口にコミュニティでの電力自給をとりあげたのがパネラーの植田和宏氏で、デンマークの例を紹介した。デンマークの農村では農家3軒が組んで風力発電をして、稼いでいるので農業外収入と電力自給が実現している。農機具メーカーが風力発電機を製造し、輸出するぐらいの技術力を有し、分散ネットワーク型の電力供給がコミュニティを支えていると報告した。
豊かさを分かち合う老楽国家を如何に実現して行くか、大枠は出されたが具体的な課題が残されたわけだ。分権管理型の自律的コミュニティでグローバル化へのアンチテーゼとして出されたローカル化が幸福度を上げるヒントなのだろうか、日本中に小宇宙としてのブータンを殖やす前に、大震災地域に先ず実現できたらすばらしいことだ。