カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

作品その44・崩れ始めた何か

2018-09-27 23:41:55 | 見習い錬金術師の作品
たかあきは『孔雀石』と『日光』を材料に『静止した万年美容剤』を錬成しました。用途は秘密です。

 師匠は何年たっても姿が大して変わりませんねと僕が言うと、何故か師匠は悲しそうに笑いながら、それじゃ、お前は一体何年前にここに来たのか、ここに来る前は何処でどんな暮らしをしていたのかを覚えているかと尋ねてきた。そこで初めて、僕は自分が一体いくつなのかを知らないこどころか、家族も含めて過去の自分に関する記憶が一切思い出せないことに気付いたが、その時はまだ、それがどういう意味なのかも全く分からなかった。。
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骨董品に関する物語・ボンボニエール

2018-09-27 18:55:30 | 突発お題

 爺さんがが生前集めていた骨董品は殆どが二束三文のガラクタだったが、一つだけ厳重に梱包された包みから出てきた青い硝子製の壺だけは何やら由緒ありげな品物だった。とりあえず蓋を開けてみると、いきなり中からボンボニエールの精を名乗るおっさんが湧いて出てきて、この器に入れた菓子を極上の美味に変えてみせましょうと断言した。
 どうして爺さんがこの器を厳重に梱包というよりは封印していたのか薄っすらと理解しつつも、試しに飴玉そっくりのビー玉を入れて暫く待ったら一緒に姿を消したので、恐らくおっさんは常習の食い逃げ犯だと思うのだが、硝子は口に合っただろうか。
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