カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

骨董品に関する物語・イギリス製の印章

2020-05-01 23:33:46 | 突発お題

 あの頃の彼は私にとって太陽神のように輝く完璧な存在だった。
 だから太陽神の横顔が刻まれた印章を彼に宛てた恋文の封筒に捺すのは私にとっての喜びだった。
 そして今も太陽神の印章は変わらぬまま私の手元にあるが、その印章が彼に宛てた手紙に捺印される事は恐らく二度とない。

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骨董品に関する物語・19世紀フランスの鍵付きの手袋箱

2020-05-01 19:16:18 | 突発お題

 ある日、夫から贈られた絹手袋は硝子蓋と布張りが施された豪華な鍵付きの箱に収められていた。
 君の美しくしなやかな手指を衆目から覆い隠す役目を果たすべき手袋には相応の収納場所が必要だろうと言う理由だったが、夫は時折このように一見奇妙な贈り物をしてくる不思議な人だった。
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竜飼いその9・黒い子猫ちゃん

2020-05-01 18:45:54 | 幻想世界の竜飼い
たかあきの竜は漆黒の薫風竜という品種名です。気性は温和で、用途は愛玩用です。

 高校入学のお祝いに猫を飼いたいと言い出した息子が連れて帰ったのは、どう見ても黒竜の幼体だった。これは猫じゃないと言っても人懐こいし賢いしにゃあと鳴くから立派な猫だときかないので仕方なく飼い始めた。今の処は餌やトイレは猫用のモノを使っているが、一体どれだけ大きくなるのだろう。
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