カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

竜飼いその20・手前ェ等とっとと金返せ

2020-05-15 18:48:02 | 幻想世界の竜飼い
たかあきの竜は焦茶色の鉱石デミドラゴンという品種名です。気性は少し意地悪で、用途は仕事の相棒です。

 取立人として働き始めた頃は、海千山千の借財人に脅されたり誤魔化されそうになったりで仕事にならなかった。見かねた先輩が相棒として竜を付けてくれたが猫サイズでは威嚇にもならないと仕事を諦めかけた。しかし俺の肩に乗った竜は外見からは想像もつかないドスの効いた声音で犯罪にならないギリギリの物騒な発言を繰り返して見事取り立てに成功し、俺たちの仕事はそこから始まった。
コメント

竜飼いその19・人知れぬ英雄

2020-05-14 21:37:57 | 幻想世界の竜飼い
たかあきの竜は亜麻色の流水トカゲモドキという品種名です。気性は聡明で、用途は運搬用です。

 俺の竜は大気の流れを読むのが抜群に巧く、普通の運搬竜ではとても届けられないような場所にも荷物を運ぶのが可能だ。ただ、それが通常業務だと客先に認識されると色々と無茶を言い出す連中が出るので公には出来ないと上から言われている。それでも運んだ荷物で誰かが助かるなら、俺たちは紛れもない英雄なのだ。
コメント

竜飼いその18・それは死んだ振り

2020-05-12 20:44:11 | 幻想世界の竜飼い
たかあきの竜は玉虫色の烈火トカゲモドキという品種名です。気性はお調子もので、用途は家事手伝いです。

 僕の生まれ育った屋敷で子守りをしていた年老いた竜は、僕が玩具の鉄砲で撃つと必ず死んだ振りをした。子どもの頃は面白がって何度もそうやって遊んだが、大人になって別の街で暮らし始めた頃にはそんなことも忘れていた。やがて寿命を迎えた竜は死の間際に玩具の鉄砲を物置から引っ張り出して来たそうだが、一体誰に、どうして欲しかったのかは謎のままだ。
コメント

竜飼いその17・愛する竜とのすれ違い

2020-05-11 20:10:03 | 幻想世界の竜飼い
たかあきの竜は蒼空の鉱石デミドラゴンという品種名です。気性は強情で、用途は食用です。

 食用亜竜は餌次第で様々な風味や食感を示す奇跡の食材だが、厄介な事に偏食が激しく目指す肉質に育つ為の餌を全く受け付けないのも珍しくない。そんな訳で、ある飼育員は周囲の忠告を無視して人間の伴侶にするように寝食を共にしながら竜を大切に育て上げ、立派になった竜を食肉加工業者に引き渡そうとした時、彼を裏切り者と認識した竜に殺された。
コメント

竜飼いその16・謳う水晶竜

2020-05-10 17:44:25 | 幻想世界の竜飼い
たかあきの竜は新緑の水晶トカゲモドキという品種名です。気性は穏やかで、用途は朗読役です

 祖父ちゃんの竜は人間の言葉を覚えて、とても綺麗な声で喋ることが出来たので、面白がった祖父ちゃんは時々、古い綺麗な詩を竜に教えて謡わせていた。やがて歳を取った祖父ちゃんが病気で死んでしまうと竜は暫くの間ずっと祖父ちゃんの姿を探していたが、ある日いきなり祖父ちゃんの教えた詩を延々と謡い続け、最期には血を吐いて死んでしまった。
コメント

竜飼いその15・烈火の臆病竜

2020-05-09 15:05:10 | 幻想世界の竜飼い
たかあきの竜は玉虫色の烈火トカゲモドキという品種名です。気性は臆病で、用途は戦闘用です。

 僕の戦竜はブレスを吐ける希少種のせいで特に部隊長から戦闘の切り札として期待されているが、実は犬に吠え掛けられただけでも怯える臆病者だ。
 幸い竜のブレスは人間で言うと魔術詠唱並に集中力と技術を必要とするので突発事故の心配は殆どないが、逆にブレスを駆使する戦闘時に感じるストレスは相当のモノなのだろうと時々申し訳なくなる。
コメント

骨董品に関する物語・判じ物の印章ペンダント

2020-05-08 22:40:11 | 突発お題

 彼は過去を語らず己を誇らず、ただ神の忠実な僕として生きた。
 清貧を旨として貧者に分け与え弱者を守り、僅かな贅沢として銀の食器を使い、時には毒の無い辛辣な言葉を述べ、晩年にはその眼が光を失っても愛するものの慈愛に包まれながら慎ましく暮らし、やがて己が信じる神の元に召された。
コメント

竜飼いその14・奴と青竜の日々

2020-05-08 13:52:28 | 幻想世界の竜飼い
たかあきの竜は紺青の鉱石竜という品種名です。気性は乱暴もので、用途は家事手伝いです。

 資産持ちだが天涯孤独な友人は周囲がどんなに勧めても家族を作ろうとしなかった。他人と暮らすのが面倒臭いと言うのが理由だが、幼い頃から口は悪いが面倒見のいい青竜に育てられたので不自由はなかったのと、恐らくは全くの他人が家で暮らすことによって神経質な青竜が感じるであろうストレスを考慮したという事情もあるのだろう。そんな友人は数年前に急な事故でで亡くなったが、葬儀を終えた青竜は奴の墓から離れようとしなくなり、やがて朽ち果てた。
コメント

竜飼いその13・漆黒の置石竜

2020-05-07 10:30:34 | 幻想世界の竜飼い
たかあきの竜は漆黒の共鳴竜という品種名です。気性はお馬鹿で、用途は戦闘用です。

 俺の戦竜は夜間飛行可能な偵察隊に所属していて、これは本来なら竜の能力と性質が問われる極めて難しい職務なのだが、実際の戦闘ではお世辞にも勇敢と言い難い。更に兵舎では野良犬や猫が餌に手を出して来ても威嚇一つ行わず、更に躰上で眠り始めようが飽きて降りるまで身動き一つしなくなるのは、少しばかり竜としてどうかと思う事がある。
コメント

竜飼いその12・食べられる竜

2020-05-06 20:33:06 | 幻想世界の竜飼い
たかあきの竜は焦茶色の共鳴ムカシトカゲという品種名です。気性は乱暴もので、用途は食用です。

 気性が荒いから気を付けろよと注意された食用竜の外見は、爬虫類と言うより鳥類に近かった。はっきり言ってしまうとチャボと大して変わらない。ちなみに食感もぶっちゃけ癖のない鶏肉だと言う。
 これから絶対にブレイクするぞと奴が抱き上げようとすると嘴で威嚇してきたので、気性が荒いと言うのは本当なのだろう。
コメント