あるBOX(改)

ボクシング、70年代ロック、ヲタ系、日々の出来事などをウダウダと・・・

ロジャー・ダルトリー来日公演終了②

2012年04月30日 | ライヴ
【ロジャー・ダルトリーのブルース】
以前は彼の歌唱からは全然ブルース・フィーリングを感じなかったが・・・・。
今回、フロントの3人がスツールに座ってアコギのギターフレーズを弾き始めた時は
少し驚きつつ、それが「マニッシュボーイ(アイム・ア・マン)」で、それをまたダルトリーさんが見事に歌い上げたのに2度ビックリ。



ホント、The Whoの頃「R&Bやブルースの影響を受けた楽曲でデビュー」と
言われても全然ピンと来なかったし(カヴァーこそ演奏してたが)、M・ジャガーやV・モリソンやS・ウィンウッドやR・スチュワートやS・マリオットに較べて「黒っぽさ」で劣る事を自覚したからこそ
「Tommy」で新たな展開に歩み出た・・・と思っていたので、今回の「黒っぽい」演奏と歌唱には考えを改める必要ありか・・・と感じさせられた次第。

ロッキンオンのインタビューでも
「Tommy以前のオレはR&Bやブルースのシンガーだったしな」と自信マンマンに語ってますし。



【チケット売れ行き】
芳しくない・・・のはホント残念だったが、
買って観に来た人はホントに本当にロジャーとThe Whoのファン。
1曲目から彼らはほぼ総立ち。えらい盛り上がり。
彼らと一緒にノる事が出来たので本望。

UDOさんも色々言われているが、追加公演用の会場を押さえてたかも知れないし
客入りの予想も難しいし・・・で呼ぶ方も難易度が高かったと思います。
ここは「よくぞ呼んでくれた」と感謝。

しかし、早々にネット予約した私に2階席のチケットを送りつけてきたのは
どういう事か!

他の人のブログで「ザ・フーってバンドのボーカリストの招待席が当って、
観に行ったら期待したより面白かったです」みたいな記事を見て
複雑な気分になりましたよ・・・。

ダルトリーさんには「よく来てくれました」の一言。
なんど感謝の言葉を述べても足りません。



【そしてTOMMY】
英語圏の人でも理解不能なストーリー。
なんだか良く分からない。

でも、そういうのが良い。
ピート・タウンゼント独特(?)の「自分との向き合い」「自分と他者との関わり」といった現代社会の普遍的テーマ。

解釈も様々で自由。
トミーが三重苦に陥った理由も、「戦争から帰った父を母の愛人が殺したのを目撃したショックで」「戦争から帰った父が母の愛人を殺したのを目撃したショックで」・・・と映画とアルバムの解釈は正反対。
母親から「あなたは何も見なかった聞かなかった。誰にも言わないで」と言われ、その通りになってしまったトミー。



「ガラス壊したら治っちゃうの?」とミラクル・キュアーを安直と感じつつ、
救世主のように崇められ、勝手に引き摺り降ろされるトミーに「ああ、そのまま救世主で収めずに一人の人間として再出発させるのか」と、ピートのストーリーテリングに感じ入る。
※映画版でも、そのシーンで見せるダルトリーさんの笑顔が眩しく、素晴らしかった。

解釈自由ってのが落語みたいでイイねぇ。
「たがや」なんて最後に刀で切られた首が上空に上がって「いよっ、たが~や~」って言われるのは演者によって「武家」か「たがや」か、まるで逆だもんね。

不条理アリ。
物語に程よいイリュージョンは必要、よいスパイス。
そんな感じで楽しめます。


【やっぱり「ピンボールの魔術師」はイイ曲】
畳み掛ける歌詞の情報量の多さに私のような日本人は圧倒され、引いてしまってたが
やっぱりイイ曲だ。

ピート・タウンゼントはエンディングをアッサリ終わらせるが、今回のアレンジはタメも作ってギターも轟音で盛り上げて終了。
こっちの終わり方もイイと思った。


【今後】
もう少ししたらThe Whoも結成50周年(!)、記念イベントにも期待したいトコロです。



ピートの耳に問題があるのなら、またアコギ抱えてアクションして貰い、大音量のハードロックギターはステージ左にサポートギタリストを配置すれば良いと思う。
ドラムはザックで。
ベースは、いっそクリス・スクワイアで!!(今回のYes公演で、「やはりエントウィッスル直系のスーパー・ベーシストだ!」と実感しました。

ロジャー・ダルトリー来日公演終了①

2012年04月30日 | ライヴ
無事終わり。
当初は時差ボケもあったようだが、横浜あたりで調子が出た模様。

いや~、よく来てくれました。
68歳で素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。

以下、追加の感想など。



【ツアーメンバー】
達者な感じながら目立とうとしない好感持てるプレイヤーでした。
でも見せ場も与えられ、キーボーディストはラグタイム風のピアノを披露したりもしてました。

日本語が達者なFrank Simiesは、日本に住んでいた事もある人だとか。
それでも日本語が少し怪くなるシーンもありましたが、エントウィッスルさんの声が低くなったエピソードの和訳は何とも言えない間で良かったです。

「以前は高い声でした」
「ガールフレンドと遊びに行きました」
「帰って来たら(サマータイムブルースの語りみたいな)低い声になってました」
観客「・・・・・・で?」
ロジャー「ワハハ、オマエどんな訳したんだ?」
観客「・・・いや、アンタそのまんまのコト言ってたじゃん」

しかし
ベテランバンドのサポートで参加したメンバーを「若造」だと思っていたら、じつは40代~50代なんて事も増えましたねぇ。
ザックも40代、先日のクラプトン・ウィンウッドのメンバーも50代・・・。



【日本でのThe Who評】
日本では長らく低かったWhoやロジャーの評価だが。
ネオモッズの影響で、むしろ若い方に人気があるのかも。

映画「さらば青春の光(Quadrophenia)」は青春映画として一部で話題になったし。
日本でもモッズパーカー着てヴェスパを駆る若者が毎年「モッズメーデー」にツーリングやってるし。

私はというと再映の「ウッドストック」で、その派手なステージアクションに目を奪われたクチで。



「サマータイムブルース」での決めジャンプ、ピートの腕ブン回し、ロジャーのマイクぶん回しと翻るフリンジ、キース・ムーンのワイルドなドラムに圧倒されるも
やはり、趣味は分かり易くカッコいいリフを作るブリティッシュハードロックへ・・・。

パープル・ツェッペリンのファンが多いオールド・ファンは、長尺のソロが無いThe Whoはピンと来なかったと思われ。
知人の元ギタリストは、ウッドストックでもジミヘンやテン・イヤーズ・アフターのアルビン・リー(g)を印象深く語っていた。
※テン・イヤーズ・アフターに至ってはベーシストの激しいアクションも凄かったし。

「ハードロックの元祖」としてもクリームを先に挙げる洋楽ファンが多い。

ただし、時代を経て「長々としたギターソロやドラムソロ、ベースソロ(!)がタルい」となると
The Whoのファンは「彼らはそんな事しないよ。だって全員同時にソロやってるようなもんで、しかも不思議な調和感があるんだから」と主張するのでした。




私の先輩世代には「ライヴ・アット・リーズ」を「あれは擬似ライブ。ザ・フーがあんなにちゃんと演奏できる訳が無い」という人もいて。
ウッドストックやワイト島での「荒っぽい」演奏が印象に残っていたら仕方ない部分もあると思いつつ、それも「来日して生の演奏を見せなかった」彼らにも非があるかなぁ。
The Whoは視覚的なバンドでもあるからなぁ・・・と。

なお、私は「ちゃんとした実況録音盤」を作ろうとしたリーズ大学の公演も好きだし、途中でメンバー自ら「だめだコリャ」と呟き、以降のステージを「いつも通りに」荒っぽくコナす発掘版キルバーン公演も大好きです。



まぁ、映像で言えば
バンドのヒストリー映画「キッズ・アー・オールライト」ですな。
メンバー全員の魅力満載だし、「無法の世界」でのライヴ映像は全キャリア中ベストともいえる演奏だし。

もう、私からするとロジャーさんはウッドストックの頃から「スーパー・ヴォーカリスト」ですね。

結局は活動期間の割りに作品数が少なく、魅力の全容が伝わっていなかったThe Whoも、様々な「埋もれた素材」の発掘によって、やっと評価が変わってきた部分もあるのでは?


Yes 「fly from here」極東ツアー終了

2012年04月30日 | 洋楽
心配された新ヴォーカリストの「ステージ下ダイヴ」の影響なく
(ケガは無かったそうで・・・良かったねぇ)

大阪~インドネシア・ジャカルタ~ハワイ・ホノルルと公演を続け
YESの「fly from here」極東(?)ツアーは終わるのでした。



豪州、ニュージーランド、日本からの連戦だけに
メンバーの皆さんには暫くゆっくり休養を取って欲しいトコロです。

しかし
セットリスト・サイトでチェックしたら
ジャカルタじゃ「ザ・クラップ」やってんのな。あと「不思議なお話を」。



・・・なんだよう。
何で日本は曲数少ないんだよぅ。
聴きたかったよぅ。

まぁ、会場との利用時間契約とかあるから仕方ない面もありますが。
あと、「パンフが無い」というのも直前のメンバー交代劇が影響あるのかもね。
「以前のメンバーの写真で刷っていた」・・・とか。



ハワイのセットリストは未だUPされてないようだけど。

日本以降じゃ「マシーン・マサイヤ」は渋公1日目だけだけかな。
毎回リストに入れて欲しかったよな。

良く考えりゃ「イエスソングス完全再現」なんて言ったけど、「ユアズ・イズ・ノー・ディスグレイス」なんてテンポ落として演奏してたもんな。

それでも凄かったけどな。スタジオアルバムより「イエスソングス」がテンポUPしてたワケだからな。

その辺はELPの「タルカス」と同じかな。
90年代の横浜公演観に行って「あれ、全盛時のライヴよりテンポ落としてるな」と思ったが
全盛時のライブが凄すぎただけで、普通にスタジオアルバムに近いテンポで演奏してただけだもんな。

まあ、今回のメンバーのうちダウンズさんとハウさんは、秋にASIAの一員としてまた来日されます。
こちらも「新譜発表ツアー」というから驚きです。

プログレ勢は元々メンバー交代が頻繁だから、誰かが参加できなくても以前の加入メンバーの手が
空いていたら補充可能・・・という強みがあるね。

この調子でスタジオアルバムも頑張って欲しいが、最新の作曲より昔のアウトテイクスの方が魅力的・・・ってのが
大ベテランバンドの辛いトコロか・・・。