あるBOX(改)

ボクシング、70年代ロック、ヲタ系、日々の出来事などをウダウダと・・・

アクション、凶敵、人情、そして殲滅のカタルシス・・・。

2013年12月20日 | 漫画
「イサム」も最後はウインゲート一家と対決し
悪の報いを知らしめるわけですが。

やはり、極悪一家を主人公が撃つシーンの背景には
悪役は「残虐の限りを尽くしている」という事実が必要なんですよね。

ウインゲート一家は特に倅2名が極悪で、さすがのイサムも
殆ど躊躇せずに撃って落としたものです。



ただ、オヤジに対しては恩を忘れきっていなかった感がありながら
それでも引き金を引き。
逆に「よく撃った」と褒められたりもする・・・。

ウインゲートなりの、悪党なりの美学。
「ムダ弾使って苦しませるな。撃つなら決めてしまえ」。

悪党を殲滅したカタルシスとともに、
悪党なりにイサムを子供かわりに思っていたウインゲート親父。
「お前にやられるなら本望だ」と事切れる親父。

とんでもない悪党も家族の事は思っていたり・・・と
さすが川崎浪花節の世界であります。

・・とはいえ
正義の少年イサムが一家を全滅させるには、やはり理由が要ります。
そのための、ウインゲート一家による開拓民惨殺です。

作家さんは、読み手にカタルシスを与えるために、
敢えて罪のない善良な人々が虫けらのように踏みにじられるシーンを
描かねばならないのです。



そして、やっぱり「ワイルド7」。
望月三起也先生も徹底しておられました。

悪党を超法規的に葬り去るのがワイルド7。
裁判なしで死刑にするのですから、相手も相当のワルじゃなくちゃなりません。

政界のワル。財界のワル。いろんな悪が登場します。
悪党のボディガードは、善良な市民を笑いながら惨殺します。

間一髪、ワイルドのメンバーが救った・・・と思っても
奴らは「帰りの駄賃に」とばかりに最後の弾丸で撃ち殺してしまうのです。



そこでワイルド7、怒りの出陣です。
しかし、主人公の飛葉ちゃん(10代!)は、あくまで冷静です。

悪のテロリストや、元外人部隊などに一歩も引かずに撃ち合います。
頭脳も明晰、バイクの腕も抜群、仲間とのチームワークも駆使し
最後は銃弾で、または首にロープで、またはフォークリフトをギロチンにして
トドメを刺すのです。



最後、読み手にカタルシスを与えるため、
悪党たちは残虐の限りを尽くします。

そのために、作者は
善良な、罪のない人たちが虫ケラのように殺されるシーンを描くのです。

誤解を承知でいうと
作者にも悪党の了見が備わっているのでしょう。
そうじゃないと描けません。

悪党の了見と、正義の心と、弱き者の寂しさが、
全て備わった作者にこそ、傑作アクション物が描けるのでしょう。

もし、年を取って弱者が蹂躙される映像を描くことが辛くなったら・・・。
創作者としての勢いを失うということでしょうね・・・。