「柔侠伝」シリーズなどで知られる漫画家・バロン吉元の個展が
2月27日から3月27日まで東京・トーキョーワンダーサイト本郷で
行われる。
タイトルは「バロン吉元の脈脈脈」。
バロン先生の実娘でアーティストのエ☆ミリー吉元プロデュースで
催される。
2年ほど前に倉庫でバロン吉元作品を数百点発見。そこから企画の
構想が始まったとの事。
同個展の主旨は、1959年のマンガ家デビューからのキャリアを辿る
ものだが、画家としても「龍まんじ」の雅号を持つバロン先生だけに
そちらの絵画も展示されるそうだ。
3月5日、20日の15時~18時30分は、なんとバロン先生の公開制作が
見られるとの事。
「バロンの解剖学会」と題されたトークイベントも開催予定で、4人の
ゲストが順次登場する事が発表されている。
参加は無料だが、定員制でメールかFAXでの予約が必要。
※詳細は会場の公式サイトにて
http://www.tokyo-ws.org/archive/2015/11/H0227-B.shtml
【バロン吉元の脈脈脈「第9回展覧会企画公募」】
会期:2016年2月27日(土)~3月27日(日)
※2月29日、3月7日、14日、22日は休館
時間:11:00~19:00
会場:トーキョーワンダーサイト本郷 スペースB
住所:東京都文京区本郷2-4-16
入場料:無料
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団
トーキョーワンダーサイト
◆トーク・イベント
「バロンの解剖学会」(聞き手:エ☆ミリー吉元)
3月3日(木)19:00~20:30
荒俣宏(作家/博物学者)×バロン吉元
3月5日(土)19:30~20:30
都築響一(編集者/写真家)×バロン吉元
3月13日(日)16:00~17:30
山下裕二(美術評論家/明治学院大学教授)×バロン吉元
3月20日(日)19:30~20:30
山田参助(漫画家)×バロン吉元
・・・少し前に書いた「ゼロ戦」漫画ネタ。
バロン先生の漫画にも良く戦闘機が登場した。
戦記漫画もあるが、主人公の前歴として戦闘機乗りが
登場する事も多かった。
戦記物として印象深いのは「黒い鷲」。
これは第一次世界大戦での複葉機が登場する珍しい設定で。
少年漫画誌連載の事もあり、「元気でオッチョコチョイな
主人公」「複葉機パイロット=ヒコーキ野郎的なロマン」も
盛り込まれた快作だった。
主人公が絵描きを目指してフランスに渡るも、ムダに元気が
余ってる事もあって何故か同国の空軍パイロットになり、
やがてエースを目指すというストーリー。
主人公の天平は異常な「ウメボシ好き」で、飛んでる最中も
「梅干し、梅干し、梅干しが食べてぇよ~」と独り言を
言ってるシーンが印象的。
女性の登場人物も和製淑女(でもオテンバ)と金髪少女が
健康的なお色気を見せてくれて、読者を飽きさせない。
※バロン先生は女性キャラも魅力的でした
戦闘シーンもリアルな反面、「ここ一番の一騎打ち」では
背後の取り合いなどせず、正面からの撃ち合いに勝負を賭ける。
西洋人の騎士道と日本人の武士道が空で対決するという、
胸のすくシーンが繰り広げられたものでした。
「紫電改のタカ」「ゼロの白鷹」など戦闘機モノは数あれど
複葉機の戦闘機モノという特異な題材は深い印象を残しました。
絵的なイメージは「黒い鷲」のイメージが大きいし、
「柔侠伝」も同系統だったが、絵師としては進化を遂げられ
長期にわたった「柔侠伝」シリーズ完結とともに渡米され、
画家としてゼロからのキャリアを積み始められたとは恐れ入る。
※画像で紹介している絵画的な「柔侠伝」表紙は、愛蔵版で
復刻するに至り、龍まんじタッチで描かれたものです。
もともと筆のような主線を使いながらも登場人物はアメコミ風
だったりと、「バロン吉元」の名前通りにアンバランスな魅力に
溢れていた先生の絵だが。
「龍まんじ」絵画に至っては耽美的な要素も増して、そういう画が
好きな人にも堪らない魅力に満ちた作品もある。
いろんな人が楽しめる、そんな個展になりそうですね。
やっぱり行きたいな。