あるBOX(改)

ボクシング、70年代ロック、ヲタ系、日々の出来事などをウダウダと・・・

「重版出来!第7話」感想

2016年05月25日 | 漫画
今回は、ムロツヨシ演じるベテラン・アシスタント沼田メインの話。
そこに永山絢斗が演じる新人・中田伯が絡み、沼田の人生が大きく
動く回でした。

そこに過去の売れっ子・漫画家も牛露田獏も登場。
クセのある元・天才ギャグ漫画家とその家族を交えてくるあたり、
上手いなぁ・・・と思いつつ、例によって「うわあああ」と我が身を
振り返ることになってしまいました。

天才型の青年・永山は「ネームはいくつでも書ける」と主人公の新人
編集者・黒澤に「早く連載やらせてください」と訴える。
三蔵山先生のところでアシスタントを始めたばかりなのに、
バイタリティの凄さを感じさせる。

主人公の黒澤心は、そのネームを読んで「すごいです。絶対に連載
取りたいです」と目を輝かさせる。

不幸な環境で育ちながら「漫画があったから生きてこれた」永山。
実家が造り酒屋で帰るところがある沼田。大学の漫研で一番上手く、
20歳で賞も獲ったが、それ以降ボツ続きで三蔵山先生のアシスタント
となって20年・・・。

趣味は落語を聴くこと、人間観察にも余念がない。
三蔵山チームのまとめ役として、そつ無く仕事も日常もこなす。
メガネとボサボサ髪が絶妙、まさにムロツヨシ独壇場。

しかし、男前・永山絢斗が演じる大物青年も容赦なし。
アシの先輩にも言いたいことを言い、本棚にある他作家の漫画には
「平凡でクソつまんない」と毒づき、自分は下手なくせに矢鱈と
連載を急く。

永山の新人賞作は「下手」と揶揄されながらも、一方では励ます
ような読者メールも届いている。
その作風の異様な迫力は力ずくで読者を抑えこむのかも知れない。

ふと中田のネーム帳(Vol.7)を見た沼田は、余りの迫力に気圧され
半狂乱のうちにインク(墨汁)を投げつけ、汚れたネーム帳を隠してしまう。

一方、和田編集長と主人公は、元・天才ギャグ漫画家の牛露田獏に
会いに行く。
昔は赤坂へ原稿取りに出向いていた和田だが、アパート住まいの
様子に顔を曇らせる。

過去の絶版本を電子書籍化する話をすると、牛露田「漫画は紙で
見るもんだ」「テメエらに俺の魂売るか」と反発。
和田が「実現すれば、失礼ながら生活も今よりは・・・」と言って
しまい、主人公もろとも水を掛けられてしまう。

沼田はボツになったネームを「いつか、自分の事がわかってくれる
編集に出会って、好きな漫画を描ける時になったら、描こう」と
引き出しに溜めていた。
三蔵山先生に「コメディっぽくしたらどうでしょう」とアドバイス
されても、「それは僕の作風では・・・」と応じる事が出来ない。

大物なんだか抜けてるんだか分からない中田は、資料を探そうとして
沼田のネーム帳を引き出しからを引っ張りだして読んでしまう。

「オマエに読ませられるようなシロモノじゃない!」と激昂する沼田
だったが、ネームの本質を理解して感動し涙を流す中田に驚きの目を
向ける・・・。



黒澤心は補導された牛露田の娘・アユを引き取りに警察へ。
渡した名刺宛に連絡が来たのだ。

球技大会があり、そんなのに付き合っていられないと中学をサボった
アユは、新聞配達のバイトがあるため開放されたかったという。

アユの母親は働き過ぎて死んでしまった。漫画に殺されたという。
「漫画なんかのために」・・・と。

父の漫画を読んだ事もないアユ。
黒沢が「たくさんの人を楽しませていたんだよ」と諭しても聞かない。
「私は普通がよかった。普通の家がよかった」と顔を背ける。
※牛露田先生の絵柄が赤塚先生っぽいのがニクイ・・・

それでもアユは一瞬笑顔を見せた。
屈託ない黒沢が喫茶店のメニューで嬉しそうに迷った時、「(私のを)
一口あげるよ」と告げた途端に喜んだ黒沢の仕草を見た時だ。
母もそうだった・・・と。
※このコの演技もスゴイねぇ。殆ど素の笑顔だよ・・・。

場面は三蔵山宅。
先生に決意を告げる沼田。とうとう40歳になったと。
いつかいい編集者に認めてもらえると、本気で戦わないまま来てしまった。
夢を追いかけている自分は他の人とは違う。そう思いたかった。特別で
いたかった・。

アシを辞めるのか?
ひとり貧しくなっても描き上げて持ち込みする気なのか?

しかし、沼田の決意は違った。辞めて実家に帰ることだった。
別れ際「落語が入ってる。勉強になるぞ」と、iPodを中田に渡す沼田。

「漫画を辞めるんですか?」と尋ねる中田。

「お前が泣いてくれたからもうイイや。インクぶちまけたの俺だよ。
・・・なんでか分かるか?」

「絵が下手でムカついたから?」と真顔で言う中田。
「オマエは・・・!」と大笑いする沼田。

「これだけは捨てられなかった。貰ってくれ」と沼田が中田に
手渡したのは20歳で賞を貰った生原稿。
絵柄が如何にも80年代。

ラスト、実家の酒屋を手伝う沼田の姿が。
自筆のポップには「新酒出来!」の文字と、それなりに今っぽく
なっているイラスト。

夢を諦める悲しいストーリー。
やるせないというか、見てて辛いというか。
まぁ、でもさすがにフィクションらしく話を盛り上げてるなという
気もします。

天才型の中田と、突き抜けられなかった沼田という、極端な比較。
なんか、とことん噛み合わない感じも面白かった。

中田に落語聴かせてどうするんだ・・・とか。(しかも志ん朝さん!)
中田に原稿渡しても扱いに困るだろう・・・とか。

面白いし、毎回心動かされるけど、ホント気楽に見れないドラマだ。
視聴率が気になるなぁ・・・。

安井じゃないけど
「いいもの作っても数字が上がらなきゃ何にもならない」を地で行っちゃ
シャレにならないよ・・・。

物書きや物書き志望、元物書き見習いからすると、すごくグッとくるドラマ
だが、一般の人はどうなんだろう。

うちの子なんて同級生が見てるからと夜10時のドラマなのに見ようとするし
子供に伝わる何かがあるんだろうね。伝わって欲しいね。

まぁ、ホント重い回だったけど救いはあったよ。
中田が沼田のネーム見て感動したり・・・ね。

だってね
現実には沼田みたいなのが書いたネームこそ、ホントにクソつまんなかったり
するからね。