今日のひとネタ

日常ふと浮かんだことを思いのままに。更新は基本的に毎日。笑っていただければ幸いです。

岩崎姉妹の対談に注目!>週刊ポスト

2020年11月17日 | ブックレビュー
 
 コンビニで週刊ポストの表紙に「姉妹対談 岩崎宏美×良美」という文字を見つけて、すぐ買ってしまいました。私はコンビニでは勃ち…、もとい立ち読みはしないのがポリシーですので、週刊誌の表紙で気になる記事を見つけるとその見出しだけで判断して買います。(ま、大体年に1~2度ですが)

 そういう買い方なので、実際の記事を見たら「チクショー」という事も多いのですが、今回の記事はいい意味でびっくり。言ってはなんですが、紅白に出るわけでもなく現在曲がヒットしてるわけではないお二人ですので、てっきり白黒2ページくらいの記事だと思ったわけです。

 それが、実際はカラーグラビアで4ページ。懐かしい写真から現在の写真から新譜の紹介まで、すごく輝かしいページとなってました。写真が多い分、対談の文字数が案外少ないですが…。

 私はよしりんが尾崎亜美さんの曲を歌ってた関係で聞き始めたところ、歌は上手いし曲もアレンジも良いしですっかり気に入ってしまい、アルバムも何枚か買ったくらい一時は追いかけてました。

 そういうことですので、岩崎宏美さんは義理の姉にあたるようなもので(なのか?)、姉妹二人とも抱え込むのはなんか抵抗あって(なのか?)、そちらはちょっと距離を置いてました。

 が、やはり岩崎宏美さんはヒット曲多いし、今も素晴らしい歌声を聞かせれくれてますし、昨年伊集院光さんのラジオにゲストで出た時の話も楽しくて、なかなか男前な(?)方だと思った次第。その時に紹介してたCDはすぐ買ってしまいました。

 今回も岩崎宏美さんの新譜が紹介されてますが、デビュー45周年を記念したライブ音源によるベスト盤が出るそうです。これも魅力ですね。

 ちなみに、今回の記事の構成は濱口英樹さんですが、私の愛読書である「ヒットソングを創った男たち 歌謡曲黄金時代の仕掛人」という本を書いた人なので、今回も「さすが」という記事でした。こういう記事があると週刊誌も買おうという気になるので、そこは声を大にして言っておきたいと思います。気になる人は是非お買い求め下さい。

昭和40年男 ~日本ロック元年~

2020年11月12日 | ブックレビュー
 
 発売中の「昭和40年男」が、かなり読み応えあります。昭和40年くらいに生まれた男の「ロック元年」というと、やはりロック御三家と言われたChar、世良公則&ツイスト、原田真二が活躍した時代でしょうが、とにかく色んな人が出てきます。

 今回インタビューありの記事に登場するのが、Char、世良公則、原田真二、リューベン、影山ヒロノブ、ゴダイゴ、芳野藤丸、横山剣、森若香織。写真入りの記事が、甲斐バンド、ダウン・タウン・ブギウギバンド、桑名正博(美勇士のインタビューあり)、アン・ルイス、サザンオールスターズ、などなど。

 これら以外にも、「昭和ロック名シーン」「ロックの裾野を広げたバンド」「名曲を生み出した職人たち」「仁義なき不良ロックの衝撃!」「ブラウン管の向こうからロックが流れてきた365days」などというページもあって、相当面白いです。

 かなりのボリュームなのでまだ全然読み切れてないのですが、これはしばらく楽しめますね。甲斐バンドの記事を書いた人は私と同い年ですが、内容にいちいちうなずくところが多くて「さすが!」とか思いました。ほとんど同じ本読んでるなぁと。

 今回は新田一郎さんの紹介もあって、スペクトラムの1stのジャケットも紹介されてるし、シングル「イン・ザ・スペース」のジャケ写もあるし。そして驚いたのがリューベンのインタビュー記事に出ていた写真。伊丹幸雄のバックバンドの頃というとロックンロールサーカスでしょうか、若き日のチャッピーこと渡辺茂樹さんもいるし渡辺直樹さん、新田さんもいます。フレンズの写真にも新田さんと直樹さんがいます。これは初めて見たなぁ。

 ということで、上記に登場する人たちの誰かに少しでも反応したら今回は絶対買いです。ちなみに、私が中3だった昭和53年にロック御三家が大人気でしたが、同じクラスの女子中学生の間では世良公則が圧勝でした。Charはどっちかというと男のファンが多かったような。

山岳小説は心がザワザワします

2020年11月04日 | ブックレビュー
 

 沢木耕太郎さんの「凍」を読みました。5年ほど前に夢枕獏さんの「エヴェレスト 神々の山嶺」を読んだら凄く面白くて、無酸素登頂とか崖を登る時のこととか知らない事も多く、この分野結構興味が湧きました。

 が、あちらはフィクションですが、今度のはノンフィクション。文庫の裏の文章には「最高のクライマーとの呼び声も高い山野井泰史。(中略) 彼は、妻とともにその美しい氷壁に挑み始めたとき、二人を待ち受ける壮絶な戦いの結末を知るはずもなかった。」とあって、「面白そう」と思って読み始めたと。

 ただ、今はWikipediaという便利なものがあって、途中でちらりとこの山野井さんのプロフィールを見たらちゃんとご存命なので、そこはやや安心して読めました。ただ、生きて帰ってこられたからこそ、その壮絶な行程が心理状態まで含めて綿密に描かれてるわけで、もうなんか心がザワザワすることしきり。

 それ以上はネタばれを避けるため、詳細は書きません。沢木さんは、この「凍」で第28回講談社ノンフィクション賞を受賞してるんですね。面白いはずです。

 ちなみに沢木さんのことは、その昔甲斐よしひろさんのラジオで知りました。「敗れざる者たち」の話をしてて、「サウンドストリート」にもゲストで一度来たことがあったと記憶してます。

 当然「敗れざる者たち」は読みましたが、その後「地の漂流者たち」「テロルの決算」「一瞬の夏」なども読みました。しばらく読んでなかったのですが、久々に出会ったのがこれだったので、やはりこの人のノンフィクションは面白いと。次は「キャパの十字架」とか読もうかな。

 で、実は「凍」は図書館で借りてきたのでした。沢木先生、すいません…。

ゴー!ゴー!ラスプーチン!

2020年10月20日 | ブックレビュー
 

 怪僧ラスプーチンというと、一般の人はどんなイメージでしょうか。私は何も見ないでこの人を説明しようとすると、「ロシアにいた人で、魔術だか催眠術だかを使って王室に取り入って好き放題暴れて、政治にまで口出しして最後は暗殺された謎の人」ということになりましょうか。ただ、正確にいつの時代の人だというのは知らなかったです。

 それで、たまたまこの「ラスプーチン暗殺秘録」を見つけて読んでみた次第。ラスプーチンのことを書いた本は色々あるようですが、暗殺に関するものではこの本が決定版だそうです。というのも、著者のフェリクス・ユスポフ公爵はその実行犯であり、訳者のあとがきによると「なんといっても、下手人による第一次資料という点が、本書の特異な位置を十二分に明らかにしている。」のだとか。

 ただ、この本はほとんど暗殺を計画するあたりから始まるので、ラスプーチンがどういう人でどういう悪事を働いたのか働かなかったのか、その辺はよくわかりません。ちなみに暗殺されたのが1916年ですから、日本でいうと明治の末期から大正時代に活躍した人なんですね。第一次大戦の頃でもあるし。

 なんにしても、その頃のロシアの歴史とか皇帝が誰とか、戦争はどうなった、革命はどうなった、という流れをよくわかってる人ならこの本はもっと楽しめるのかもしれません。ただ、この本でも一般に言われているように、十分致死量に相当する青酸カリ入りのお菓子や酒を飲んでも平気だったというのは本当のようです。ちょっとくらい調子は悪くなったようですが、その原因は諸説あります。結局最後は射殺されたんですね。不思議な人だなぁ。

 ちなみに「ゴー!ゴー!ラスプーチン!」というのは、ボニーMのヒット曲「怪僧ラスプーチン」の一節ですが、今の若い人は知りはれへんやろなぁ。なお、この本は買ったわけでは無く、図書館から借りました。まぁ公爵は大金持ちみたいだし、別に今さら印税はいらんでしょうと。って、もういないだろうけど。

「昭和と師弟愛 植木等と歩いた43年」/小松政夫

2020年08月22日 | ブックレビュー


 小松政夫さんの「昭和と師弟愛 植木等と歩いた43年」という本を読みました。物凄く面白かったです。小松さんといえば、自動車のトップセールスマンが突如植木等さんの付き人になったという逸話を聞いていたのですが、その辺の経緯も全部書いてあって、実際どうだったかというのがよくわかりました。

 そもそも植木等さんが凄くダンディで優しくて素敵な人であり、尊敬する植木さんのために尽した小松さんが師匠の姿を見て真摯に活動したという事です。植木さんが特別な人だったといえばそうなのでしょうが、珍しい師弟関係なのではないかと思います。

 小松さんといえば、私は小学校に入る前くらいから記憶しているでしょうか。あの人の持ちネタとかギャグというと、淀川長治さんの物まね、電線音頭の司会者、しらけ鳥音頭、小松の親分さん、「どうして! どうしてなの! おせーて!」、「ニンドスハッカッカ、マー! ヒジリキホッキョッキョ! 」、「表彰状、あんたはエライ! 以下同文」、「どーかまーひとつ」、「ながーい目で見てください」、「いてーな いてーな」とか、ちょっと考えるだけでも色々出てきます。しかも、「それって小松さんのネタだったの?」という感じのもあって、そういうのはいろんな人が引用してるからであって、それだけ面白かったということでしょう。

 初めて見たというか意識したのは、土曜のお昼にやってたお笑い番組なのですが、完全に番組名忘れてました。が、この本によるとどうやら「お笑いスタジオ」という番組だったようです。他に誰が出てたかも覚えてないのですが、小松政夫さんはよく覚えてます。

 私としてはなんといっても「みごろ!たべごろ!笑いごろ!」での、「悪ガキ一家と鬼かあちゃん」の伊東四朗さんとの絡みが最高で、毎週同じようなことやってるのになんであんなに面白いんだろうと思ってました。あんなに面白い人がいるんだろうかと。

 もっとも、ご本人は相当あちこちで苦労してて、淀川長治さんの物まねも大阪でのクレイジーキャッツのショーの幕間を繋ぐために苦し紛れに出したネタが受けたのだとか。それまで連日違うネタをやってたのがまったく受けず、「やっぱり小松の話じゃなくて休憩にしよう」と言われて、もう1日受けなかったらそれこそ降ろされてたという話も。

 あとは、意外だったのは「前略おふくろ様」の時のショーケンとのエピソードで、萩原健一さんの著書「ショーケン」でも出てこなかった話がありました。あれは意外でした。凄く上手くやってたのかと思ってたら…。

 そんなこんなですが、昭和の芸能の奥底がうかがえる本ではありますし、本当に植木等さんが素敵な人だったというのが行間からも伝わってきます。恐らく小松さんもそれを伝えたかったと思います。

 ちなみに、植木さんの「お呼びでない? こらまた失礼しました~!」というネタは、植木さん本人の談話では「控室で台本読んでるうちに大工の棟梁のかっこさせられて、付き人の小松政夫に『何やってるんですか。生放送だから出て下さい。』って言われて出ていったら全然違うシーンで、それで…」という事になってるそうです。が、実は小松さんは付き人になる前に、既にあのネタをテレビで見て大笑いしてたそうですから、その話は事実ではないと。あれは植木さんが小松さんを話のネタにしようと、後年あちこちでそういう風に語ってるうちに本人もそう思いこんでしまってたのかも…とのことですので、本当に素敵な師弟関係でした。

 ということで、ここ数年で読んだ芸能関係の本では一番面白くて読後感も爽やかな作品でした。興味のある方は是非お読み下さい。ただ、私はこれを図書館から借りてきたので買ったわけではありません。小松の親分さん、すいません…。

「深海の使者」吉村昭

2020年08月08日 | ブックレビュー
 

 私は不勉強だったので、太平洋戦争中に日本の潜水艦がドイツまで行ってたなんて知りませんでした。文庫のカバーにあった「太平洋戦争が勃発して間もない昭和17年4月22日未明、一隻の大型潜水艦がひそかにマレー半島のペナンを出港した。3万キロも彼方のドイツをめざして…。」という紹介文に関心を持ったわけですが、アフリカ大陸の南側を回って行くわけですから、片道に2ヶ月くらいはかかることと、途中で敵艦に発見されて攻撃されてしまう危険も大きく、この本は読んでて驚きの連続であったとともに、あまりにも犠牲者が多く結構辛いものがありました。

 ドイツ側では生ゴムや錫、モリブデン、ボーキサイト等が欲しくて、日本側もドイツの最新のレーダーなど軍事技術情報が欲しいという利害関係が一致し、これが計画されたとか。何回チャレンジしてそのうち成功したのはどれだけだったかというのは、「遣独潜水艦作戦」としてWikipediaに項目もありますから、関心のある人はそちらをご覧いただければわかりやすく記載されています。

 危険なのは敵の攻撃だけじゃなく、喜望峰の沖では海が荒れる大変な難所があるそうで、「潜水艦だから深海に潜れば荒波は関係ないんじゃないの?」と思ったりしてたのですが、そんなことはありません。(当たり前)

 それこそ命がけの作戦ですが、本当に命を落とした人も多かったわけで。明確に相手側の記録により撃沈が確認されたのもあれば、未だにどこで攻撃されたか、単に遭難して沈没したのかもわからないケースもあり。

 この本は、当時の関係者の証言を基に書かれているだけにその苦労が具体的にわかって、「潜水艦というものだけには絶対乗りたくない」と思ってた私の気持ちをより一層強くしました。

 敵機に発見されないようにと長時間水中航行を続けていると、当然酸欠になるわけで、酸素の消費量を抑えるために運動どころか身体を動かすことも禁じられ、船内で体育座りでじっとしていなければなりません。船内の二酸化炭素濃度が上がってくると、もう頭はガンガン痛くなると。トイレも始末が面倒なのでできるだけ行かないようになり、ほぼみんな便秘。水も大事なので2ヶ月以上風呂には入れず、体は垢だらけで頭も痒いという状況を想像すると、いつでもトイレに行けて、思いっきり空気を吸えて風呂にも好きなだけ入れるという生活がいかに幸せであるかというのを感じます。

 なお、潜水艦では往復4ヶ月くらいかかるので、向こうから持ってきた軍事技術も既に古くなってたりして、そこをなんとかしようと飛行機での往来も検討されたそうです。その話も出てきますが、航続の飛行実験の結果「可能である」という判断の元、要人も乗って出発した第一号機は消息不明。撃墜されたか、乱気流に巻き込まれ空中分解したのかもいまだにわからないということで、恐ろしい話満載ですが、この本は大人なら読んでおかねばと思います。まぁ楽しくはないのですが、知らない話ばかりでした。

 で、実はこの本は図書館から借りてきたのでした。吉村昭先生、ごめんなさい。他の本はいっぱい買ってますのでご勘弁を…。って、今更ここで言ってもどうしようもないのですけど。

話題の書「女帝 小池百合子」読みました

2020年07月29日 | ブックレビュー

 
 先月初めにこの本の評判を聞いて、都知事選の投票までに読もうと注文したところ、結構売れてたのか届いたのは6月末。投票日まで1週間しかなくて、読み終えるには間に合いませんでした。が、これを読んでから選挙結果を見たらムカムカ来て眠れなくなったと思われるのでそれでよかったかも。

 ちなみに本のカバーは小池都知事の顔写真ですが、もうまともにこの人の顔は見られなくなったので外してます。ただし、本の内容は滅茶苦茶面白いです。構成も良いし、文章も読みやすいので、読み始めると止まらなくなります。

 カバーの言葉は、「女性初の都知事であり、女性初の総理候補とされる小池百合子。「芦屋令嬢」、破天荒な父の存在、謎多きカイロ時代。キャスターから政治の道へ。男性社会にありながら常に「風」を巻き起こし、権力の頂点を目指す彼女。誰にも知られたくなかったその数奇な半生を、つきまとう疑惑を、百人を超える関係者の証言と三年半にわたる綿密な取材のもと描き切った。あなたは一体、何者なのですか-。」というもの。

 小池都知事自体がいっぱい本を出してて、Wikiによると単著11冊、共著9冊、対談等4冊など。この本の著者の石井妙子さんは、インタビュー記事も含め膨大な資料を読み始めて間もなく手が止まってしまったとか。

 要するに、彼女がこれまで書いてきたことは「あまりにも話が出来すぎている。あまりにも話の辻褄が合わない。あまりにも矛盾があり、腑に落ちないことが多すぎる。」と。本人が書いた本や、その時々のインタビューで言っていることがそれぞれ違うこともあれば、毎回同じ話が出てくる場合は出来過ぎたネタで根拠が怪しいということで。

 この本の章立ては

序 章:平成の華
第一章:「芦屋令嬢」
第二章:カイロ大学への留学
第三章:虚飾の階段
第四章:政界のチアリーダー
第五章:大臣の椅子
第六章:復讐
第七章:イカロスの翼
終 章:小池百合子という深淵

ですが、圧倒的に面白いのはやはりカイロ留学時代の話。表紙でピラミッドの前で一緒に写真に映っている女性は、カイロで小池都知事とルームメイトだった方で、著者はその人に直接会って証言を得ただけじゃなく、当時の日記やその人が日本の母親に書き送った手紙などの膨大な資料を手にしたので、そこはすごく詳細です。

 小池都知事は父親が色々と悪評のある人で、そのファミリーヒストリー系が第一章ですが、そこは謎と推測の部分が多くてあまり興味なく、第四章以降の政治家になってからは私もリアルで見てたので「ふ~ん」と。ただ、これまであの人の何を見てたのだろうと反省はします。

 気になる「カイロ大学は卒業したのか?」という点ですが、この本では様々な資料を基に綿密に検証されています。その辺知りたい人はこの本を読んで貰うのがいいのですが、日本で暮らす、あるエジプト人女性が語ったという言葉が印象的。「たどたどしい日本語で、『私、東大出たよ。一番だったよ』と言われたら、日本人のあなたは、どう思いますか。東大、バカにするのかって思うでしょ。」と。

 なお、小池都知事本人は「エジプトの名門校として知られるカイロ大学を、正規の四年で卒業することのできた最初の日本人であり首席だった」と何度となく述べているそうですが、そもそも最初の著書には「一年目は留年して」と本人が書いてるそうです。それで他の資料と合わせると入学年と卒業年が合わなかったり。

 また「首席で卒業した」という一方、「テストではカンニングをしてもアラビア文字が書けないので引き写すことができなかった」と自著で書いてると。その程度の語学力だということは自分でも正直に書いてるんですね。

 また、あまり知られてませんが、この人はカイロ留学時代に一度結婚してます。自著他で結婚の理由を「第四次中東戦争が始まって心細かった」と語ってるそうですが、結婚生活を始めたのは1973年の2月で、戦争が始まったのはこの年の10月。そして同じ10月にカイロ大学の二年生に編入したのですが、「戦争を体験した」「入学式は匍匐前進だった」というのが言い分。同時期に入学した人に取材したところ、入学式で匍匐前進を習ったという人は一人もおらず、カイロ大学構内で数万人が匍匐前進を習えるような敷地もないと。

 いちいち挙げるとキリがないですが、対談記事の定番ネタが「飛行機事故を二度回避したという強運物語」。一度目は商社マンの通訳としてリビアに行った際、1日滞在を延ばしたら元々乗る予定だった飛行機がイスラエルの領空を侵犯したとして戦闘機に撃墜されたと。しかし、その時期にそのような事故は起こっておらず、別の時期にそういう事件はあったが話が適当過ぎると。

 もう一つはカイロ大学を卒業して帰る際に帰国を延ばしたら、元々乗る予定だった飛行機がバンコクで工場に突っ込み全員死亡したと。この事故は確かにありましたが、前述のルームメイトの人はその時一緒にいて当時その飛行機に乗る予定だったという話を聞いた記憶がないと。この「二回命拾いした」という話は、都知事初当選後にNHKテレビ「あさイチ」に出演した際にも言ってたそうで、NHKも朝から全国にウソを垂れ流してはいけませんね。

 また、小池都知事は「自宅で母を介護し看取った。その経験を政治に活かす」と言ってて、「自宅で親を看取る」という本も出してますが、自宅介護の期間は11日間。まぁこれはウソではありませんが。

 それにしても、この本を読むとこの人のキャスター時代の湾岸危機の人質事件への関わり方、議員時代の北朝鮮拉致事件への関わり方、環境大臣時代のアスベスト被害者に対する態度など、その辺はちゃんとニュースを見ておくべきだったろうと私も反省してます。もっとも、そのメディアでの取り上げ方も相当問題あったと今ではわかりますが。

 ちなみにその湾岸危機の頃に、月刊テーミスにてエジプト考古学が専門の吉村作治先生は「(小池の)カイロ大学首席卒業はありえない」とコメントしてたとか。その辺の人はみんなわかってたのでしょう。国会議員になり大臣も経験し、今は都知事ですからカイロ大学も口裏を合わせてるのでしょうけど、どこかで滑り落ちたらみんな手のひら返すのではないかと今から注目してます。この人がただの女性タレントなら経歴詐称しようが話を盛ろうがどうでもいいのですが、国会議員だったし大臣もやったんですよね。政界でも、防衛大臣まで努めた人が実はとんでもないウソツキだった、あのとき任命したのは誰だと言われたくないためにかばってるケースもあるのでしょう。

 と、この本を一生懸命読んだ私は埼玉県民。海は無いけど夢はある、しかし東京都知事選挙の投票権はないというものですので、都民の皆さんにはこの本をちゃんと読んでいただきたいと思う次第です。いや、それにしても面白かったです。膨大な資料を読み込んで、あちこちで断られながら綿密な取材をし、わかりやすくまとめ上げた著者の方にアッパレをあげましょう。


今年前半の読書記録

2020年07月02日 | ブックレビュー
 年初から結構読書がはかどって、3月以降はほぼ週末に出かけられないこともあったので色々読みました。ということで、どういう本を読んだかを公開します。(初)は初めて読んだ本、(再)は前にも読んだことがある本の意味。


逆説の日本史24 明治躍進編/井沢元彦 (初)
ソ連が満州に侵攻した夏/半藤一利 (初)
ばかたれ/奥居香 (再)
「誰にも書けない」アイドル論/クリス松村 (再)
苦役列車/西村賢太 (初)
続 定年バカ/勢古浩爾 (初)
55歳からの時間管理術/斎藤孝 (初)
B面昭和史/半藤一利 (初)
荒馬のように/甲斐よしひろ (再)
江戸の一番長い日 彰義隊始末記/安藤優一郎 (初)
芸能界本日も反省の色なし/ダン池田 (再)
余命三ヶ月のラブレター/鈴木ヒロミツ (初)
維新の肖像/安部龍太郎 (再)
間宮林蔵/吉村昭 (再)
夜また夜の深い夜/桐野夏生 (初)
マルクスの逆襲/三田誠広 (再)
おれたちバブル入行組/池井戸潤 (初)
僕って何/三田誠広 (初)
吉田豪の最狂全女伝説/吉田豪 (再)
あふれる家/中島さなえ (初)
義珍の拳/今野敏 (初)
プロデューサー/酒井政利 (再)
サンチャゴに降る雨/大石直紀 (初)
いっしょに泳ごうよ/石川ひとみ (再)
A面に恋をして 名曲誕生ストーリー/谷口由記 (初)
アマゾン源流生活/高野潤 (初)
末裔/絲山秋子 (再)
ラーマーヤナ(上)(下)/河田清史 (初)

 実はこれら以外にも、ステイホームに備えて2月末くらいにビジネス系の新書を何冊か買ったのですが、あまりにもつまらなかったのでタイトル失念。それらを合わせると半年で約30冊。一昨年は年間で41冊だったのが、昨年は21冊。半年で昨年の読書量を上回ったわけで、久しぶりに年間50冊を達成できるかもしれません。

 まずまず順調に来たのは、一つはステイホームの影響、もう一つは新しい連続ドラマが始まらないのでテレビ見る時間が減ったこと、あとはハズキルーペを買ったので夜に寝床で読むときに見やすくなってちょっと読書が楽しくなったこともあります。最近は老眼をこじらせたので(?)、電車に乗った時も本はあっても老眼鏡持ってなければ読めませんし。まぁ老眼鏡とハズキルーペは用途が若干違うのですが、多少文字の小さい本でも私はハズキルーペだけで十分です。(別に回し者ではありません。あくまでも私の事情)

 上に挙げた本はどれも結構面白かったです。やはり幕末物とタレント本が多いのですが、初めて読んだ本で特に面白かったのは、「B面昭和史」「余命三ヶ月のラブレター」「夜また夜の深い夜」「アマゾン源流生活」、再度読んだ本では「維新の肖像」「間宮林蔵」「末裔」がやはりいい本だなぁと。そんな中でもベストを選ぶと、やはり「B面昭和史」。買ったのは昨年のGWなのですが、何しろごついので昨年末から読み始めてやっと読めたと。

 あたらしい本では、中島さなえさんの「あふれる家」がありますが、この人は中島らも先生の娘さん。私はらも先生の本はほとんど読んでますし、奥さんが書いた「らも」や友人の鈴木創士さんが書いた評伝も読んでるのでこの世界はスムーズに受け入れられたのですが、いきなりこの本を読んだ人はどんな感じでしょう。ある意味実際の家庭での話に近いというのは、信じられない人もいるかも。

 そして絲山秋子先生の「末裔」は、先月図書館から借りてきて「面白い!」と思いながら読んだのですが、「もしかして…」と自分のブログを検索したらなんと5年前に一度読んでました。ストーリーは完全に忘れてたのですが、そういえばなんか読んだようなと。まぁそういう読書の仕方も素敵ですよね。(と、無理やり締めくくる)

 今は「女帝 小池百合子」を読み始めましたが、買ったけど読んでない本があと3冊、図書館から借りて来週返さねばならないのも1冊、頑張って読まねば。そういえば、久しぶりに黒岩涙香の「鉄仮面」も読みたいし。

続々・インドへの道(完)

2020年06月26日 | ブックレビュー

 

 「マハーバーラタ」と「ラーマーヤナ」を読んでインドを極めようと思って始めた企画ですが、結果として「マハーバーラタ」は断念、「ラーマーヤナ」は少年少女向け童話風の物語りにて読了しました。

 「ラーマーヤナ」は、話としては面白いですね。私が読んだのは画像の通り第三文明社 レグルス文庫版で凄く読みやすくなってます。これまでインドというと、「メタルインドカレー」か「インドアテニス」しか知らなかったのですが(まだ言うか)、もうこれでインドの神様の事は全部理解しました。(なのか?)

 今回読んだのは河田清史先生による本なのですが、あとがきを読むと凄く勉強になります。インドの古典叙事詩は「マハーバーラタ」と「ラーマーヤナ」がありますが、「マハーバーラタ」は「ラーマーヤナ」より二倍も長い物語で、古代インドのさまざまな神話や説話、哲学、法典、政治、経済のことまでふくまれてるので冗長な部分が少なくないとか。

 それに比べて「ラーマーヤナ」は、インド古代の「ラーマ」というひとりの英雄の叙事詩なので文学作品としてはすっきりとした純粋な物語りになっているそうです。

 しかし「ラーマーヤナ」は、たしかなことはわかりませんがその話の基は紀元前十世紀までさかのぼると言われています。そうなると、「中華三昧」の「中国四千年の味の歴史」というどころではありません。ラーメンとインドカレーの勝負では、カレーの圧勝でしょう。(なのか?)

 そしてこの河田先生がおっしゃるには、「私たち日本人が『東洋的(オリエンタル)』というときの考え方は、『中国的』ということをもとにしていますが、アジアはもっと古く広いのです。インドの文化も、この『東洋的』ということに入れないことには、ほんとうのアジアを考えたことにはなりません。してみると、これまでの『東洋的』という考え方は、ここらで変えなければならない時代がきたように思われます。」とのことです。

 これを読んでガツンと頭を殴られたような気がしました。日本の大陸からの文化の影響というと、どうしても中国的なものしか意識しなかったのですが、インドの方が古くて広いということはありそうです。しかも、アジアより遠いギリシャ神話とかはちょくちょく目にしますが、インド神話は認識がなさすぎるのではないかと。

 そして、河田先生がこのあとがきを書いたのは昭和46年6月のことです。私は小2でした。当時この「ラーマーヤナ」を読んでいれば、もっとインド文化そのものに関心を持ったかもしれません。私だけでなく、日本人全体がその頃からインドに目を向けていれば、今の中国との付き合い方も変わったかもしれませんね。

 ということで、これからはやはりラーメンよりカレーだなぁと思いました。(←偏見) なお、「プリンプリン物語」を見て「ラーマーヤナ」をモチーフにしているといいだした人は尊敬します。私はそこまでは思わないなぁ。とはいえ、せめてこの少年少女向けの「ラーマーヤナ」は大人の教養として読んでおくべきだと思ったのでした。いや、異文化の理解ということでは勉強になりました。まだまだ知らない世界は多いです。


続・インドへの道

2020年06月18日 | ブックレビュー

 

 先日話題にした通り、まずは「マハーバーラタ入門」を図書館で借りてきたわけですが、これはなかなか手ごわいです。まず主筋の大まかな流れとしては、パーンダヴァ五兄弟とカウラヴァ百兄弟の誕生、ドラウパディーの獲得、骰子賭博と王国追放、十二年間の放浪、十三年目の正体を隠した生活、大戦争、夜襲、ユディシュティラの即位とパーンダヴァの死、ということだそうです。

 そして主要登場人物は、アシュヴァッターマン、アルジュナ、アビマユニュ、アンバー、アンバーリカー、アンビカー、ヴィチトラヴィーリヤ、ヴィドゥラ、ヴィヤーサ、カルナ、ガンガー、ガーンダーリー、クリシュナ、クリパ、クンティー、サティヤヴァティー、サーティヤキ、サハデーヴァ、サンジャヤ、シカンディン、シャクニ、ジャナメージャヤ、シャリヤ、シャンタヌ、スパドラー、チトラーンガダ、ドゥフシャーサナ、ドゥルヨーダナ、ドウラバディー、ドリシュタデュムトナ、ドリタラーシュトラ、ドルパダ、ドローナ、ナクラ、パラーシャラ、バララーマ、パリクシット、パーンドゥ、ビーシュマ、ビーマ、マードリー、ユディシュティラ、など。

 あくまでも「主要登場人物」でこれですので、獄門島や犬神家の一族で鍛えたくらいでの記憶力ではついていけません。ツインピークスで修行した人はいいかも。私はあれは脱落しましたので…。

 その一方、「ラーマーヤナ」が届いたので読み始めたのですが、こちらは元々の歌物語りを少年少女に読みやすく童話風にしたもので、凄く読みやすいし面白いです。挫折したときの用心に上巻だけ買ってたのですが、すいすい読めるし面白いのですぐ下巻も注文しました。これはおススメです。

 そもそも「ラーマーヤナ」は、インドの大昔の英雄で偉大な聖者でもあったラーマの長い歌物語りですが、私は「ラーマ」と聞いても「ラーマソフト」しか思いつかず、「ファミリーな味かしら?」と思ったりしました。前書きによると、インド人でラーマのお話をそらで言えない人は一人もいないとか。

 30年くらい前には栗本薫さんの「グインサーガ」を15巻くらいまで読んだのですが、多分あの人も「ラーマーヤナ」読んでますね。

 それにしても世の中には知らない世界があるものです。不思議な話ですが、これを知らなかったのはこれまでの人生ちょっと損をしてたかも。ちなみに、上巻ではまだカレーもナンも出てきません。(←偏見)