昨年暮れにBS日テレでたまたま録画した番組。原発の話で、なんか硬派なドキュメントの匂いがしたのでそそられました。ただ、いつ録画したかも忘れてて「たしか原発の話だったような」という程度の記憶だったのですが「シカとスズ」というのは、石川県志賀町と珠洲市のことであってなんと私の地元の話でした。
志賀町は現在既に原発のあるところで、珠洲市の方は原発建設の話が持ち上がって賛成派と反対派で町を二分して大騒ぎした挙げ句、話が持ち上がってから28年経って結局計画が凍結されたのでした。
映像では当時の説明会で怒号が飛び交う様子とか、双方が意見を言い合い反対派が退出してしまう様子も見られました。本当に町が真っ二つに分かれた感じで、ご近所同士が気まずくなるどころではなく、親戚とも口がきけなくなったりしたそうです。
計画が凍結されてからの様子も放送されてましたが、一応勝利したということになる反対派にも笑顔は無し。完全に溝が出来たことが後味わるいそうで、かえって反対派の方が取材には応じなかった様子。
この28年の間にはもう亡くなってしまった方も多かったでしょう。これが原因で町を離れてしまった若者もいるでしょう。今の日本国内を考えると、過疎の原因はこれだけではないでしょうが、なんともやりきれない感じが漂います。
そして志賀町はどうかというと、原発があったのですが3年ほど前に地盤に活断層があることがわかり「よくこれで許可されたものだ」とか言われる始末。
何気なく録画したドキュメントですが、これは保存版にせねばと思った次第。また今後何年か経ってから見ると、そこはかとない味わいが出るような気がします。珠洲原発の計画が出たときの知事は中西知事で、「原発は世界の流れですから…」と語るシーンがありました。私はいまだに石川県知事というとこの人しか知らないほど長期に努めた人ですが、なんと8期31年も知事を努め在職中に体調を崩して亡くなったのだとか。
この人は、自分も関わって町を二分させた騒動の結末を見られなかったことになるわけですが、今はあの世でどう思ってるのでしょうか。それにしても、なんともやりきれない話。しかし見てる分には面白いという…。