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ガサコ伝説「百恵の時代」の仕掛人/長田美穂

2024年01月27日 | ブックレビュー

 こちらは2010年に発行された本で、雑誌「月刊平凡」の伝説の編集者と言われた折笠光子についての人物伝。その人の通称が「ガサコ」なのですが、伝説と言われる割にはこの人の事はWikipediaにも項目が無いので私は知りませんでした。

 これを読もうとしたキッカケは朝日新書の「南沙織がいたころ」(永井良和著)。その中でこの本の事が紹介されていたのでした。

 私は1963年生まれなので、小学生の頃から月刊明星と月刊平凡は親戚の家に行けば普通に置いてありました。ちょっと年上のいとこが多かったので。そして中学生くらいになると、歌本目当てで自分で買ったりもしましたが、はっきり言って明星派でした。

 この本はそのガサコについての人物伝ではありますが、あの時代の月刊明星と月刊平凡の編集方針の違い、タレントの取材はどのように行われていたか、どうして明星の方が一般大衆には受けたのかなど、いろいろ興味深い内容もあります。当時の雑誌の発行がどんな感じだったかという大きい話もありますし。

 ちなみにこの「ガサコ」という人は、1960年に平凡出版にアルバイトとして入社、編集者として活躍したのち、1997年に57歳で亡くなってます。著者がこの人のことを知ったのは没後数年経っての事だったので、取材は結構難航した様子。

 実は内容を読むと何しろ故人の話なので伝説が本当に伝説化してしまい、「あれもあれもガサコがきっかけ」と言われていたことが、関係者の証言で「そんなことはない」という話になったり、こちらも「本当かなあ」と思う場面がいくつもありました。

 が、その「ガサコ」についての取材に応じたのは、渡辺美佐、橋幸夫、西郷輝彦、森田健作、南沙織、野口五郎、森昌子、三浦友和、ピンクレディーのミーをはじめとした錚々たる顔ぶれで、普段あまり取材を受けないのが「この人の事なら語りたい」と言った人もいたので、実際に大きな働きをした人だったのでしょう。特に三浦友和と山口百恵夫妻については家族ぐるみの付き合いだったのは確かですし。

 また、南沙織については彼女が当時まだアメリカであった沖縄から単身で来日した事情も考慮し、家族を呼び寄せるとか沖縄に帰郷する企画を組んだりしてたそうです。そういう点で、平凡はタレントに寄り添うという姿勢が強かったようですね。

 ただ、当時の同僚だったりライバル誌の編集だったりした人の取材も綿密に行い、会った事のない人の人物伝をまとめる苦労がいかに大変だったかは、エピローグとあとがきを見てよくわかりました。私も本編を読んでた時は「う~む」という感じだったのですが、そのエピローグとあとがきを読んで納得した思いが強かったです。

 70年代アイドルの好きな私が読んで楽しめた本ですが、月刊平凡や月刊明星について少しでも思い入れがある人が読めば面白いかと思います。今も電子書籍で読めます。関心を持った方は是非どうぞ。


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