「上着着用」議場は25度/県議会
「服装は自主判断で」28度派 「論戦は品位が大事」正装派 県は9月までノーネクタイ、ノー上着の運動を進めているが、県議会は16日開会の6月定例会も本会議場ではネクタイと上着を着用することを申し合わせた。「議会の品位を保つこと」が理由というが、そのために本会議場の冷房温度は他部署より3度低い25度に設定される。傍聴に訪れる県民からは「冷房が強すぎて寒いし、省エネの時代に合わない」という声も上がっている。(清野貴幸) 傍聴者には強い冷房 県の庁舎はもともと省エネのため、知事室も含め県教委、県警とも室内温度が28度を超えると冷房を入れ、設定温度は28度にしている。 しかし県議会では、議員が使う部屋だけは冷房を集中制御する庁舎管理室と議会事務局が協議し、他より低く設定してきた。上着などを着る議員の服装に合わせて「経験則で決めてきた」と議会事務局は言う。 今年は県の運動に合わせ、5月の各派代表者会議で、委員会ではネクタイと上着なしでもいいことに決めた。合わせて委員会室と議長室、議員控室は設定温度を28度に上げるという。だが、本会議場は引き続きネクタイと上着の着用としたため、従来通り25度にする予定だ。 県議会には「議員は議会の品位を重んじなければならない」との規則があるだけで、具体的な服装の取り決めはない。9月末までに本会議が開かれるのはわずか10日余りしかないが、知事や県職員もこの議場では上着とネクタイを着けることになる。 13日、原則的に服装を議員が自主判断するよう議長に申し入れた松谷清県議(無所属)は「温度は28度に直すべきで、それならネクタイも上着も不要。そもそも、議場に権威を持たせようとする政治文化を変えないといけない」と話す。 一方、ベテラン議員は本会議場でのノーネクタイ、ノー上着に否定的だ。共産党県議は「議会は論戦の場であり品位が大事だ。仮に28度に上げたとしても上着とネクタイは着用するべきだ」と語る。自民党県議は「朝、ネクタイを締めるとさあ仕事をするという気持ちになる」と話す一方「あそこ(議場)だけ28度でないというのは県民の理解を得られないかもしれない」。両氏に共通するのは、議場が25度と低い設定だったことを知らないことだ。 一般に冷房の設定温度を1度上げると6~8%の省エネになるとされる。市民団体・県政ウオッチングの会の入江とし子代表世話人は「議会も含め全庁舎挙げて取り組まないと省エネに積極的だとは言えない。格式にこだわらず、議員もリラックスした服装で議論すれば県民と同じ目線に立てるのでは」と話す。 |
(6/16 asahi.com 静岡版) |